バーナード・フォーリーの“サヨナラドロップゴール”。それはスローガンを実践した先に

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ バーナード・フォーリー選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

「私たちのテーマである『TAKE YOUR SHOT』を実践できたと思います」

この日のヒーロー、バーナード・フォーリーは勝利をつかみ取った瞬間を、こう振り返った。『TAKE YOUR SHOT』とは、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)が掲げる今季のスローガン。「チャンスをモノにしろ」、「ためらわずに決めろ」といったニュアンスの言葉で、フラン・ルディケ ヘッドコーチいわく「取り組むべき課題を明確にする」、「その明確にした課題にフォーカスする」、「フォーカスした課題に向けて高いレベルで行動を起こし、遂行していく」という3つの意味が込められている。昨季、S東京ベイは接戦で勝ち切ることができず、プレーオフトーナメント進出を逃した。その苦い経験を背景にして生まれたスローガンが『TAKE YOUR SHOT』である。

開幕戦のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)戦。60秒以内に蹴らなければならないショットクロック導入の影響か、バーナード・フォーリーはコンバージョンキックの正確性を欠き、トライ後の得点を積み上げることができずにいた。戦いはトヨタVがリードし、S東京ベイがそれを追う展開に。だが、あくまで結果論ではあるものの、こうしたバーナード・フォーリーの不調ぶりは、そのあとに起こるドラマチックな結末の“伏線”となった。80分を告げるホーンが鳴らされたあと、綱渡りのような展開の中でチームに劇的な“逆転サヨラナ勝ち”をもたらしたのが、バーナード・フォーリーのドロップゴールだった。接戦の中でもがき苦しんでいた、かつてのチームの姿は、そこにはなかった。

「今季はすごくいいプレシーズンを過ごすことができ、選手みんながしっかりとチームを信頼しています。昨季のスタート時点では、そこまでの信頼感を築けていませんでした。ですが、今季は新しく加わった選手たちも、自分がやるべきことを把握した上で試合に臨んでいます。みんなが信頼しているからこそ、このような接戦で勝ち切ることができたのだと思います」(バーナード・フォーリー)

これがS東京ベイの『TAKE YOUR SHOT』。王座奪還につながる新たな道は、信頼の先に作られる。

(藤本かずまさ)
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