早大野球部恩師の前で、青木宣親は2度泣いた 早稲田の至宝・21年の現役に幕
引退セレモニーでファンの声援に応える青木選手 【共同通信】
引退セレモニーのサプライズ
「続きまして、ここ神宮球場で選手・青木宣親の原点を作って下さいました早稲田大学野球部元監督・野村徹様より花束の贈呈です」
青木選手は「おっ」と驚いた笑顔を見せ、その後は涙が止まりませんでした。
野村徹・元早大野球部監督による花束贈呈(13:27ごろ)
野球選手としての原点・東伏見
4連覇を全勝優勝で飾った早慶戦2回戦。5回表二死一塁、鳥谷さんの右翼線二塁打で一塁から生還した青木選手 【共同通信】
野球部時代、青木選手は当時の野村徹監督に毎日怒られる中で成長しました。「技術があったとしても、気持ちが弱ければ試合では発揮できない」「全て一発でしとめろ。合わせながらやっていたら試合では通用しない。バックホームも全部一発で決めろ。全部試合に直結するんだ」。守備練習でも、打撃練習でも常に一球勝負。「練習でそれができなかったら、試合では通用しない」。
3年次からレギュラーに定着。「4年間それが出来たかっていわれたら良く分からないですけど、4年間ずっとやっていましたね。グランドに行きたくないと何回も思ったし、嫌になるぐらい悩んだし、それぐらい追い込んだ。何か嫌なことを言われたって今は全然大したことないし、あの時一生懸命やってたから悩んだんですね、一生懸命やっていなかったら悩まない」
野村元監督から授かった一つ一つの教え。プロ入り後、重圧のかかる状況でも学生時代から習慣づいていることは、意識せずとも自然とこなせるようになっていきました。
21年ぶりの涙・・・
2003年11月、4連覇を達成し記念撮影に納まる青木選手(後列右から3人目)と野村元監督(前列左から4人目) 【共同通信】
プロ入り後、初めて東伏見を訪れたのは2009年1月、ワールドベースボールクラシック(WBC)合宿の前でした。「久々に東伏見で練習して、当時の雰囲気を思い出してみたくなった」と、野球部後輩であるチームメート・田中浩康さん(当時ヤクルトスワローズ)と2日間の自主トレーニングを行いました。懐かしいグラウンドで汗を流し、自らを見つめ直し、自然と体が安部寮に向かい、気がつくと野球部の創設者・安部磯雄先生の胸像の前にいました。野村元監督も、胸像の前で必ず礼をしていました。
WBCで2連覇を達成し、喜ぶ青木選手(左) 【共同通信】
2014年、メジャーリーグ・ワールドシリーズに出場するロイヤルズ・青木選手 【共同通信】
早稲田大学野球部・小宮山悟監督「心より祝福いたします」
【共同通信】
野村徹監督から、よく叱られていたと聞くにつけ、反骨心に火がついて、頑張れたのだと思います。
MLBでの活躍も勿論ですが、帰国後、スワローズでの日本一の涙が、アスリートとしての全てを物語っている気がします。
ゆっくり休んで、次なるステージでの活躍、祈ります。
素晴らしいキャリア、引退、心より祝福いたします。
本当におめでとう
m(_ _)m」
早稲田の仲間から祝福されて
試合前に阪神・岡田監督(右)から花束を受け取り、記念撮影する青木選手 【共同通信】
早稲田大学野球部を2002年春・秋、2003年春・秋と東京六大学野球リーグ戦4連覇に導いた同級生・鳥谷敬さんからのビデオメッセージもスクリーンに映し出され、野球部時代の思い出が語られました。9月15日には、阪神甲子園球場で練習前に握手。
試合前、DeNAの田中コーチ(左)から花束を贈られた青木選手 【共同通信】
「21年間、夢中になって突っ走ってきました」
青木宣親 引退スピーチ全文
引退セレモニーであいさつし、感極まる青木選手 【共同通信】
「気づけばプロに入って21年間、夢中になって突っ走ってきました。引退発表後、各球団の方々の心温まるセレモニー、本当にうれしかったです。出会いは何事にも代えがたい大切な宝物です。プロに入って21年。自分の生き方は間違っていなかったと、出会った皆様が日々、教えてくれました。自分に関わって下さった皆さんに感謝しています。本当にありがとうございます」
「いつも信じてくれた両親、ヘトヘトの体を治療し続けてくれた院長、本当にありがとう。そして頑張り屋の妻・佐知。いつもそばにいてくれてありがとう。佐知がいなければここまで野球を続けることはできませんでした。心が折れそうな時、自分の話を聞いてくれたり、励ましてくれてありがとう。そして二人の子どもたち。『ナイスヒット!』って言ってくれるのがうれしくてパパは頑張れました。いつも応援ありがとう」
「(泣かないで!の声に)泣きますよ! 泣くよ! 21年も野球やったんすよ。泣きますよ!」
「アメリカから帰ってきて、素晴らしい仲間に囲まれ、本当に豊かなものになりました。その仲間たちに囲まれ、こうやって送り出してくれること、本当にうれしく思います。本当にありがとう。いつも応援してくれたファン、いつも本当に温かい声援をありがとうございました。そして、この自分が愛したこの球団をよろしくお願いします。また、会いましょう! 本当にありがとうございました」
2003年11月、早稲田大学野球部から4名の選手がドラフトで指名されポーズ。左から比嘉寿光内野手(広島)、由田慎太郎外野手(オリックス)、青木宣親外野手(ヤクルト)、鳥谷敬内野手(阪神) 【共同通信】
【大学野球】
宮崎県立日向高校卒業、早稲田大学人間科学部卒業。東京六大学野球・首位打者1回、ベストナイン3回、リーグ戦4連覇達成。
【プロ野球(NPB)】
新人王、首位打者3回、盗塁王1回、最高出塁率2回、最多安打2回、ベストナイン7回、通算1956安打(NPB 15年間)、リーグ優勝2回、日本一1回。
【日本代表】
2008年北京オリンピック出場。WBC3回出場(2006年優勝、2009年優勝、2017年ベスト4)、ベストナイン1回。
【米メジャーリーグ(MLB)】
通算774安打(6年間)、ワールドシリーズ出場。
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