【阪神JF】札幌組から新スター誕生アルマヴェローチェ、初GI制覇の岩田望来騎手「クラシック総なめにできる力を」
アルマヴェローチェが阪神ジュベナイルフィリーズを制し2歳女王に、鞍上の岩田望来騎手は待望のJRA・GI初制覇を飾った 【Photo by Hiroki Yamanaka】
アルマヴェローチェは今回の勝利でJRA通算3戦2勝、重賞は初勝利。手綱をとった岩田望騎手は嬉しいJRA・GI初勝利、上村洋行調教師は同レース初勝利となった。
1馬身1/4差の2着には幸英明騎手騎乗の8番人気ビップデイジー(牝2=栗東・松下厩舎)、さらに1馬身3/4差にはミルコ・デムーロ騎手騎乗の7番人気テリオスララ(牝2=美浦・田島厩舎)が入線。1番人気に支持されていたクリストフ・ルメール騎手騎乗のブラウンラチェット(牝2=美浦・手塚厩舎)は16着、史上初めてとなる米国からの遠征馬でランフランコ・デットーリ騎手が騎乗したメイデイレディ(牝2=米・J.リー厩舎)は13着に敗れた。
デビュー6年目、岩田望騎手初めてのGI・Vロード
中団追走から直線大外を矢のような伸び、先行勢をまとめて差し切った 【Photo by Hiroki Yamanaka】
「2走目でゲートがあまり上手く出ていなかったので、そこだけ気を付けましたが、スタートは五分に出ました。後ろから行っても他の馬にやられてしまうと思ったので、ある程度前につけて行こうと。理想通りの形になったと思います」
アルテミスステークス2着のミストレスが前走同様に果敢にハナを取り、世界のデットーリ騎手の手綱で注目を集めた米国2歳牝馬メイデイレディも勢いよく飛び出して3番手の外を追いかけていく。もともと逃げ・先行で勝ち上がってきた馬が多かったこともあっただろうが、最初の半マイルは46秒5、1000mが58秒5と、やや前がかり。その分、先行勢を見る形のポジションにいたアルマヴェローチェには絶好の展開が待っていた。
「4コーナーから直線にかけて内から出た時に外の馬には迷惑をかけてしまいましたが、追い出してからの脚は凄いものがありましたね」
同期、若手騎手でもっと盛り上げたい
岩田望騎手はデビュー6年目で待望のJRA・GI初制覇、同期の団野騎手と菅原騎手も今年GIを勝っており若手騎手の勢いがさらに増していきそうだ 【Photo by Hiroki Yamanaka】
「ウィナーズサークルでようやく皆さんの声援を聞くことができました。応援してくれるファンの方がたくさんいましたので、GIを1日でも早く勝ちたいと思っていたんです」
今年11月24日には武豊騎手、加賀武見元騎手に次ぐ史上3番目のスピードでJRA通算500勝を達成。20代前半の若手騎手の中では一番星の活躍ぶりだが、GI勝利では2019年デビュー組の同期である団野大成騎手、菅原明良騎手に先を越されていた。
「先日のマイルチャンピオンシップ(団野騎手がソウルラッシュで優勝)も自分は乗っていなかったので悔しい思いをしていました。でも、同期の活躍は刺激になりますし、僕が刺激を与えていることもあると聞いています。なので同期全体でもそうですし、20代の若手騎手でもっと盛り上げていきたいですね」
来春クラシックへ「まだまだ成長してくれる」
来春の桜花賞、そしてオークスへ、アルマヴェローチェが主役の名乗りを挙げた 【Photo by Hiroki Yamanaka】
「1600mじゃないといけない馬ではないですし、引っかかる心配もない。クラシックを総なめできるくらいの力をつけていってほしいですね」
春の大阪杯に続き、自身2度目のビッグタイトルとなった上村調教師もマイルの馬ではないことを強調している。
「これまで千八しか使っていなかった馬ですが、器用な馬なのでカバーしてくれればと思っていました。これから桜花賞に向かうにはこの距離をこなしてもらわないといけないですからね。長いところも向いているのかなという感じもしています」
しかしながら当面の最大目標はやはり、3歳牝馬クラシック第一冠・桜花賞であることはジョッキーもトレーナーも同じ思い。「まずは桜花賞。コース形態も問わない馬だと思うので阪神コースも個人的には大丈夫だと思います」(岩田望騎手)、「春までにまだまだ成長してくれると思うので、それを桜花賞に上手くつなげていきたい」(上村調教師)と、桜が舞う阪神マイルコースの舞台へと視線を向けていた。
札幌2歳S→阪神JF勝ち馬は活躍馬がズラリ
テイエムオーシャン、ソダシに続くか――岩田望来騎手&アルマヴェローチェのコンビのさらなる活躍を期待したい 【Photo by Hiroki Yamanaka】
また、ヤマニンシュクル(2003年)は桜花賞3着・秋華賞2着、レッドリヴェール(2013年)が桜花賞2着と、軒並み翌年の牝馬三冠戦線で好成績を収めている。この傾向に照らし合わせれば「クラシックを総なめできる力を」と岩田望騎手が期待を寄せるのもうなずけるし、またそれだけの手応えを持っているということなのかもしれない。札幌2歳S組から新たなスター牝馬の誕生だ。(取材・文:森永淳洋)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