世界一と称された猫田、現全日本女子監督の真鍋ら=男子バレー界の名セッターたち

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金、銀、銅と3つの五輪メダルを獲得した“世界一のセッター”猫田勝敏。39歳の若さで逝去したが、「20世紀の最優秀賞特別賞」を獲得している 【Photo:山田真市/アフロ】

 バレーボールにおいてチーム作りの中心になるのが、司令塔であるセッターだ。「アタッカーを生かすも殺すも、セッターのトス次第」と言われるほど、このポジションに課せられた役割は大きい。今回は、“全日本の司令塔”という重責を背負い、輝かしい歴史を作り出してきた男子バレー界の名セッターたちを五輪大会ごとに紹介したい。

世界一のセッターと称された猫田

 1964年東京大会から4大会連続で五輪に出場し、金・銀・銅と3つのメダルを獲得。全日本の黄金期を支え、「世界一のセッター」と称されたのが猫田勝敏だ。
 弱冠20歳の時に東京五輪で銅メダルを獲得した猫田は、それ以降、全日本の正セッターとして不動の地位を確立。68年メキシコ五輪で銀、翌69年のワールドカップでも銀メダルを獲得し、自らはベストセッター賞を受賞した。そして、前年に右腕を複雑骨折するという大けがを負いながらも、長いリハビリを乗り越えて挑んだ72年ミュンヘン五輪で悲願の金メダルを獲得。続く76年モントリオール五輪ではメダルこそ逃したが、4位入賞を果たした。またセッターとしてはもちろん、「天井サーブ」の生みの親としても知られている。
 80年に引退後は、日本リーグ(Vリーグの前身)の専売広島(現JT)の監督としてさい配を振ったが、83年に病気のため39歳の若さで逝去。しかし、01年には国際バレーボール連盟から「バレーボール20世紀の最優秀賞特別賞」を授与されるなど、今なお伝説のプレーヤーとして人々の記憶の中に生き続けている。

 不参加だったモスクワ五輪をはさんで、全日本が2大会ぶりに出場した84年ロサンゼルス五輪で司令塔として活躍したのが古川靖志。
 神奈川・藤沢商高(現・藤沢翔陵高)時代に春の高校バレーで優勝した古川は、順大3年の82年に初めて全日本入り。たぐいまれなセンス、抜群のトスワークで「天才セッター」と呼ばれ、ロサンゼルス五輪ではチームの7位入賞に貢献した。

41歳まで現役を続けた真鍋

 続く88年ソウル五輪でセッターを務めたのは、現全日本女子の監督を務める真鍋政義。30代後半で海外リーグに挑戦し、41歳まで現役を続けた異色のプレーヤーだ。
 真鍋は大阪商大時代の85年、全日本に初選出され、同年のワールドカップに出場。86年の新日鐵入団後は日本リーグでも活躍し、93年からは選手兼任監督として同チームをVリーグ連覇に導いた。99年から1年間は、イタリア・セリエAでのプレーも経験。05年に現役引退し、同年から久光製薬の女子チーム監督に就任した。その後、07年に同チームを5シーズンぶりの優勝に導いた実績を買われて、08年12月から全日本女子を率いている。

 92年バルセロナ五輪で司令塔として活躍したのは松田明彦。東レ、日新製鋼、豊田合成と日本リーグの3チームを渡り歩いた名プレーヤーだ。91年に当時の全日本男子を率いていた大古誠司監督に見出されると、その年のワールドカップや92年のバルセロナ五輪など数多くの国際大会に出場。また、95年のワールドカップでは正セッターとして出場し、5位入賞も果たした。現在はVプレミアリーグ、豊田合成の監督を務めている。

16年ぶりの五輪出場に導いた宇佐美

現全日本男子の主将を務める宇佐美大輔。植田ジャパンの要として、16年ぶりの五輪出場を決めたひとりでもある 【坂本清】

 松田とともに、バルセロナ五輪で活躍したのが成田貴志。北海道生まれの成田は、高校バレーの名門・東海大四高時代に高校三冠を達成。その後も、東海大、富士フイルムとバレー界のエリートコースを歩んだ。全日本では、バルセロナ五輪の6位入賞に貢献。そのほかにも、2度の世界選手権とワールドカップに出場するなど、長きに渡り全日本の主力として活躍した。

 バルセロナ大会以降長い低迷期に陥った全日本男子を08年北京で16年ぶりの五輪出場に導いたのが、宇佐美大輔だ。高校まではアタッカーだったが、大学時代にセッターに転向。ジャンプ力を生かした高さと、トスワークに定評があるプレーヤーだ。
 かつてはけがで離脱することも多かったが、07年以降は全日本に定着。同年のワールドカップ、翌08年の北京五輪で活躍した。12年ロンドン五輪を目指す新生全日本では、主将としてチームをけん引する役割も期待されている。

<了>
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