早大女子ラクロス部 中大の猛追から逃げ切り、史上初のFINAL進出、全国大会出場を決めた!

チーム・協会
関東学生ラクロスリーグ選手権 FINAL4
【早稲田スポーツ新聞会】記事 長屋咲希 写真 廣野一眞、髙岡紗也、髙杉菜々子
 激戦の関東大学リーグ戦をブロック2位で通過し、8年ぶりにFINAL4の舞台に足を踏み入れた『柏原組』。創部史上初のFINAL進出、そしてラクロス全日本大学選手権大会出場に向けて、中大との一戦に臨んだ。前半は早大の攻撃がはまり、テンポよく得点を積み重ね3点の差をつけ試合を折り返す。しかし後半は中大が怒涛(どとう)の反撃を仕掛ける。1点差まで詰め寄られたが、なんとかしのぎ切り9-8で辛勝。目標の学生王者へ望みをつないだ。

試合終了後、抱き合って喜ぶ選手たち 【早稲田スポーツ新聞会】

 会場を包む冷たい風と逆行するようにスタンドの熱い声援が飛び交う中、舞台は幕を開けた。MF脇田萌衣(教4=東京・白百合学園)が最初のドローを制すと、MF田中美亜(スポ4=東京・国立)のランクリアからすぐに敵陣深くに攻め込み、ゴール前のパス回しで中大を揺さぶる。すると開始1分、AT水野文萌(創理3=埼玉・早大本庄)がゴール右から1on1を仕掛ける。華麗なダッジで相手をかわし、右上から振り抜いたショットはゴールネットを揺らした。大事な先制点を挙げ、ここから流れを作りたい早大であったが、その後は中大ディフェンスに苦しめられる。相手の「上げてくるディフェンス」(AT横幕円香、文構4=神奈川・公文国際学園)にミスを誘われたり、シュートチャンスに持ち込んでも相手ゴーリーの好セーブに阻まれるなど、思うようにいかない時間が続いた。しかしG柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)の2度のフリーシュートセーブで、ディフェンスからチームを盛り立てると、第1Q終了間際、MF田中がマンディフェンスについていた相手の裏をかき、ゴール正面からショットを決めた。

 2-0で迎えた第2Q。またしても開始1分、MF脇田が1on1から突破し、ゴール前に入り込んでシュートし、早くも3点差をつけた。しかし中大も黙ってはいない。続くプレーでこの日初めてドローを逃すと、3分、ディフェンスの過疎になっていたゴール右からのショットを許した。しかし5分、7分とAT横幕が2連続で点を挙げ、簡単には追いつかせない。直後に1点を返されるが、11分にはMF神谷彩乃(文構2=神奈川・桐蔭学園)が学習院大戦以来の得点で、この試合6点目を決めた。4点差をつけた状況でトリッキーなプレーを見せたのはAT水野。相手ディフェンスをかわしながら、ゴール左隅に向かってボールを転がしシュートを狙う。惜しくもこのシュートは外れたが、このプレーに会場は大きな盛り上がりを見せた。ノータイムで得点を許し、6-3で試合を折り返した。

シュートを放つMF脇田 【早稲田スポーツ新聞会】

 迎えた後半戦。早大は前半戦の勢いそのまま、ドローを制しポゼッションを得ると、3分、MF脇田がディフェンス2人を退け、おおきく振りかぶってショットを決めた。しかしその2分後、相手に自陣ゴール前の隙を突かれたショットを許し、再び3点差に。続く7分には、早大のパスミスから中大に攻撃権を渡すと、少ないシュートチャンスをしっかりと決められ、じわじわとその点差を詰められていった。次第に不穏な空気が漂っていったが、直後のプレーでAT水野がフリーシュートを決め、悪い流れを断ち切ろうとする。しかし13分、中大の身長を生かした高い打点からのショットで、2点差まで迫られ、最終第4Qへ。

 運命の第4Q。突き放す1点が欲しい早大は、開始1分、MF齊藤莉果子(先理4=東京・小山台)が振り向きざまの鋭いシュートをゴールに収め、残り14分で3点差をつける。ここでなんとか凌ぎ切りたい早大だったが、ここから中大が意地の反撃を見せる。3分にフリーシュート、7分にはゴーリーの左下を狙ったショットを決められ、ついに1点差に。早大も何度もシュートを放つが、相手ゴーリーの再三の好セーブに阻まれてしまう。最後までわからない展開の中、早大は逃げの姿勢を見せることなく、シュートを狙う積極性を見せ続けた。そして9-8でゲームセット。苦しかった4Qを乗り越え、『柏原組』は全国への道を切り拓いた。

フリーシュートに臨むAT水野 【早稲田スポーツ新聞会】

 終盤の相手の追い上げを振り切り、創部史上初のFINAL進出、全日本大学選手権出場を決めた『柏原組』。1人でも連携プレーでも点を決められるAT、高いドロー率を残したMF、相手の動きに対応しながら献身的な守りを見せたDF、ゴーリー全員の力が合わさりつかんだ結果であることは言うまでもない。しかし先述の通り『柏原組』の最終目標は学生王者であり、「課題もたくさん見つかった」(MF脇田)と、史上初の快挙にも一切気を緩めることはない。FINALの相手はリーグ戦で惜敗を喫した明大。このリベンジマッチに勝利し、まずは関東一の称号を手に入れたいところだ。

試合後インタビュー

G柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)

――勝利した今の気持ちを教えてください

 実感が全くないのですが、素直に嬉しいです。

――FINAL4前合宿で主に取り組んだことを教えてください

 ショットをしっかりやろうと話していて、遠くから打つ時のシフトだったり、そういったところを工夫していました。あとはチーム力を上げたいという話があったので、ミーティングや(意識の)擦り合わせをたくさんしました。

――中大はどのような相手ですか

 フィジカルが強く、スピードもあるチームで、明治と似ている部分もあるなと思っていました。そこのところは負けないで頑張ろうという意識で戦いました。

――前半を振り返ってください

 流れをつかめていて良かったなと思いますが、細かいミスが目立ったので、そこをもっと修正しなきゃいけないなと感じました。

――後半の相手の追い上げに対してどう対処していきましたか

 2Qまでいい流れでしたが、(中大は)このままで終わるような学校じゃないと予測していたので、想定通りできたことは良かったです。ただ危ないシーンもあって、それは早稲田側のミスや相手のセーブなどから生まれたものが多かったので、そこはFINALや学生日本一に向けての課題だなと思います。

――創部史上初のFINAL、そして全国大会進出が決まりました

 負ける気はしませんでしたが、正直実感はないなと思います。ただ、ここから学生王者になるためには全国で勝ち切っていかなければいけないので、まずはしっかり1位通過して、そこから着実に勝利を積み重ねていきたいと思います。

――最後にFINALに向けて意気込みをお願いします

 前回明治に負けてしまって、そのリベンジになるので、前回の課題や今回の試合で出た課題をしっかり修正して必ず勝ちたいなと思います。

MF脇田萌衣(教4=東京・白百合学園)

――勝利した今の気持ちを教えてください

 まだ実感が湧いてないのですが、とにかくうれしいです。少し心残りがあるところはありますが、みんながチーム一丸となって補い合ってつかみ取った勝利なので、すごくうれしいの一言に尽きるかなと思います。

――中大に対しての対策はいかがでしたか

 キーマンが明らかになっているチームだと思うので、そこに対して徹底的に寄せることだったり、あとは相手にやりたいことをやらせない。とにかくスカウティングをして、それに合わせた戦術を立てたことで、相手がやりたい戦術を止めることができたのかなと思います。

――ドローに関してはいかがでしたか

 相手は飛ばしたいところに飛ばしてきて、ただ私たちが、その相手が飛ばしたい方向へ場所を取ると結構嫌がっている印象があったので、相手の戦術に合わせてやることで、相手を嫌がらせてコントロールできたのかなと思います。

