その泥臭いプレーが観る者を魅了する。気持ちで戦う男の生きざまがそこにある
そう語る末永健雄の顔には、割と派手目な擦り傷が張り付いていた。2季前のプレーオフトーナメント準決勝では試合中に手のひらを骨折。それでも最後まで戦い続け、その6日後には何事もなかったかのように決勝に出場。そうした中でのスタメン連続出場。すべては「気持ちの問題」なのである。
「もともと痛みに強かったわけではないんです。学生時代にひざが痛すぎて、(耐える中で)そこでちょっと強くなったかもしれないです」けがや病の類は予告なくやってきては日常を停止させる。末永は大学3年時にシーズンの開幕戦で左ひざ靱帯を断裂。そこで得た教訓が、いまも心に深く刻まれている。「(プレー中に)ここで無理すべきかどうか。そういったことは考えるようになりました。いまは変に無理をするようなことはありません。自分の体との付き合い方が分かってきたというのはあるかもしれません」
第7節を終えた時点でのトータルのプレー時間は500分で、1試合平均約71分25秒。ポジションはフランカーで背番号は「7」。ほとんどの試合において、ピッチに入ればノーサイドの瞬間まで全力で戦い抜く。「僕は一発でインパクトを残すよりも、長い時間プレーしたほうがいいタイプだと思うんです。今季は試合中に足がつって交代したことがあったのですが、それじゃあダメなんです」今節はホストスタジアム「えどりく」(スピアーズえどりくフィールド)でのコベルコ神戸スティーラーズ戦。
勝てば同会場での連勝記録を20に伸ばす。激しい肉弾戦が予想されるこの一戦。「いつもどおり」の末永がそこにいる。「要は負けず嫌いなんです」そうした言葉の裏に存在するのは、決して華麗さだけではない。しかし、その泥臭いプレーこそが、観る者の心をつかんで離さない。タフでなければ表現できない、彼の生き方がそこにある。
(藤本かずまさ)
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