上田桃子、今こそ“根性”の見せどころ=全英女子オープンゴルフ
強い精神力で優勝したマシュー 欠けた桃子は55位
全英リコー女子オープンは55位に終わった上田桃子。キャディーのマクナマラ氏は、上田の才能を認めているが…… 【Getty Images】
上田桃子(ソニー)には、その精神力が欠けていた。初日こそ2オーバー11位とまずまずの位置につけたものの、日に日にスコアを落とし、終わってみればトータル16オーバーの55位。「4日間を通してミスが多かった。気持ちを平らにできないのがメジャーでの課題だったけど、今年もそれができなかった」とうなだれた。
迷いの原因はキャディーとのコミュニケーション不足
今年3月、上田は昨年限りで現役を退いたアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)の専属だったマクナマラ氏とコンビを組んだ。米ツアーで勝つための起用だが、生みの苦しみは想像以上だった。ソレンスタムの通算72勝のうち66勝をサポートした大御所だけに、「自分の意志が強い人」(上田)。コースマネージメントをめぐり意見が食い違うと、ラウンド後に通訳を務めるマネージャーと4時間近く話し合う。言葉の壁もあり、ショットの目標を示すときに使う「right at 〜」(ちょうど、という意)を「右を狙え」と直訳してミスしたこともある。そうこうしているうちに、上田は自分のフィーリングを見失ってしまったのだ。
「今まで普通にやったらフィーリングが出ていたけど、どうやったらいいか分からない。目線と(自分が思い描いた)球筋が合わなかったり、クラブの入り方が一定じゃなかったり……。今日(最終日)の17番、18番は何も(プレッシャーが)ないときにいいショットが出るから、技術じゃなく気持ちが先走っているのかな、って思ったり……」と首をかしげ、「ヒントが見つからない」「考えすぎかな」と悩みは深い。
「岡本綾子超え」がマクナマラ氏のプラン
「2人とも違う考え方を持っているから、それを合わせていくのは時間がかかる。だけど、どんな選手だって苦しむ時期はある。(宮里)藍だって何年か苦しんだあとに初優勝できたんだからね。桃子が僕の言ったことを理解していないときもあるし、コミュニケーションが十分に取れていないのは事実。だけど、かみ合ったときに僕たちは素晴らしいゴルフができる。桃子はものすごい才能を持った選手だけど、今はその使い方を知らないだけ」
マクナマラ氏には、「プランがある」という。「桃子と米ツアーで18勝を挙げてから(キャディー業を)引退する。そのうち2勝はメジャーだよ」。18勝には、米ツアー日本人最多の17勝を誇る岡本綾子超えの意味が隠れている。それほど才能にほれ込んでいるからこそ、ソレンスタムと培ってきた女王学を惜しげもなく伝授するという。「プロゴルファーはコースに来たら準備ができていないといけないのに、桃子は練習日でさえ準備ができていないときがある。それではダメなんだ」。女王を目指す一歩が、ようやく始まった。
子供のころ、自分の部屋の壁に『根性』と書いた紙を張っていた上田。米ツアーでの優勝に向かって、あきらめない根性も必要だし、努力を続けていくのも根性がいる。今こそ、ド根性の見せどきでは?
<了>
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