浅尾美和、逆境からの飛躍へ=ビーチバレー

復調の要因はスパイク

JBVツアー第2戦、浅尾(左)、松山組は格上を破り価値ある4位に 【写真:横山健太】

 第1戦に続き、ワイルドカードでの出場が決まっていた第2戦。浅尾は、大会期間中に自らの立ち位置を確認するかのように「チャレンジャー」という言葉を、何度も口にした。
 特に、第1戦優勝の金田洋世・村上めぐみ(上越マリンブリーズ)組に勝利した試合では、「肩の力を抜いて思いっきりプレーした。練習してきたことを出せれば勝てるんだと分かった。自信にしていきたい」と浅尾。その言葉を証明するかのように、翌日の試合からスピードあふれる力強いスパイクを打ち続ける浅尾がいた。
 
 準決勝の浦田聖子・西堀健実(ともにフリー)組との戦いでは敗れはしたものの、相手のお株を奪うボールをミートする音が会場に響き渡るほど、鋭いスパイクが炸裂(さくれつ)した。
 「これまでは得点を決めよう、決めようと思って、変に肩に力が入って緊張状態にありました。今は、肩の力を抜いて楽にスウィングすることを意識しています。それに絶対に決めようと思わないで、私のスパイクが相手に拾われても、向こうの攻撃をパートナーと一緒に拾って、また攻撃につなげればいい。以前のようにスパイクが決まるようになったのは、スパイクに対しての『考え方』が変わったことが大きいと思います」(浅尾)
 
 成長の片鱗(へんりん)を見せたのは、スパイクだけではない。「一番、成長を感じるのはサーブレシーブ」と浅尾が語るように、無回転のボールが腕から逃げる前にボールをとらえられるよう、フォームの修正を図っていたという。楠原から伝授されたことが、ここにきてようやく結果となって表れてきたのだ。

挑戦者として

 持ち前の武器に復活の兆しが見え始めた浅尾は、JBVツアー第2戦でようやくスタートラインに立った。

 「年間シードを獲得できなかった私たちにとっては、上のレベルで試合ができることは、一番勉強になる。『攻める』気持ちでサーブやスパイクを打って、つなぎの面では『粘る』気持ちを忘れずに戦っていきたい」(浅尾)
 
 浅尾・松山組の次なる大会出場予定は、5月21、22日に長野県駒ケ根市で開催される「JBVサテライト駒ケ根大会」だ。今は、「ビーチの妖精」としてではなく、失うモノは何もない一人の挑戦者として、ここから一歩ずつはい上がっていく。

<了>

ビーチバレースタイル2011年5月号 『特集 日本代表・決意表明』

『ビーチバレースタイル』5月号表紙 【写真/ビーチバレースタイル】

 5月号の特集内容は、ロンドン五輪予選に挑む田中姿子・溝江明香、浦田聖子・西堀健実ら日本代表チーム&指揮官にインタビュー。五輪予選の仕組みも、わかりやすく解説している。ロングインタビューでは、トップランカーの白鳥勝浩が登場。朝日健太郎とペアを組んでいた5年間を赤裸々に振り返り、新シーズンの抱負を語る。その他、パフォーマンス向上のカギを握る『スポーツ栄養学を語ろう』、『メディカルアドバイス』などの新連載が始まった。

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著者プロフィール

ビーチバレースタイル/2009年4月創刊。国内トップ選手の情報、大会レポート、技術指導、トレーニング論など、ビーチバレーを「見る」「やる」両方の視点から、役立つ情報が満載。雑誌のほかに、ビーチバレースタイルオンラインとして、WEBサイトでも大会速報、大会レポートなど、ビーチバレーに関する報道を行っている。

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