早大男子バレー部 全勝優勝達成! 歓喜の表情で秋季リーグを終える

チーム・協会
秋季関東大学リーグ戦 10月27日 日体大健志台キャンパス
【早稲田スポーツ新聞会】記事 井口そら、写真 井口瞳、町田知穂
 約2カ月間にわたって続いた秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ)もついに最終戦。対戦した中大は春季関東大学リーグ戦で敗北を喫した相手であり、春のリベンジと秋の全勝を懸け戦った。早大が攻守ともに抜群のチーム力を発揮し、セットカウント3―0(25―22、25―19、25―23)とストレートで勝利し秋季リーグを無敗で終えた。

 1セット目序盤、MB麻野堅斗(スポ2=京都・東山)がサーブで相手を崩しブレイクのきっかけをつくると、さらに連続で相手のスパイクをレシーブしてつなぎ、セッター前田凌吾主将(スポ3=大阪・清風)がブロックで相手スパイクをシャットし、早大の雰囲気を一気に盛り上げる。続けてMB菅原啓(教2=山形南)もブロックでスパイクを封じ8―5と先行。両ミドルのクイックでの活躍もありリードを維持しながら試合を進めていく。しかし、相手のワンポイントブロッカーの起用が効き、3連続でブロックを食らい20―21とセット終盤で逆転されてしまう。緊迫したこの状況を麻野がシャットアウトですぐさま打開する。勢いに乗った早大は長いラリーをOH徳留巧大(スポ1=長野・松本国際)が決め切って制すると、最後はリベロ布台聖(スポ2=東京・駿台学園)のサーブレシーブから徳留がスパイクを決め、25―22で1セット目を取った。

麻野のクイック 【早稲田スポーツ新聞会】

 2セット目、早大は菅原のクイックで得点しスタート。麻野が相手のスパイクのタッチを取り、布台がトスを上げるとOH佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)が3枚ブロックを相手に打ち切り、最初にブレイクに成功する。その後早大のミスもあり一進一退となる中で、菅原が相手の前に落とすテクニカルなサーブでサービスエース。続けて麻野が相手のバックアタックをシャットし3連続得点で前に出ると、さらに佐藤もサービスエースを決め、相手は堪らずタイムアウトを要求する。前田が連続して同じ選手にトスを上げ決め切らせる強気なトスワークを展開し、リードを譲らない。終盤に相手側にミスが重なり点差を大きく広げると、最後はOP畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)がバックアタックで着実にサイドアウトを取り25―19で2セット目を制した。

布台の二段トス 【早稲田スポーツ新聞会】

  ストレートで取り切りたい3セット目、早大は1点目から菅原がシャットし勢いをつけてスタートするが、序盤から互いにブレイクを取り合う激しい展開が続く。前田が相手のクイックを上げ、高く上がった二段トスを畑が打ち切りブレイク。さらに布台がスパイクを上げてつなぎ、相手のミスを誘うなど守備が光る一方、中大もサービスエースや、長いラリーでは早大の粘りを振り切りブレイクし譲らない。ラリーを制された直後に前田がツーで意表を突いて得点し食らいつくが、11―13と中大有利で中盤に突入。ここで中大にミスが出た瞬間を逃さず畑がサーブで攻め込む。プレッシャーを与え相手のミスを誘発し前に出る。さらに相手スパイクをブロックに掛け、布台がフロアのボールを拾い攻撃を展開するなど、ブロックとレシーブの連携から一気に5連続得点で逆転。また、前田が左にずれたレシーブボールに対し素早く下に入り、麻野もそれに合わせてずれた位置からクイックを叩き込む息の合ったコンビネーションを発揮する。しかし、中大もクイックや攻めたサーブでブレイクを重ね20―20と同点まで迫られる。追いつかれた早大だったが、決して冷静さを欠くことはなかった。ここで前田が佐藤に上げたトスでノーブロックの状況を作り出し得点し、続けて布台のディグから菅原が押し込んで再び先行。そして布台のレセプションから菅原が流れながらもクイックを決め、最後は麻野のクイックがブロックアウト。25―23でセットを取りセットカウント3―0とストレートで勝利し全勝優勝を達成した。

