越中詩郎のデビュー30周年に豪華ゲストが来場 永田、ライガーがハッスル初参戦

高木裕美

越中詩郎はデビュー30周年記念大会で豪華ゲストとともに試合を盛り上げた 【t.SAKUMA】

 ハッスルの「ケツおやじ」こと越中詩郎のデビュー30周年記念大会となる27日の「越中詩郎デビュー30周年記念 ハッスル外伝“やってやるって!!”」(東京・後楽園ホール)では、越中にゆかりの深い選手たちが多数参戦。満員となる1927人を動員した。

 今年9月で51歳となる越中は1978年3月に全日本プロレスに入門し、翌年3月にデビュー。84年3月に後輩の三沢光晴さんとともにメキシコ武者修行に出るも、帰国後は全日本を退団し、85年に新日本プロレスに移籍。ジュニア戦線で高田伸彦(当時)との名勝負数え唄を繰り広げた。
 92年には誠心会館との抗争がスタートし、反選手会同盟を経て平成維震軍を立ち上げ、自主興行なども行った。
 03年1月に新日本を退団し、同年2月にWJプロレスに入団。WJ崩壊後はフリーとしてプロレスリング・ノア、ZERO−ONE、古巣の新日本などに参戦し、昨年7月からはハッスルのレギュラーに定着。メキシコ修行時代のリングネームであり、ニックネームであった「サムライシロー」から「ケツおやじ」として生まれ変わった。

越中がデビュー30周年記念大会で快勝

新日本プロレスのライガー、永田がハッスル初参戦で越中とタッグを組んだ 【t.SAKUMA】

 この日のメーンでは先輩・越中を祝うべく、新日本プロレスの永田裕志、獣神サンダー・ライガーがハッスルのリングに初登場。天龍源一郎、川田利明、TAJIRI組と6人タッグマッチで対戦した。
 かつては“ハッスル・キャプテン”小川直也が新日本のリングに上がった際、ハッスルポーズを出させないようセコンド陣が必死で阻止するなど、まさに対極にあった両団体だが、今年の新日本の「G1クライマックス」にTAJIRIが参戦するなど急接近。G1ではTAJIRIの反則ファイトに新日本ファンが激怒し、ば声を浴びせる場面なども見られたが、この日は「敵地」に乗り込んできた永田とライガーに、新日本のホームリング以上の温かい声援が向けられた。

 1人1人が南側客席から登場する入場シーンこそお祭りムードが漂っていたが、いざゴングが鳴らされた瞬間、ハッスルのエンターテインメント色が消え、ストロングスタイルに染め上げられたリング上では火花が飛び散るような激しいバトルが展開された。約2年ぶりの遭遇となる川田と永田が互いの意地をムキ出しにしたチョップ、キック合戦を見せ付ければ、天龍はライガーのお株を奪う掌底を放ち、さらにはプランチャで場外に飛ぶなどまさにハッスル。まるで団体対抗戦のような緊張感漂う攻防が繰り広げられる中、やはり最後を締めたのは本日の主役である越中だった。
 開始早々から出し惜しみすることなく必殺技のヒップアタックやケツ攻撃を連発してみせた越中は、TAJIRIのグリーンミストによって顔面を緑色に染められた永田の怒りのキックによるアシストを得て、強烈なパワーボムを炸裂。TAJIRIをマットに轟沈させた。

「ハッスル外伝」という大会名にふさわしい、いつものハッスルとは180度違った戦いにも観客は大満足で、試合後は大「越中」コールが自然発生。大会の満足度をダイレクトに越中に伝えた。
「こういう大会だからといってお祭り騒ぎは嫌だったので勝負に徹した」と、あえてトップファイターを集め、自らに厳しい課題を与えた越中は「久しぶりにプロレスらしいプロレスができた」と、30年半の歩みが凝縮された15分間の激闘を振り返って満足げな表情を浮かべた。

 一方、新日本の現役選手として初めてハッスルのホームリングに足を踏み入れた永田とライガーも、「敵地」とは思えない高評価を与えた。
「リングに戦いを持ち込むために来た」という永田は、「このリングに確かに戦いはあった」と、体に刻み付けられた川田と天龍の打撃や、TAJIRIに緑に染められた顔面でハッスルのリングを体感。越中に対し「あと20年は現役続けられそうなほど元気。自分も負けてられない。まだ自分は青いんで、青い青義で行きたい」とエールを送った。
 ライガーも「すべての試合に戦いがある。今日は越中さんのお祝いがたまたまハッスルのリングだっただけ」とハッスルだからといって肩肘を張ることなくあくまで自分流を貫き、越中に対し、「目標としている先輩。負けないように、追いつけ追い越せで頑張っていきたい」と“ライバル宣言”をたたきつけた。

多彩なゲストが越中を祝福

越中詩郎のデビュー30周年記念大会に豪華ゲストが集まった 【t.SAKUMA】

 この日はメーン以外にも全試合で越中にゆかりの深い選手が登場。また、武藤敬司、ザ・グレート・カブキ、長州力、ケンドーコバヤシからもお祝いメッセージが寄せられた。
 セミでは、かつて越中がリーダーを務めた「平成維震軍」の選抜メンバーとして後藤達俊、青柳政司、小林邦昭、木村健吾が来場。なつかしの綱引きマッチ方式で対戦相手に選ばれた後藤が、必殺技のバックドロップを出すまでもなく、RGを虫ケラのようにラリアットで一蹴。セコンドについたメンバーたちも太鼓の乱れ打ちを見舞うなどして後藤をバックアップした。
 かつてWJプロレスで長州力に反旗を翻した、ある意味伝説のユニット「レイバーユニオン」が一夜限りの復活。かつて越中と志を同じくした大森隆男、安生洋二が久々のコンビ結成を果たすも、「ハッスル初参戦」となる安生が坂田亘のスーパーキック2009に沈んだ。

 また、空手ガールならぬケツガールとなったKGは越中直伝のヒップアタックを披露。メシシコ修行時代に越中と接点のある大原はじめも「ドラゴマニア」での髪切りマッチで敗れ丸坊主となった悔しさを払拭するイキのいいファイトでオープニングマッチを盛り上げた。
 全試合終了後、全選手がリングに集合。越中の音頭で「3、2、1、やってやるって!」の掛け声を上げると、皆で越中を胴上げし、越中を中心に記念撮影に収まって主役を祝った。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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