佐々木朗希投手のこと
【佐々木朗希投手のこと】
【これはnoteに投稿された瀬間桑作さんによる記事です。】
千葉ロッテマリーンズ・佐々木朗希投手の来季からのアメリカ挑戦を、球団が認めたという記事を見ました。
彼の年齢だと移籍金に制限があり、たとえば山本由伸投手がポスティングした際にオリックスが得た金額に比べて、ロッテは70億円ほど損をするとか。
その他の記事やネットの反応も、見出し程度ですが拝見しました。
「入団当初から密約があったのではないか」
「ゴネ得。今後の若い選手に悪影響」
「日本はメジャーの踏み台じゃない」……。
なるほどまぁ、そういう見方もよく分かります。
理想を言うなら(また名前を挙げて恐縮ですが)山本由伸投手のように、チームを優勝させて日本一にもなって、沢村賞も獲って名実共に国内最高の先発投手になり、移籍金等でも球団に大きく貢献をした上で行ってほしい、行くべきだ(結果ワールドシリーズまで制しましたし)。
そういうみんなが納得する「美しい形」ではないのは事実ですよね。
私もそう思う部分もあります。
ただ、佐々木投手は高校時代からずっとトップクラスの注目を浴び続けて、実際にメジャーのスカウトも来ていたわけです。
高三の頃から5年間。23歳の彼からすれば長い時間です。
(元々の素質は凄かったとはいえ)オリックスで実績を積んで次第に注目を集めていった山本投手とはそこが違います。
最初からメジャーが見えていた分、待ちきれない思いは強かったのでしょう。球団への恩義はあれど、「大きく育ててもらった」という意識がそこまで強くないのは仕方ないかと思います。
それを言ってしまうと「じゃあ大谷はどうなんだ、高校時代からメジャー行くって宣言してたぞ」ということになりますが……。
これも「佐々木投手-吉井監督」が「大谷選手-栗山監督」ほどの信頼関係を築けなかったのかというと、そういうわけでもないと思うんです。
大谷選手の場合は、二刀流という「挑戦」があった。
日本球界にいても、常に高いところに意識を持って、毎試合といえるくらい何かに挑戦し続ける環境を、球団と栗山監督から提示され続けた。
だから機が熟するまで待てたし、それが将来の活躍に繋がる、と大谷選手自身が納得していたのだと思います。つまり飽きずにいられた。
佐々木投手の場合は、当然ながら投手一本です。
大きな目標としてのチームの優勝や、年間の自己成績、ローテを守ることなどの長期的な挑戦はあるにせよ、目の前の具体的なハードルではない。
もっと遠くを見ている彼にとっては、常に闘志を燃やせるほどの大きな挑戦、目標ではなかったのでしょう。
もちろん彼にチーム愛がない、優勝への意欲がないとは言いません。
ただ、もっと上を目指す「渇望」を満たすだけのものを、吉井さんも含め、日本では誰も用意できなかったということです。
要は、あの完全試合。あれがすべてだと思います。
投手として、目の前の目標として究極なもの。
一試合を27人連続アウトで終わらせる。
これを入団3年目、20歳、史上最速、最年少でやってしまった。
しかも19奪三振(NPB記録)+13連続奪三振(世界記録)のおまけつき。
あれで、彼が日本球界というものに「挑戦」の価値を感じなくなった。
そんな気がしています。
今季終盤に、解説者のどなたかが「朗希はあの完全試合がピークだった」と発言されていましたが、その通りなのだと思います。
身体の成長やメカニック的なものはともかく、精神的にはそうです。
NPBを舐めてるとかいう話ではなく、一試合という先発投手の最小スパンでやれることはもう成し遂げてしまった。
大谷も由伸もダルもやってないことをやってしまったわけです。
もともと海外を意識していたわけですから、これで本当に「メジャーで投げなきゃ意味がない」と思うのは当然だと思います。
密約うんぬんも、入団時はなかったと思います。
でなければ、去年のオフにあんなに揉めませんよね。
球団も、渡米までの五年間をちゃんとスケジューリング、プロデュースして、華々しく送り出すプランを立てたはずです。
今回ロッテがOKしたのは、これ以上引き止めても佐々木投手の(主に精神面で)パフォーマンスは上がらないだろうし、それは本人にとっても球団にとっても、チームメイトにとってもメリットはない。
ファンからも懐疑的に見られ、集客とか売上にも悪い影響をもたらしかねない。そういう判断があったのだと思います。
