早大ラグビー部 昨シーズン王者に完勝 春のリベンジを果たした

チーム・協会
夏季オープン戦 8月18日 対帝京大 サニアパークメイングラウンド
【早稲田スポーツ新聞会】記事 村上結太、写真 西川龍佑、清水浬央

 7ー60。早大は6月16日に行われたラグビー関東大学春季大会最終節で帝京大に敗れた。その雪辱に燃える早大は並々ならぬ思いで菅平での帝京大との一戦に臨んだ。サニアパークメイングラウンドには多くのラグビーファンが駆け付け、夏の大一番に注目する。早大は試合最初のペナルティーを獲得すると、そのまま勢いを増していく。23分に待望の先制点が生まれると、前半で4トライを挙げる猛攻。春シーズンに磨いてきたディフェンスも光り、帝京大を0に抑える。後半では16分に失点を許すものの点数を重ね、リードを守り切る。絶対王者との一戦は38ー14で早大に軍配が上がった。

モールからトライを狙うHO佐藤主将 【早稲田スポーツ新聞会】

 早大のキックオフから始まった前半。開始早々から帝京大は強力なアタックで前進を試みるが、早大はプレッシャーをかけ続けるディフェンスでターンオーバーに成功する。上々の立ち上がりを見せた早大は4分に今試合最初のペナルティーを獲得。続く8分にもテンポの早いアタックで帝京大のノットロールアウェイの反則を誘発する。15分にはスクラムでペナルティーを奪い取り、これまでのセットピース強化の成果が垣間見えた。「FWの安定したセットプレーで試合を優位に進められた」とCTB黒川和音(人3=茨城・茗渓学園)は今試合を総括する。エリアで優位に立った早大は23分、帝京大のハイタックルからゴール前のラインアウトを獲得し、モールを形成。BKも加わり、インゴールまで押し切って先制点を挙げた。続く28分、またもスクラムで帝京大から反則を奪い、敵陣深くに侵入。NO・8粟飯原謙(スポ3=神奈川・桐蔭学園) がスピードに乗ったアタックでペナルティーを誘発すると、そのままプレーを継続する。SO野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)がインゴールに伸びるキックパスを蹴ると、それに反応したFB池本晴人(社2=東京・早実) がグラウンディング。10ー0とリードを広げる。32分、帝京大がボールをはたいたとして長い笛が吹かれると、陣地を拡大した早大。22メートルライン付近のラインアウトからHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が短いフェーズで3度のキャリーを見せ、帝京大ディフェンス陣を吹き飛ばしながらトライ。17ー0とさらにリードを広げた。38分にはまたも帝京大の反則からラインアウトモールを形成すると、10メートル以上を止まることなく押し進める。前半最後に4本目のトライを挙げ、24ー0と帝京大相手に攻撃のチャンスを与えず、試合はハーフタイムへ。

攻撃の中核として活躍したCTB黒川 【早稲田スポーツ新聞会】

 前半の勢いをそのままに後半も猛攻を継続したい早大だったが、ミスとペナルティーを重ねてしまい流れが傾きかける。帝京大にゴール前まで前進され、ピンチを迎えたが粟飯原とLO栗田文介(スポ3=愛知・千種)が帝京大のノックオンを誘発するビックタックルでピンチを脱する。早大ディフェンスを牽引するFL田中勇成(教3=東京・早実) は「ゴール前に来られても簡単にトライを取らせない、そこのプライドを見せられたと思う」とこれまでこだわってきたものに自信を見せた。9分には佐藤主将から内返しのパスを受けたFL城央祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がブレイクすると、SH細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)が早いテンポでボールを捌く。帝京大のオフサイドを引き起こし、敵陣ゴール前でまたもモールで勝負する早大。しかしこれは前進できず、得点に結びつかない。逆に早大は2連続でペナルティーを犯してしまい、ついに失点を許してしまう。帝京大が勢いを取り戻しつつあった22分、帝京大ボールのスクラムで早大はコラプシングの反則を奪い取ると、早大ベンチから歓声が上がった。敵陣深くに入り込み、黒川が2度のボールキャリーでインゴールに飛び込んだ。31ー7と詰め寄る帝京大を突き放す。30分に帝京大の強力なFW陣に押し込まれ、トライを許すものの早大は焦らなかった。37分にまたもスクラムからコラプシングの反則を獲得すると、ゴール前でモールを組む。最後尾でボールを持つ佐藤主将が中央ゴール付近までボールを運ぶと、CTB金子礼人(法3=福岡・西南学院)がスピードをつけてSH宮尾昌典(スポ4=京都成章)からのパスを受け取り、トライライン目前まで迫る。SO仲山倫平(法3=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)がディフェンスのギャップを突いてトライ。キックも成功し、38ー14でノーサイド。春の54点差をひっくり返し、24点差での勝利に早大は歓喜した。

トライを挙げる活躍を見せたFB池本 【早稲田スポーツ新聞会】

 春から強化してきたディフェンス、セットプレーといった基本プレーの積み重ねが結果として表れた今試合。「スクラムとディフェンスで相手のアタックに対して崩されずにまとまれた」と野中が振り返るように強力な帝京大のFWに対して終始優勢に立ち、2021年以来の勝利を飾った。ディフェンスでは鋭い出足と的確なダブルタックルで前進を許さず、スクラムでは試合のターニングポイントとなる瞬間でペナルティーを獲得。アタックでは早大らしい、的を絞らせない多彩なアタックで帝京大を翻弄した。昨シーズン覇者を相手に試合巧者ぶりを発揮した早大。春シーズンとの違いについて選手たちは「コミュニケーションやディフェンスの細かいところにこだわった」(池本)、「勝つことにこだわった上で、ミスを恐れずにプレーをするようになった」(PR山口湧太郎、スポ3=神奈川・桐蔭学園)と振り返る。春シーズンでの敗戦を糧に早大は大きく成長したのだ。夏の正念場を制した早大はついに勝負のシーズンへ走り出す。早大が目指すのは『荒ぶる』のみ。今試合の勝利は全国制覇の道程に過ぎない。5年ぶりの熱唱へ、チーム佐藤はもう誰にも止められない。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント