パドレス松井に弟子入りをして飛躍の一年となったロッテ鈴木昭汰。一年の締めは侍ジャパンの一員として、いざ世界一へ

千葉ロッテマリーンズ
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松井裕樹選手と鈴木昭汰選手 【千葉ロッテマリーンズ提供】

 「行かないでくれ!」と最後は祈るような気持ちで打球の行方を見つめた。鈴木昭汰投手は4月17日、本拠地ZOZOマリンスタジアムでのライオンズ戦で最後の打者を右飛に打ち取ると記念すべきプロ初セーブを挙げた。2点リードながら二死二塁。一発出れば同点の緊迫の場面としながらも最後の打者を気持ちで抑えた。試合後、鈴木は「素直に嬉しいです」とホッとした表情で喜びを口にした。

 20年ドラフトの1位でマリーンズに入団。即戦力左腕として大きな期待をかけられたが、ここまでの3年間は自身が思い描いていたようなパフォーマンスを出せないシーズンが続いた。そして迎えた今年。1月を奄美大島で過ごした。昨年までイーグルスの絶対的守護神として君臨し今年からメジャーリーグのサンディエゴ・パドレスでプレーをする松井裕樹投手に弟子入りをした。

 「憧れの人。高校時代もスライダーとか真似をしたりしていた。あのピッチングスタイルにずっと憧れていた。ずっと意識をしていた人。この世界に入って、一緒に練習が出来るなんて本当に不思議ですし、めちゃくちゃ勉強になりました」と鈴木は振り返る。

 昨年、松井とイーグルス在籍時にチームメートだった美馬学投手に紹介をしてもらい実現した鈴木にとっての夢の時間。様々な事を教わった。

 「一言で言うと野球人。24時間、野球の事を考えている人。睡眠、食事、身体のケアまで生活のすべてが野球中心。食事も毎日、一緒にさせていただいたけど、野球の話が中心でした」とどこまでもストイックな姿に刺激を受けた。

 ある時、「自分は心配性だ」と相談したことがあった。

 すると「それはみんな同じ。オレもそう。むしろ、心配性の方がこの仕事はいい」と優しく話をしてくれた。

 臆病だからこそ、怖いからこそ、悪いことが起きないように努力と準備を怠らない。事前に色々と考えを巡らせて動く。なるほどと思った。

 忘れられない松井の言葉がある。

 「打たれても明日がある。この世界はそう思った方がいい。ただ、明日は絶対に抑える。打たれた時はそういういつも以上に強い気持ちを持つことが大事」。日本で236セーブを挙げた男の言葉はしっかりと胸に刻まれた。

 初セーブを挙げて帰路につく寸前、電話が鳴った。松井からだった。「よかったね。次につなげろよ。お互い頑張ろう」とメッセージをもらった。
 
「いつも自分の事を気にしてくれてチェックして連絡をいただいている。向こうは時差もあるし、メジャー1年目という事で大変なはずなのに、本当にありがたい。嬉しいです」と嬉しそうに笑った。
 
 憧れの左腕から教わった数々の言葉を胸に背番号「47」が2024年、躍動の時を迎えた。終わってみれば、鈴木は大車輪の活躍。51試合に登板して防御率0.73。150キロを超える剛速球を中心に安定感溢れる投球を披露しマリーンズの勝利に貢献した。そして今、侍ジャパンの一員としてラグザス presents 第3回WBSCプレミア12に出場。チームには欠かせない一員として東京ドームで行われるスーパーラウンドに挑む。飛躍の一年となった2024年の最後は世界一で決めたい。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
 
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