先述の70億円損する話も、もともとは「ドラフトで当たりくじが引けたから」というだけのことです。佐々木投手の成長に関してロッテが何もしなかった、というのは絶対違いますが、山本投手&オリックスの場合と同列に語るべきではないと考えます。
★仮にロッテ側からの渡米に対する条件があるとしたら、佐々木投手を獲るアメリカの球団なり、代理人から今後何かしらの便宜を図ってもらうことでしょう(ルールの範囲で)。
契約がまとまらなくて日本行きを視野に入れている選手を、優先的にロッテに紹介するとか。その際、米国側で何かしら負担するとか。
裏方さんやコーチの人的交流はタンパリングに関わってくるので禁止という話も出てましたが、それに準ずるなにがしかを得る、ということもあるかもしれません。ないかもしれません。そのへんのルール詳しくないので適当なこと言ってたらごめんなさい。
話は戻って。「朗希は銭ゲバ」「金のことだけ考えてメジャー行き」という批判も、的を射ていないと感じます。
あと2年待てば、契約金で大金を得られるのは球団だけではなく、佐々木投手自身も同じ事ですよね。
このまま日本にいたとして、2年後の彼の価値がどうなっているかは分かりませんが、成績がそこそこだとしてもメジャーの金銭スケールなら契約金数十億、年俸数億という話は普通に出てくるでしょう。
その「安定」を求めなかった時点で、佐々木投手が金銭面だけを考えて渡米するのではないことは明らかです。
あちらでなら、マイナー契約から始まったとしても(むしろそのほうが)、彼の闘志をかき立てる「大きな挑戦」なのだと思います。
彼の年齢だと移籍金に制限があり、たとえば山本由伸投手がポスティングした際にオリックスが得た金額に比べて、ロッテは70億円ほど損をするとか。
その他の記事やネットの反応も、見出し程度ですが拝見しました。
「入団当初から密約があったのではないか」
「ゴネ得。今後の若い選手に悪影響」
「日本はメジャーの踏み台じゃない」……。
なるほどまぁ、そういう見方もよく分かります。
理想を言うなら(また名前を挙げて恐縮ですが)山本由伸投手のように、チームを優勝させて日本一にもなって、沢村賞も獲って名実共に国内最高の先発投手になり、移籍金等でも球団に大きく貢献をした上で行ってほしい、行くべきだ(結果ワールドシリーズまで制しましたし)。
そういうみんなが納得する「美しい形」ではないのは事実ですよね。
私もそう思う部分もあります。
ただ、佐々木投手は高校時代からずっとトップクラスの注目を浴び続けて、実際にメジャーのスカウトも来ていたわけです。
高三の頃から5年間。23歳の彼からすれば長い時間です。
(元々の素質は凄かったとはいえ)オリックスで実績を積んで次第に注目を集めていった山本投手とはそこが違います。
最初からメジャーが見えていた分、待ちきれない思いは強かったのでしょう。球団への恩義はあれど、「大きく育ててもらった」という意識がそこまで強くないのは仕方ないかと思います。
それを言ってしまうと「じゃあ大谷はどうなんだ、高校時代からメジャー行くって宣言してたぞ」ということになりますが……。
これも「佐々木投手-吉井監督」が「大谷選手-栗山監督」ほどの信頼関係を築けなかったのかというと、そういうわけでもないと思うんです。
大谷選手の場合は、二刀流という「挑戦」があった。
日本球界にいても、常に高いところに意識を持って、毎試合といえるくらい何かに挑戦し続ける環境を、球団と栗山監督から提示され続けた。
だから機が熟するまで待てたし、それが将来の活躍に繋がる、と大谷選手自身が納得していたのだと思います。つまり飽きずにいられた。
佐々木投手の場合は、当然ながら投手一本です。
大きな目標としてのチームの優勝や、年間の自己成績、ローテを守ることなどの長期的な挑戦はあるにせよ、目の前の具体的なハードルではない。
もっと遠くを見ている彼にとっては、常に闘志を燃やせるほどの大きな挑戦、目標ではなかったのでしょう。
もちろん彼にチーム愛がない、優勝への意欲がないとは言いません。
ただ、もっと上を目指す「渇望」を満たすだけのものを、吉井さんも含め、日本では誰も用意できなかったということです。
要は、あの完全試合。あれがすべてだと思います。
投手として、目の前の目標として究極なもの。
一試合を27人連続アウトで終わらせる。
これを入団3年目、20歳、史上最速、最年少でやってしまった。
しかも19奪三振(NPB記録)+13連続奪三振(世界記録)のおまけつき。
あれで、彼が日本球界というものに「挑戦」の価値を感じなくなった。
