東洋大・藤岡が見せた「気迫」と「成長」=全日本大学野球選手権リポート
草食系ノーヒッター左腕、九州共立大の2投手も活躍
ノーヒットノーランを達成した久保田高弘(近大工学部) 【島尻譲】
2日目に話題をさらったのは近畿大工学部の左腕・久保田高弘投手(3年=山陽高)。名桜大相手にノーヒットノーランを達成。片山慎一監督が「かわいい声で『打ってくれ』とかベンチで言われると、気が抜ける」と話す草食系のエースが一場靖弘(明治大/現東京ヤクルト)の完全試合以来となる快挙をやってのけた。
186センチの大型右腕、大瀬良大地(九州共立大) 【島尻譲】
さらに初戦で強豪・上武大を相手に1失点完投のピッチングを見せた道都大の右腕・佐藤峻一(3年=北見柏陽高)も来年の注目選手として名前が挙がってきそうだ。
また、今大会は東日本大震災後に行われた大学野球最初の全国大会。高校生とは違う、大学生ならではの葛藤(かっとう)もあったようだ。
「今こそ私たち、若い力が復興の懸け橋となり、あすの日本の希望となるべく全身全霊を込めて戦う」と開会式で宣誓したのは福島県いわき市にある東日本国際大の天野勝仁主将(4年=日大東北高)。開幕戦で敗れたが、終始仲間に大きな声をかけ、代打の一打席に込めた全身全霊が伝わってきた。
東北の3連盟で唯一初戦を突破した富士大。10日の準々決勝で敗れた後、青木久典監督は「明日で震災から3カ月。勝って東北に明るい話題を提供したかった」と悔やんだ。
最後に、今大会で初めて採用されたタイブレーク方式に突入したのは4試合。最初の回だけ任意で打順が選べるという確認事項に時間がかかりすぎて選手が待たされるなど、“初めてのこと”ならではの課題を残した。さらに、先攻が有利な結果(3勝1敗)となり、攻守の順番決定をやり直すことの是非も考える必要があるように感じられた。
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