上田桃子へ出場選手が感謝のセレモニー

チーム・協会

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

第43回大王製紙エリエールレディスオープン エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)第2日

 2週前に突然のツアーを撤退する意向を表明した上田桃子。07年に若干21歳で賞金女王のタイトルを獲得し、一躍トッププロへの道を駆け上がった。その後、USLPGAツアーへの挑戦などもあったが、JLPGAツアー16勝、USLPGAツアー1勝をマーク。年齢こそ38歳とベテランの域に達しているが、今季も優勝こそないものの、前週終了時のメルセデス・ランキング46位とシード権を獲得できる位置をキープしていた。

 当然、まだまだツアーで活躍できるという期待も大きく、他の選手からも今回のツアー撤退宣言を惜しむ声が多く聞かれた。今大会での結果次第では、ツアー最終戦であるJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップが上田にとって最後の試合になる可能性もあったが、2日目を終えて通算4オーバーの88位タイと予選落ちに。とりあえず、今大会が上田の最終戦となった。

 第1日を5オーバーと出遅れただけに、第2日は起死回生を狙った上田。たとえグリーンの端にピンが切ってあっても、積極的にピンを狙いにいった。序盤は思うようにパットが決まらず、パーが並んだが、7番からはバーディーが先行。最終的にこの日は70で回り、スコアを1つ縮めた。「本当は17番でイーグルを決めたかったんですけどね」。2オンに成功した17番パー5では、約6メートルのイーグルパットを決めることができなかったことを悔やんだ

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 ラウンドの終盤では、上田のラストプレーを目に焼き付けようと、先にホールアウトしていた出場選手が観戦。改めて後輩プロからの人望が厚かったことを認識させた。それをさらに証明したのが、全選手ホールアウト後に行われたセレモニーだ。多くの選手、キャディー、ツアー関係者が見守る中、主催者と選手有志代表の小祝さくらが花束を渡し、金田久美子が記念品を、そして脇元華が上田の似顔絵がプリントされたTシャツを手渡した。

 「まさかあのようにたくさんの選手が待っていてくれているとは思わず、本当にビックリしました」。親交の深い選手から、ほとんど会話したことがない選手まで幅広い層がセレモニーに出席したのは、上田のゴルファーとして、人間としての生きる姿勢に魅力を感じていたからだろう。そんな後輩たちへのメッセージを上田は次のように語っていた。「自分を一番信じて、自分を一番大事にして、自分のことをよく知っている選手がすごく強いと思うので、まずは自分を大事にしてほしいです」。

 上田のコーチを11年間務めてきた辻村明志氏によれば、「途中、いろんな問題もありましたが、その度に話し合いをして前を向くために何ができるかを2人で考えました」と、試行錯誤を繰り返した11年間だったという。いい意味でお互いがぶつかり合い、高め合うことができた関係だったのは間違いない。

 まだ第2の人生を歩むテーマは決まっていないが、上田がゴルフから完全に離れることは想像しにくい。まずはツアープロ生活20年間の疲れをゆっくりと癒してほしいものだ。(山西 英希)

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

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