そんな気がしています。
今季終盤に、解説者のどなたかが「朗希はあの完全試合がピークだった」と発言されていましたが、その通りなのだと思います。
身体の成長やメカニック的なものはともかく、精神的にはそうです。
NPBを舐めてるとかいう話ではなく、一試合という先発投手の最小スパンでやれることはもう成し遂げてしまった。
大谷も由伸もダルもやってないことをやってしまったわけです。
もともと海外を意識していたわけですから、これで本当に「メジャーで投げなきゃ意味がない」と思うのは当然だと思います。
密約うんぬんも、入団時はなかったと思います。
でなければ、去年のオフにあんなに揉めませんよね。
球団も、渡米までの五年間をちゃんとスケジューリング、プロデュースして、華々しく送り出すプランを立てたはずです。
今回ロッテがOKしたのは、これ以上引き止めても佐々木投手の(主に精神面で)パフォーマンスは上がらないだろうし、それは本人にとっても球団にとっても、チームメイトにとってもメリットはない。
ファンからも懐疑的に見られ、集客とか売上にも悪い影響をもたらしかねない。そういう判断があったのだと思います。
先述の70億円損する話も、もともとは「ドラフトで当たりくじが引けたから」というだけのことです。佐々木投手の成長に関してロッテが何もしなかった、というのは絶対違いますが、山本投手&オリックスの場合と同列に語るべきではないと考えます。
★仮にロッテ側からの渡米に対する条件があるとしたら、佐々木投手を獲るアメリカの球団なり、代理人から今後何かしらの便宜を図ってもらうことでしょう(ルールの範囲で)。
契約がまとまらなくて日本行きを視野に入れている選手を、優先的にロッテに紹介するとか。その際、米国側で何かしら負担するとか。
裏方さんやコーチの人的交流はタンパリングに関わってくるので禁止という話も出てましたが、それに準ずるなにがしかを得る、ということもあるかもしれません。ないかもしれません。そのへんのルール詳しくないので適当なこと言ってたらごめんなさい。
話は戻って。「朗希は銭ゲバ」「金のことだけ考えてメジャー行き」という批判も、的を射ていないと感じます。
あと2年待てば、契約金で大金を得られるのは球団だけではなく、佐々木投手自身も同じ事ですよね。
このまま日本にいたとして、2年後の彼の価値がどうなっているかは分かりませんが、成績がそこそこだとしてもメジャーの金銭スケールなら契約金数十億、年俸数億という話は普通に出てくるでしょう。
その「安定」を求めなかった時点で、佐々木投手が金銭面だけを考えて渡米するのではないことは明らかです。
あちらでなら、マイナー契約から始まったとしても(むしろそのほうが)、彼の闘志をかき立てる「大きな挑戦」なのだと思います。
また脱線しますが――。
「金だけの話ではない」とはいえ、日米球界の金銭的格差はとんでもないところにきています。どなたかが「メジャーの踏み台じゃない」と憤慨しても、この状況ではそうなっても仕方がない。
そこをアメリカに追いつこうとしても、入場料やグッズの価格が上がるだけ、有料放送の値段が上がるだけなら野球ファンは離れていくばかりです。稼ぐシステムが違うのだから、そこは割り切るべきだと思います。
今後は、年齢制限のルールなど日米間で見直しをはかって、行きたい選手は何歳だろうと何年目だろうとどんどん行かせる。
そして移籍金を稼ぐ。球団は潤う。年俸も上げられる。つまりは残る人も増える。
逆に、有力な学生や社会人選手が直接米国に行くパターンは認めない。そのかわり1年でもNPBでプレーしたらOKする。
それなら球団も選手側(と選手会)も納得するのではないかと。
もちろん長期的なチーム作り、という面ではマイナスです。
ドラフトの戦略なんかも変わるし、結果的にトレードも増える。
複数年契約の話とか、いろいろ深謀遠慮が交錯しそうですよね。
ただ、あちらに行けば行っただけ、水が合わずに戻ってくる人も増えるわけです。そういう意味では一方的な売り手市場というわけでもない。
戻ってきた選手を受け入れるルールもちゃんと作る。
在籍○年までは、優先的に元の球団に戻るとか(球団側で拒否も可能)。
年俸はアメリカで得ていた○%以上でなきゃならないとか。
球団にも選手にもメリットがあるように。
メジャーへの流出が増えると、NPBのレベル低下という事態も想定できますが、行かない人は何があっても行かないでしょうし、野球の質そのものが違うので、そこまで大きく地盤沈下することはないような気がします。
