米国の現地時間４月１日、ジョージア州アトランタ　センター・ステージ・シアターで開催されたＲＯＨ主催大会「ホーナー・テイクス・センター・ステージ」に、日本から栗原あゆみ、松本浩代がタッグで参戦し、セリーナ＆サラ・デル・レイ組と対戦した。

　「即席初タッグという感じ」（栗原）という“くりまつ”タッグだったが、アウェーとは思えないほどの地元ファンの大声援も味方につけると、栗原、松本ともに大奮闘。最後は栗原の裏投げ→松本のバックドロップという好連係を繰り出し、見事に勝利を収めた。
　試合後には、現地時間２７日に松本を下してＳＨＩＭＭＥＲタッグ王者となった中川ともかが、栗原に水を吹きかける挑発を仕掛けてきたが、「明日はベルトを中川から取って日本に持って帰ります」と栗原は宣言。ツアー最終日となる３日の決戦へ、さらに気持ちを高めた。

　以下は試合詳細リポート。

　日本ではめったに見られない栗原＆松本の“くりまつ”（本人たちの命名）がＲＯＨのビッグマッチに登場した。対戦相手はセリーナ＆デル・レイの超強力タッグだ。
　まず栗原と松本が日の丸を掲げての入場。松本はＳＨＩＭＭＥＲ同様、オレンジのマスク姿だ。国旗には「がんばろうニッポン　ネバー・ギブアップ」という本人たちの手書きメッセージが添えられていた。そこには遠く離れた日本への思いが描きこめられていた。二人はたがいに別のコーナーへ上がって日の丸を会場全体にかざした。

　先発は松本とセリーナ。松本の日本語による「よっしゃー、行くぞ」のアピールにＲＯＨのファンも大歓声で応える。日本側には早くも大声援だ。まずはセリーナが松本の腕を取り、アームホイップ合戦でスタート。松本とセリーナが互いの腕を取って投げあう。結果的に松本がリード。たまらずセリーナはデル・レイへタッチ。松本が手四つで勝負を狙うもデル・レイはこれを拒んで蹴りを見舞う。

　これに松本も応戦し、デル・レイの動きを止めると栗原にタッチ。まずは栗原と松本がデル・レイをコーナーへ振ると、栗原が二―ドロップ、さらに松本がタックル攻撃。思わずコーナーへ倒れこむデル・レイに対し、栗原は串刺しの二―ドロップ。この一打にはハードコアにも慣れっこのＲＯＨファンも大歓声。何と館内は「ＪＯＳＨＩ（女子）」コール一色に。
　アメリカで一番人気のある女子レスラーと言われているだけあり、栗原への声援は４人のなかで断トツ。さらにブレンバスターホールドでデル・レイをフォールへ。ここはカウント２で返す。さらに攻撃を仕掛けようとする栗原にデル・レイはニー攻撃で動きを止める。

　昨年４月のＳＨＩＭＭＥＲ遠征でデル・レイは栗原にシングルで敗れており、自身のシングル連勝記録が１１でストップしてしまった因縁があるだけに、栗原への攻撃は強烈だ。ここでセリーナが出てくると、栗原は攻撃をかわしてゆりかもめへ。しかしすぐさまデル・レイがカット。ここでセリーナがスピアーを狙うが、栗原と松本はロープを挙げて場外へ落とす。ここで栗原はトップロープからプランチャーを敢行すると、館内は大興奮状態となり、ＲＯＨファンの大「クリハラ」コール一色に。
　リングに戻り、栗原が再度串刺し式の二―ドロップを狙うと、セリーナが抱え込んで前にたたき落とす。しかし今度はセリーナが突進すると、今度は栗原がぶら下がり式の腕ひしぎでお返しへ。これにはファンも信じられないことが起きたといわんばかりに大歓声が起きた。

　しかし、デル・レイが場外で攻撃を加えてからリングへと上げる。今度はデル・レイとセリーナが合体エルボー。セリーナはさらにボディスラムからギロチンドロップ。この辺りからチャンピオンチームのデイジー＆中川がリング後方に現れて試合を見守り始める。

　ここで栗原はニー攻撃でピンチを脱出。さらに松本がセリーナへタックルを連打し、さらにデル・レイにもタックル。さらにデル・レイとセリーナの２人へボディアタック、そして東海道落としへ。カウント２でセリーナがカット。そして、セリーナがタッチをして出てくると正面からのパンチ攻撃。しかし松本はこれをタックルで流れを変える。そしてカットに来たデル・レイには栗原がミサイルキック。ここでデル・レイは場外へ。
　リングに残ったセリーナにまずは栗原が裏投げ、そして松本がバックドロップ。２大必殺技を受けたセリーナはこれで豪沈、ついに松本のフォールの前に力尽きた。

　栗原と松本は抱き合って勝利を分かち合う。しかし、そのとき、２人を見つめる不気味な目……ＳＨＩＭＭＥＲタッグ王者のデイジ・ヘイズーと中川ともかだ。中川の前を通り、控室に戻ろうした栗原に中川は水を噴射。そのまま一目散に逃げ込む王者チーム。最後の最後で痛い目に合った栗原＆松本だが、ＲＯＨファンの前には存在感を大きくアピールしたのは確かなことである。

　試合後の売店は大盛況となり、時間が終わるまでに買えないファンまで続出した。栗原は「超満員ですごい盛り上がりで、日本人の自分たちも大歓迎してもらってありがたかったです」とニッコリの笑顔。松本のタッグ、そしてセリーナはデル・レイとの対戦に関して「即席初タッグという感じでしたけど、初めてだったわりにはかなり良かったと思います。セリーナは当たったのは初めてでしたけど、とてもパワフルでした。もっと何度でも当たりたいです」と手応え十分に振り返った。

　さらに、「今日は勝って気分良く帰ろうとしたら中川が水を吹いてちょっかいかけてきて……明日はベルトを中川から取って日本に持って帰ります」とも公約。あす２日（現地時間）はいよいよＳＨＩＭＭＥＲタッグ選手権、デイジー＆中川組vs.栗原＆松本組。そして栗原、松本、中川のツアー最終試合。最後に日本へベルトを持って帰るのは栗原＆松本か、それとも中川か……。

　　なお、本日も日本人売店の前に義援金箱が設置され、１６６ドルもの金額がアメリカのファンから寄付された。この金額はＪＯＳＨＩ４ＨＯＰＥが日本へ持ち帰り、全額を日本赤十字社へ寄付する。

■ＲＯＨ「ホーナー・テイクス・センター・ステージ」
現地時間４月１日（金）米国ジョージア州アトランタ　センター・ステージ・シアター

＜タッグマッチ３０分１本勝負＞
栗原あゆみ、○松本浩代
（１５分２１秒　栗原の裏投げ→松本のバックドロップから片エビ固め）
●セリーナ、サラ・デル・レイ