――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか

 もう少し(ゴールを)決められた部分もあったと思いますが、この一点が絶対に勝敗を分けると思って、確実に取りに行こうと強気で攻めました。

――相手に追い上げられる場面もありましたが

 3、4Qでひやひやした場面もあったのですが、ここで守り切ることで全国につながりますし、今までやってきたチームメイトのこととかをいろいろ思い出して、絶対に勝ち切るという強い思いで頑張りました。

――創部史上初のFINAL、そして全国大会進出が決まりました

 とにかくうれしくて実感はまだ湧いてないのですが、これからどんどん歴史を変えていけるようにしたいです。新たな課題も見つかったと思うので、ブラッシュアップしながら克服して、絶対に日本一を取りたいと思います。

――最後にFINALに向けて意気込みをお願いします

 今回FINAL4の試合で課題もたくさん見つかったと思うので、2週間で徹底的につぶして、(FINALの)相手は一度戦った明大なのでその時に見つかった課題や特徴などをもとにスカウティングしながら、さらに私たちの強みを伸ばして絶対に勝ちたいと思います。

AT横幕円香(文構4=神奈川・公文国際学園)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 前半はいい流れが作れたのですが、後半は苦しい時間が続いてしまって。その中でアタックもディフェンスもみんなで連携しながら最後に勝利をつかめたのは良かったなと思います。

――オフェンスの戦略を教えてください

 (中大が)上げてくるディフェンスなので、その中でダブル(チーム)が来たときにどう対応するか、1on1をかける方向をどちらにするかなど、明治戦からガラッと変えた戦術にしました。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 点を決めることはできたのですが、3点決めようと思っていたのでそこには届いていないし、良いプレーも多くはなかったので、FINALに向けてもっともっと頑張らなきゃと思います。

――創部史上初のFINAL、そして全国大会進出が決まりました

 史上初のFINALというのがふわふわして聞こえるくらい、嬉しい気持ちでいっぱいです。

――最後にFINALに向けて意気込みをお願いします

 今すごくチームがまとまってきている段階なので、ここから学生王者に向けてまずは明治を倒して、全国に突き進みたいと思います。

AT水野文萌(創理3=埼玉・早大本庄)

――勝利した今の気持ちを教えてください

 プレーのことは考えずに、この勝ったという事実が本当に嬉しくて、全国に行ける喜びが本当に大きいです。

――中大に対しての対策を教えてください

 早稲田はスカウティング力が強みだと思っていて、オフェンスもディフェンスも、クリア、ライド、ドローも全局面において細かくスカウティングしてやってきました。ディフェンスに関しては、中央大学の特徴的なラインを上げるディフェンスに対して、どう攻めるかを2週間かけて対策してきました。

――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか

 今シーズンのリーグでは、まだ1on1からのショットがなかったので、この試合では絶対に自分のワンでしっかりショットを決め切りたいというのが目標としてありました。1点目は自分が思い描いていた通りにワンで行って、自分で切り開いたショットだったのでとても嬉しかったです。

――トリッキーなショットもありましたが、あの場面を振り返っていかがですか

 2Qの点差が離れている時で、いけそうだなと思ったので感覚的にやりました。確率の高いショットではないので、リーグでは封印していたのですが、このような最高の舞台なので、自分の持っている力を出したいなと思ってやりました。

――創部史上初のFINAL、そして全国大会進出が決まりました

 早稲田の応援席を見るとOGの皆さんやご父兄の方々がたくさんいて、この組織力も早稲田の強みだと思っていて。代々先輩方がつないできた伝統をここで開花させることができたので、とても嬉しく思います。

――最後にFINALに向けて意気込みをお願いします

 FINALは、絶対にもう一度対戦したかった明治大学との試合になります。予選では1点差で負けて悔しい思いをしたので、その悔しさを晴らせるようなゲーム展開にして、絶対に勝って関東制覇したいと思います。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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