青少年のスポーツ観戦率

笹川スポーツ財団
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 笹川スポーツ財団では、1992年から全国の18歳以上、2001年からは10代、2009年からは4~9歳を対象に、「スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)」をそれぞれ隔年で実施し、運動・スポーツ実施状況、スポーツ観戦、好きなスポーツ選手、運動部活動、生活習慣など、国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。2023年6月から7月に、「子ども・青少年のスポーツライフ・データ(4~21歳のスポーツライフに関する調査)」を実施。青少年のスポーツ観戦率の推移を解説します。

本文:松下 由季(笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策オフィサー)

【写真:Adobe Stock】

1. 直接スポーツ観戦率の年次推移(2010~2023年):全体・性別

図1, 直接スポーツ観戦率の年次推移(2010~2023年):全体・性別(12~21歳) 【笹川スポーツ財団「10代のスポーツライフに関する調査」(2010~2015)と「12~21歳のスポーツライフに関する調査」(2017~2023)より作成】

 全体の直接スポーツ観戦率は29.6%であり、観戦人口は330万人と推計できる。観戦率は2010年から2019年にかけて8.9ポイント減少(46.1%→37.2%)し、さらに2021年には新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う直接観戦の機会減少により、18.8ポイントと大幅に減少し18.4%となった。その後の行動制限の段階的な緩和により、スポーツイベントにおける収容人数制限が解除されたことで直接観戦の機会も戻り、2023年には直接観戦率が29.6%まで回復したものの依然として減少傾向は続いている。性別にみると、男女ともに全体の推移と同様に2021年に減少したが、2023年には回復し男子33.0%、女子26.1%となった。

2.テレビやスマートフォンなどのメディアによるスポーツ観戦率の年次推移(2013~2023年):全体・性別

図2,テレビやスマートフォンなどのメディアによるスポーツ観戦率の年次推移(2013~2023年): 全体・性別(12~21歳) 【笹川スポーツ財団「10代のスポーツライフに関する調査」(2010~2015)と「12~21歳のスポーツライフに関する調査」(2017~2023)より作成】

 テレビやスマートフォンなどのメディアによるスポーツ観戦率は、2013年87.9%から減少を続け2021年は65.0%まで下がったが、2023年には71.7%まで回復した。過去10年のメディアによるスポーツ観戦率は減少傾向である。性別にみると、直接観戦率と同様にメディアによるスポーツ観戦率は女子よりも男子のほうが高く、2021年と比較すると男子は3.6ポイント、女子は9.9ポイントそれぞれ増加した。2017年まで男女差はほとんどみられていなかったが徐々に拡がり、2021年には18.4ポイント、2023年では12.1ポイント差となった。

3.直接観戦したスポーツ:全体・性別

表1, 直接観戦したスポーツ:全体・性別(複数回答) 【資料:笹川スポーツ財団「12~21歳のスポーツライフに関する調査」2023】

 2023年に12~21歳が直接観戦したスポーツをみると、全体では「プロ野球(NPB)」の観戦率が10.9%と最も高く、次いで「高校野球」4.9%、「Jリーグ(J1、J2、J3)」4.5%、「サッカー(高校、大学、JFLなど)」3.2%、「プロバスケットボール(Bリーグ)」2.7%であった。性別にみると、男女ともに「プロ野球(NPB)」(男子12.5%、女子9.2%)の観戦率が最も高かった。男子では次いで「Jリーグ(J1、J2、J3)」7.0%、「高校野球」5.1%、「サッカー(高校、大学、JFLなど)」3.7%、「プロバスケットボール(Bリーグ)」2.9%であった。女子では「高校野球」4.7%、「バレーボール(高校、大学、Vリーグなど)」3.4%、「サッカー(高校、大学、JFLなど)2.7%、「プロバスケットボール(Bリーグ)」2.7%が続いた。

4.テレビやスマートフォンなどのメディアで観戦したスポーツ:全体・性別

表2, テレビやスマートフォンなどのメディアで観戦したスポーツ:全体・性別(複数回答) 【資料:笹川スポーツ財団「12~21歳のスポーツライフに関する調査」2023】

 テレビやスマートフォンなどのメディアで観戦したスポーツをみると、全体では「プロ野球(NPB)」が44.3%と最も高く、次いで「サッカー日本代表試合(五輪代表を含む)」36.6%、「メジャーリーグ(アメリカ大リーグ)」23.8%、「高校野球」22.6%、「マラソン・駅伝」17.0%であった。性別にみると、男女ともに「プロ野球(NPB)」(男子50.6%、女子37.7%)が最も高く、次いで「サッカー日本代表試合(五輪代表を含む)」(男子42.0%、女子31.0%)」であった。3位以降は、男子では「メジャーリーグ(アメリカ大リーグ)」30.9%、「高校野球」24.6%、「Jリーグ(J1,J2,J3)」19.7%、「海外のプロサッカー(ヨーロッパ、南米など)」19.4%となり、野球とサッカーが上位を占める。女子では「高校野球」20.5%、「マラソン・駅伝」18.0%、「メジャーリーグ(アメリカ大リーグ)」16.4%、「フィギュアスケート」13.6%が続く。多くの種目で男子の観戦率が高いものの、「フィギュアスケート」は女子が男子より8.8ポイント高く、「マラソン・駅伝」や「バレーボール男子日本代表(龍神NIPPON)」では女子の観戦率が男子をやや上回った。


「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2023」調査概要

■調査内容
運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・運動部、習いごと、スポーツ観戦、スポーツボランティア、好きなスポーツ選手、健康認識・生活習慣、身体活動、個人属性 等

■調査対象
1)母集団:全国の市区町村に在住する12~21歳
2)標本数:3,000人
3)抽出方法:層化二段無作為抽出法

■地点数:全国225地点

■調査時期:2023年6月24日~7月21日
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著者プロフィール

笹川スポーツ財団は、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するスポーツ専門のシンクタンクです。スポーツに関する研究調査、データの収集・分析・発信や、国・自治体のスポーツ政策に対する提言策定を行い、「誰でも・どこでも・いつまでも」スポーツに親しむことができる社会づくりを目指しています。

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