独島問題が韓国サッカーにもたらした影響=焦点はKFA会長とパク・チョンウの処遇
韓国国会でも糾弾されるKFA会長
銅メダル獲得に喜ぶ韓国イレブン。悲願を達成した韓国サッカーだが、独島問題が与えた影響は少なくない 【Getty Images】
以下は議員とKFAチョ会長のやり取りのワンシーンだ。
議員:「パク選手の行為は、オリンピック憲章50条(オリンピック施設での政治的行為禁止)違反なのか?」
チョ会長:「違反ではないでしょう」
議員:「違反ではないと言いながら、なぜ低姿勢なのか。もっと堂々としなければいけないのでは?」
チョ会長:「国内の視点で判断する問題ではなく、外部の視点で判断しなければならないので」
議員:「日本の視点、竹島の視点で、本当によく判断しましたね。一体、国籍はどこですか?」
まさかここまで言い詰められるとは、チョ会長も予想だにしていなかったに違いない。
さらに、一般ネットユーザーの書き込みにはこういった意見もある。
「パク選手の行為は、オリンピック憲章に反するものと判断されたのであって、先にIOCにきちんと説明すべきだった」
「大韓サッカー協会もFIFAへの報告を前に日本協会に遺憾の意を表明するとは、機能が麻痺(まひ)しているんじゃないか」
「固有の領土なのに問題になること自体がおかしい」
一方、スポーツ担当の一般紙記者は開口一番、「タイミングの悪さもあった」と言う。「KFAがJFAにすぐに書簡を送ったのは、今後も日韓サッカー界が良好な関係を続けるための一手だったのはよく理解できます。確かにJFAもそこまで大きく問題視していなかったはず。ですが、イ・ミョンバク大統領の独島上陸に続いて、8月15日は光復節(日本では終戦記念日)があった。国民の気持ちが国家レベルに高まっているときに、明るみになったのがKFAの書簡でした。ましてやパク選手の問題が“独島問題”のプラカードだけに、韓国全体が神経質になっていた感じは否めません」
渦中のパク・チョンウはどのような処遇を受けるのか
そうした流れの中、今後の焦点は大きく2つある。
1つはチョ会長の去就だ。時期が来れば責任をとる可能性を示唆しているが、今後の動きを見守りたいところ。仮に辞めるとなると、今後のサッカー界の動きに影響を及ぼしかねず、決して得策ではないとも考えられる。
もう1つは、パク・チョンウがFIFAとIOCからどのような処遇を受けるのかについてだ。
パクは現在、Kリーグ所属チームの釜山アイパークに戻り、コンディション回復に努めている。22日の慶南FCとのアウエー戦に出場する予定だという。また、同じ五輪代表だったキ・ソンヨン(セルティック)はトーク番組でパクのことに触れ、「(騒動の後)かなりショックを受けていたけれど、今はだいぶ良くなりました」と語っていた。
いずれにせよ、現時点ではFIFAの調査結果、それを踏まえたIOCの発表を待つしかない。メダル授与の可否はもちろん、国際試合の出場停止なども想定されるが、これ以上、日韓双方に遺恨が残るような制裁だけは避けてもらいたいものだ。
<了>