佐々木監督「決勝T進出はかなり高い確率」=なでしこジャパン

スポーツナビ
登壇者:
上田栄治(財団法人日本サッカー協会 女子委員長)
佐々木則夫(日本女子代表監督)

池田浩美(TASAKIペルーレFC)
安藤梢(浦和レッズレディース)
澤穂希(日テレ・ベレーザ)
荒川恵理子(日テレ・ベレーザ)

4年の歳月が経ち、世界仕様に

北京五輪登録メンバーを発表したサッカー女子代表の佐々木監督(中央)と、会見に出席した荒川(左)らなでしこジャパン 【スポーツナビ】

上田 2004年7月7日、今から4年と1日前になります。“なでしこジャパン”という愛称を記者会見上で発表しました。私は当時、監督という立場でこちら側の席にいまして、選手たちは浴衣を着て登場しました。浴衣が非常に似合っていましたので「浴衣が似合ってゆかった(良かった)」って……すいません(笑)。
 4年の歳月が経って、監督は私から大橋浩司監督、そして(現在の)佐々木則夫監督へバトンタッチしました。(現在の代表は)より世界仕様のチームに変更したと、そのように思います。北京(五輪)では、われわれの夢である“世界のなでしこになる”に近づけるように、なでしこジャパンらしくベストを尽くしてほしいと思います。

佐々木 世界のトップクラスと戦うに当たって、個として、そしてなでしこのチームとして勝ち得る確率の高い、そして、そのパフォーマンスに近づける選手、現在において私が考えるベストメンバーを選考しました。
 目標については私以上に、なでしこメンバーのメダルへの思い、パワーをひしひしと感じています。そのパワーをいかんなく五輪のピッチで発揮し、彼女たちの思う結果を出させることが私の仕事であり、狙いです。どうぞ皆さん、ご声援よろしくお願い致します。

――18人に絞る際に、一番悩んだことは?

 18人のメンバーについては、各ポジションにおいて、今回はトータルにできるというよりも、そのポジションのスペシャリティーな部分を強調して選考しました。特に(バックアップの)GK山郷については経験があり、チームに鼓動するパワーもあります。そういった中で、海堀あゆみという若い選手を選択したわけですが、世界と戦う中での部分、1つのスペシャリティーな部分で選考しました。
 それはGKにかかわらず、フィールドプレーヤーもです。実際に彼女たちを3年間、プラス監督として1年間見てきて、なでしこの特徴を生かすためのプレーヤーを自信を持って選考しました。

米国に勝つために準備してきたので楽しみ

選考について、世界と戦うためのメンバーを選んだと語る佐々木則夫監督 【スポーツナビ】

――丸山桂里奈に期待する役割、鮫島彩がバックアップメンバーに入った理由は?

(丸山に期待することは)スピードや突破の部分です。ただ、彼女はバランス的なものを考えれば、まだまだ改善するところがあります。
(鮫島の理由は)いろいろなポジションをこなせることです。それはキャンプを通して確認できました。

――ピースカップで米国が優勝したが、(五輪のグループリーグで対戦する)米国とニュージーランドの試合を実際に見て、思っていたイメージ通りだったのか、それとももっと上だったのか。米国は監督が変わり、メンバーも変わったが

 ニュージーランドについてはピースカップで3試合見ましたが、非常にシンプルな攻撃を展開し、全員が守備を頑張っている。そういう意味では、北京五輪の第1戦(ニュージーランド戦)は、ボールを支配しつつも、ボールを奪えないという傾向にならないように注意したい。そして、攻めたときのカウンターを注意することで、その中で戦術を持っていけば勝ち得るチームだと思います。
 米国については複数年、単独チームのように世界でさまざまな試合を展開してきています。そういった中で、戦術よりも個の質が、試合慣れ、コンビネーションの質が自然にチームとしてできあがっている。見れば見るほど質が上がってきています。
 先日ノルウェーに行きまして、ノルウェーと米国、第1戦に当たるお互いのチームがどんな試合をやるのか見てきました。お互いにベストメンバーで戦った中で、ピースカップで見た米国よりも質の高いパフォーマンスをしていました。そういった意味では、やりがいあるチームであり、あの米国に勝つために何とかしようと準備してきたので楽しみにしています。

決勝ラウンド進出はかなり高い確率

――暑さ対策は?

 自分たちの暑さ対策はもちろんですが、大会が北京で行われるということで、われわれと同じような地域なので、ノルウェーや米国よりもわれわれの方に分がある。それは、いかんなく発揮する1つのポイントだと思います。


――対戦国を見てきた中で、今の時点で感じている自信は?

 対戦相手関係なしに、現時点のメンバーだけを考えても、まずこの選手たちを決勝ラウンドに進めなければいけない。それだけの準備はしてきています。そのパーセンテージを上げる視察はしていますが、その中でテクニカルコンディションも含めて、自分たちのコンディションを調節することによって、かなり高い確率で(決勝ラウンドに進む可能性が)あると私は思っています。ただ、選手にしても私にしても過信にならないように、最善の努力をしつつ(大会に)臨むことが大事だと思っています。

――去年のワールドカップ(W杯)は1次リーグで敗退したが、そこから上積みしてきたものどう出していくか?

 W杯で敗退したことで、チームとして学んだことは多かったと思います。非常に質の高いイングランドやドイツとやった中で、相手の攻撃に対してなかなかイニシアチブが持てなかった。ボールを奪うときも非常に苦しんで、逆に言えば、ディフェンスをする間も与えられずに失点するところがあった。もっと連動した中で、組織的に守備を行う。相手からボールを奪う数を多くすることによって、われわれのボールを動かすサッカーができると。

 そこから立ち返ってやった中で、非常にバランスがいいと言いますか、浮き沈みのない試合ができるようになりました。これは相手の個を消すことにつながるわけです。これから戦う米国、ノルウェー、ニュージーランド相手に、自分たちのサッカーを継続することで決勝ラウンドに進む。その後も、そのサッカーができたなら、メダルのことばかりを考えるのではなくて、ゴールを奪うためにトレーニングの中で個の質を上げなくてはいけない。サッカーはシュートを何本打ったから何点入るということはなくて、積み重ねです。決勝ラウンドに行ったら、結果は神様にしか分からないけれども、トレーニングでさらにチームを作っていけば、彼女たちが結果を築き上げてくれると思います。

<了>
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