そもそも日本は高校も大学も社会人もレベル高いですから、新しいスターがどんどん出てきて、どんどんステップアップするとも考えられます。
(少子化を多少なりともゆるやかにすることが先決ですけど)
最後の大きな問題としては、やはりファン心理ですよね。
移籍が当然の米国と違い、日本はどうしても「うちのチームの○○選手」という意識が強いし、よそに行けば裏切り者扱いされることも多々あります。
トレードが増えること自体、あまりいい印象をもたれないかもしれません。
「うちのチームを捨ててメジャーに行った」そんなふうに思う人もたくさんいるでしょうし、一人の選手の存在があるかないかだけで、応援熱が変わってしまうこともよくあることです。
それもまた、日本の野球文化のひとつですし。
なかなか答えは出ませんが、このケアについては、NPB、球団、選手会、選手、みんなが課題として共有していくしかないかと思います。
この妄想がまさかの現実になればの話ですけども……。
「金だけの話ではない」とはいえ、日米球界の金銭的格差はとんでもないところにきています。どなたかが「メジャーの踏み台じゃない」と憤慨しても、この状況ではそうなっても仕方がない。
そこをアメリカに追いつこうとしても、入場料やグッズの価格が上がるだけ、有料放送の値段が上がるだけなら野球ファンは離れていくばかりです。稼ぐシステムが違うのだから、そこは割り切るべきだと思います。
今後は、年齢制限のルールなど日米間で見直しをはかって、行きたい選手は何歳だろうと何年目だろうとどんどん行かせる。
そして移籍金を稼ぐ。球団は潤う。年俸も上げられる。つまりは残る人も増える。
逆に、有力な学生や社会人選手が直接米国に行くパターンは認めない。そのかわり1年でもNPBでプレーしたらOKする。
それなら球団も選手側(と選手会)も納得するのではないかと。
もちろん長期的なチーム作り、という面ではマイナスです。
ドラフトの戦略なんかも変わるし、結果的にトレードも増える。
複数年契約の話とか、いろいろ深謀遠慮が交錯しそうですよね。
ただ、あちらに行けば行っただけ、水が合わずに戻ってくる人も増えるわけです。そういう意味では一方的な売り手市場というわけでもない。
戻ってきた選手を受け入れるルールもちゃんと作る。
在籍○年までは、優先的に元の球団に戻るとか(球団側で拒否も可能)。
年俸はアメリカで得ていた○%以上でなきゃならないとか。
球団にも選手にもメリットがあるように。
メジャーへの流出が増えると、NPBのレベル低下という事態も想定できますが、行かない人は何があっても行かないでしょうし、野球の質そのものが違うので、そこまで大きく地盤沈下することはないような気がします。
そもそも日本は高校も大学も社会人もレベル高いですから、新しいスターがどんどん出てきて、どんどんステップアップするとも考えられます。
(少子化を多少なりともゆるやかにすることが先決ですけど)
最後の大きな問題としては、やはりファン心理ですよね。
移籍が当然の米国と違い、日本はどうしても「うちのチームの○○選手」という意識が強いし、よそに行けば裏切り者扱いされることも多々あります。
トレードが増えること自体、あまりいい印象をもたれないかもしれません。
「うちのチームを捨ててメジャーに行った」そんなふうに思う人もたくさんいるでしょうし、一人の選手の存在があるかないかだけで、応援熱が変わってしまうこともよくあることです。
それもまた、日本の野球文化のひとつですし。
なかなか答えは出ませんが、このケアについては、NPB、球団、選手会、選手、みんなが課題として共有していくしかないかと思います。
この妄想がまさかの現実になればの話ですけども……。
いろいろと批判や意見はあるとしても、個人的には佐々木朗希投手の今後の挑戦を応援しようと思います。GOOD LUCK, ROHKI!
(私も23の時、最初の勤め先をあっさり辞めたなぁと思い返しつつ)
2024/11/12 瀬間桑作
(見出し画像はお借りしました。ありがとうございます)
(私も23の時、最初の勤め先をあっさり辞めたなぁと思い返しつつ)
2024/11/12 瀬間桑作
(見出し画像はお借りしました。ありがとうございます)
見出し画像:mayu
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