【コベルコ神戸スティーラーズ/神戸から日本のラグビーを熱くする】 司令塔争い真っただ中の李 承信。「キックを使ってのエリアマネジメントをもっとうまくできるようにならないといけない」
「超速ラグビーは速いテンポでボールを動かしながら、プレーの判断をしないといけないので大変ですが、アタックはいい感触を得ています」と李。(写真提供/平本 芳臣) 【コベルコ神戸スティーラーズ】
自陣で戦い過ぎてしまった…
「勝てた試合でした…」
試合後、悔しそうな表情を見せていたのは、イングランド代表戦に続き「10番」を背負ったSO李 承信。
テンポよくボールを動かし、先制トライを奪った立ち上がり。「これ以上ないくらい素晴らしかった」とエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチが話すほどだった。しかし、20分、LO下川 甲嗣(東京SG)がレッドカードを受け、日本代表は14人になると、直後にモールからトライを献上。28分にも連続攻撃からトライを許し、13-18で折り返した。
ハーフタイムにはジョーンズヘッドコーチから反則を得たらクイックで仕掛けていき、相手の足が止まるまで攻めていこうと指示が入ったという。14人と数的不利な状況でもキックを使いながら攻め込み、PGで加点。後半24分には、フェイズを重ねてゴール前に迫ると最後はWTB長田 智希(埼玉WK)が左中間へと飛び込み、試合をひっくり返した。ゴールキックも決まり、23-18に。
この後、李はSO山沢 拓也(埼玉WK)と交代し、ピッチを後に。リードを守り切ってほしいところだったが、日本代表はLOサナイラ・ワクァ(花園L)が反則の繰り返しでシンビンになり、13人に。フィジカルの強さを武器に持つジョージア代表を前にFWを2人欠く中で奮闘するも、34分、ゴールラインを割られトライ&ゴールを献上し、23-25で逆転を許した。
試合を振り返り、「ジョージアの強みであるスクラムやモールでプレッシャーをかけてくることは想定していました。ただ、それ以前に自陣で戦い過ぎてしまって。特に前半、もっと自分たちのキックを使って、敵陣でプレーするべきでした」と悔やむ。
キックの使い方が課題
「キックゲームの経験が少ないこともあります。キックの使い方は、早く成長させていかないといけないところです」
さらに、プレースキックに関して、6本中5本成功させたが、後半12分、45mのロングPGを外した。結果論ではあるも、この1本が決まっていれば勝利できていた可能性がある。
「プレースキックを任された責任として、1本も外してはいけないと思っています。そういう意味でも、今日は1本外してしまったところは反省です。精度をもっと上げていきたい」
日本代表の10番争い真っただ中にいる李は、ライバルであるほかのスタンドオフとの違いを、ボールをどんどん動かすところやスペースに自ら仕掛けるところで出していきたいという。ただ、この試合では得意のランを見せようと意気込んでいたが、「前を見る余裕がなくて…」とも。
自信になったと話していたイングランド代表戦から一転し、反省点が多く出た試合になってしまったが、自身の成長がチームの成長につながると決意する。
「チームとしてアタックはいい感触を得ています。あとは僕がどれだけうまくゲームをコントロールできるのか。モメンタム(試合の流れ、勢い)を判断し、キックを使って、FWを前へ出させられるようしていかないと」
司令塔として、もう一段レベルアップできるようにー。下を向いている暇はない。さらなる高みを目指して、李は決して歩みを止めない。
取材・文/山本 暁子(チームライター)
●7月21日(日)14時05分キックオフ ※キャップ対象試合
日本代表vsイタリア代表(北海道・札幌ドーム)
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