勝利を決めた瞬間の選手たち 【早稲田スポーツ新聞会】

 見事に全勝優勝を達成した早大。春季リーグで苦い敗北を味わった相手に対し、プレッシャーのかかる最終戦で果敢に挑み勝利を掴み取ったことは、夏を経て大きく成長したことの証明ではないだろうか。同時に勝利した瞬間の歓喜の表情と涙から、ここに来るまでに計り知ることのできない様々な思いや苦しみも味わってきたことを感じ取れた。春季リーグ、東日本選手権大会と思うような結果が挙げられなかった中、ここまで大きな躍進を遂げ今年度初タイトルを獲得した意義は非常に大きい。今年度最後の大会である全日本選手権大会の開催は約1カ月後まで迫っている。「今までやってきたことを一個一個思い出して自分たちのベストを尽くせれば」(安田)。全員が4年生の思いを背負って力を発揮しきることができるよう祈るばかりだ。

集合写真 【早稲田スポーツ新聞会】

コメント

安田治揮主務(商4=新潟第一)

【早稲田スポーツ新聞会】

――今日の試合を振り返って

 先週の天皇杯が3セットマッチということもあって、カテゴリーの違う相手との試合で自分たちが力を存分に出すことができなかったという試合が日体大さんと富士通さんとでありました。今日の試合は、平日の練習でも自分たちの中で上手くいかない部分があったのですが、自分たちのやるべきことをしっかりやろうということと、夏合宿からの秋リーグの締めくくりとして存分に出し切ろうということで、一人一人が課題とやることを明確にできたのかなと思います。

――秋季リーグ全体を振り返って

 春リーグでは終盤に崩れてしまったところがあったのですが、それに比べて秋は夏合宿で後輩たちが厳しい練習を乗り越えてくれて。夏合宿は14日あったのですが、1日もオフなく本当にハードな日程で、そこでも常に上を向いて頑張ってくれた後輩たちがここで練習の成果を出してくれたのかなと思います。

――秋季リーグの中で終盤にかけて成長した点は

  今日の試合でもあったのですが、センター線でミドルとパイプがしっかり機能するようになったというところと、あとはチームとして後半にかけてディグアタックというサーブから攻撃の流れでブレイクを取るという練習をしていたのですが、その点でディグがしっかりつながるようになって。精神的な部分も大きいとは思うのですが、相手に向かっていく姿勢であったりとかは春から比べて格段にこの夏を経て成長できた部分かなと思います。

――全日本インカレに向けての課題

 チームが若いというところもあってまだ安定していない部分があるのですが、毎日の厳しい練習の中で自分たちでこれといったものを確立できると思います。これから1カ月間しかないですが、チーム全員でやることを明確にして、誰が出ても強い早稲田をつくれるように、これからもさらに成長できるように頑張っていきたいと思います。

――全日本インカレへの意気込み

 個人としては4年間で最後の大会になるので、自分のポジションとしては主務でマネジメントが役割なのですが、選手のみんなが全力を出し切れるようにマネジメントをしたいです。チームとしては、若いチームで、去年全日本インカレにスタメンで出場したメンバーが半分以下なので、みんな緊張する大会になると思うのですが、今までやってきたことを一個一個思い出して自分たちのベストを尽くせればいいなと思います。
中澤彩恵アナリスト(人4=埼玉・浦和ルーテル学院)

【早稲田スポーツ新聞会】

――全勝優勝した今の気持ちは

 率直に言うと、ホッとしたなというのが一番です。1年生とかがすごく仕事を頑張ってくれたり、プレー面でも1、2、3年生が主体でやってくれている中で前半戦はいい思いをさせてあげられませんでした。夏に合宿などきつい練習をみんなで考えてやってきて、まだ全カレに向けた通過点ではあるけど4つのタイトルの中の1つは取れて少しは下級生の思いを報わせられたかなと思うし、この自信を全カレに向けてもらえたらなと思います。

――秋季リーグのアナリスト陣を振り返って

 今年の自分が大事にしたいと思っているのが、個性豊かな後輩たちなのですが、いいところを引き出してあげたいなと思っていて。この秋リーグでは4人の後輩一人一人に任せていることは違うので、全員が足りないところは努力して全カレに向けて成長しつつ、いいところを伸ばしていけたらなと思っていました。まだまだなところもたくさんありますが、一つ「こういう形で最後全員で協力できたらな」という形が見えてきたので、あと1ヶ月、個人のスキルもそうですし、全カレに向けたデータ系の準備も抽選の結果が出たらすぐに始まるのでみんなで協力してやっていきたいです。

――今シーズン、アナリストの最上級生としてどういった意識で取り組んできましたか

 特に秋はデータが春(リーグ)と東日本(インカレ)で揃ってきていて、そこに対して夏にどういう変化が各チームに出てきたというのがあるので、前半戦に比べて詳細なデータを出すようにしてきました。春は早稲田として自分のチームを育てる、大きくするということが多いのですが、秋は相手の対策も踏まえて動けるようにならなければならないので、そういうところはデータで補強するようにしていました。詳細なデータを出す中で、出しすぎると選手にとって情報量が多くなるので、詳細なデータは監督やコーチに出しつつ、選手には端的に大事なところだけを伝えるというのは気にかけるようにしていました。

――今日の試合を振り返って

 今日の試合は早稲田の強みを出すためには向かっていく姿勢が大事で、最終戦というものに全員が勝って終わるために一丸となって準備から盛り上がって向かっていたというのが大きいと思います。なかなかブレイクを取れなくて相手のサイドアウトも良くて接戦だったのですが、集中力を切らさずにみんなやっているのが伝わってきましたし、特にラリーが長くなったところでつなげていた場面とかは春や東日本と比べてデータを打っている中でも感じました。ハイボールとか勝負所できちんと決め切れているところとか、もちろんそれはスパイカーだけではなく、つないでくれたリベロやセッターの全部がつながっているので、そういった細かいプレーも今日を振り返って思うところです。

――前半戦からのチームの成長はどういったところにありますか

具体的なプレーというよりは抽象的なものになってしまうのですが、この秋になるにつれて全員が人間として成長したというのは感じています。チームスタイルとして、去年まで4年生が試合に出て引っ張る、簡単にいうとわかりやすいチームだったのが、代が変わって4年生がプレーじゃない形で引っ張らなければならず、私含め4年生も苦労しましたし、下級生も最初の頃はどうしたらいいかとか、去年の形しか知らない選手も多いのでそこに囚われちゃってというのがありました。時間を経てみんなで話し合ったりする中で、できないところに目を向けるのではなく、今いるメンバーでとか、今ある能力でどうしたら1番強くなるのかという考え方に変わっていき、支えて合って、助け合って、伸ばし合って、生かし合ってというのが組織の面でもプレーの面でも考え方が大人になってというのはチームの成果として秋は大きかったと思います。

――全日本インカレへの意気込み

 1番いいのは自分も先輩方に育ててもらって、いい経験をさせてもらったので、自分も最後は最上級生として後輩にいい思いをさせてあげたいです。見ていると、コートの中とか華やかな場面に目が行くと思うのですが、その裏では1年生の子が違うタイミングで審判をしていたり、モップに入ってくれたり、本当にユニフォーム着てない子もみんな支えてくれて全員が全員の役割を果たしているのが早稲田なので、そういう子たちも含め、全員が頑張って良かったなと思ってほしいです。辛いことはもちろんたくさんあったけど、報われたなと思う全カレになるように頑張っていきたいです。
OH佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)

【早稲田スポーツ新聞会】

――全勝優勝した今の気持ち

 去年も結果としては全勝優勝という形になっていましたが、今年はチームへの貢献の仕方として、自分が試合に出て全勝優勝できたので、それはすごく嬉しいです。

――今日はチーム力が秋季リーグを通して一番良かったように感じます。やっていて実感はありましたか

 何度も苦しい場面があったと思うのですが、そういう時に仲間の顔を見たりとか、ベンチや上で応援してくれる人も全員揃って、向かっていくっていうことはできたと思うので、そういうところはチーム一丸となって掴めた勝利かなと思います。

――ワンタッチ取られて1回で決まらない展開が多かったですが、振り返って

 春に比べてワンタッチかけられた後の展開というところで、自分の気持ちの中での焦りはすごく少なかったので、そういうところはしっかりと成長できたかなと思います。

――秋季リーグをチーム、個人で振り返って

 チームとして春と夏に比べてチーム力はすごく上がっていて、1球に対する執着とか、チームとしてどう相手を攻略するかというのがしっかりできてよかったなと思います。個人としてはまだまだ課題はあるのですが、結果としてはいい結果を残せたので今後の練習でその課題をクリアにしながら、またどんどん成長していけたらなと思います。

――全カレに向けた課題と収穫は

全カレに向けた課題は、今日の中央戦でもそうでしたが、勝負どころで攻めきれないというのがあるので、何が悪いのかというのを明確にして臨んでいけたらいいかなと思います。

――全カレへの意気込みお願いします

個人の力だけではなくて、チーム一丸となって、しっかり今までやってきたこと全部出し切れるように頑張ります。

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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