早大ラグビー部 帝京大に敗戦 春季大会初優勝を逃す

チーム・協会
関東大学春季大会 6月16日 対帝京大 早大・上井草グラウンド
【早稲田スポーツ新聞会】記事 西川龍佑、写真 清水浬央、安藤香穂

 厳しい日差しが照りつける早大・上井草グラウンドにて、早大と帝京大による関東大学春季大会(春季大会)・最終節が行われた。今試合の勝者が春の王者となる一戦。前半は帝京大に先制を許すも、すぐに得点を取り返し拮抗した展開が続いた。その後は何度もチャンスを作るも得点を取りきれず、追加点を許し7ー26で前半を折り返す。後半に入ると序盤から帝京大のプレッシャーに押し込まれ自分たちのプレーをさせてもらえなかった。完全に流れを奪われ最終スコア7ー60で敗戦。帝京大が春季大会の優勝を決めた。

ボールを捌くSH細矢ゲームキャプテン 【早稲田スポーツ新聞会】

 帝京大のキックオフでゲームがスタートすると、序盤からセットプレーが続く動きのある展開を見せる。前半3分、注目のファーストスクラムは帝京大がペナルティーを獲得し、早大は自陣深くに攻め込まれる。ラインアウトからのモールをおさえるも帝京大がテンポ良くボールをさばき、最後はLO青木恵斗主将に先制トライを許してしまった。流れを渡したくない早大は12分、敵陣ゴール前でのスクラムのチャンスで見事ペナルティーを取り返し、ゴール前でのラインアウトを獲得。モールを押し込み最後はゲームキャプテンのSH細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)がゴールライン左隅に飛び込んだ。SO野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)がコンバージョンを沈め7ー7と試合を振り出しに戻す。18分に自陣深くで帝京大にペナルティーを与え、持ち出した青木に2本目のトライを奪われるも、その後は早大が流れに乗り始める。21分には帝京大のWTB小村真也が危険なプレーにより一時退場、早大の反撃ムードが高まり何度も敵陣深くに攻め込みチャンスを作る。しかし、自分たちのミスから攻撃を継続できず得点に結びつけることができない。帝京大のディフェンスに苦戦していると、31分、38分と得点を重ねられてしまった。試合終了間際には敵陣ゴール前のラインアウトから、連続でペナルティーを奪い前半最大のチャンスを迎えるも、ここで痛恨のノックオン。7ー26と点差を縮めることができずに前半を終えた。

ディフェンスラインへ仕掛けるSO野中 【早稲田スポーツ新聞会】

 後半序盤は流れに乗り出す帝京大に対して早大が食らいつき、ハーフウェイライン付近でボールが飛び交う展開が続くも、徐々に帝京大の破壊力が本領を発揮し始める。帝京大は速いフェーズからボールを外に運ぶ攻撃を仕掛け、ライン際から早大のディフェンスを崩しにかかる。すると14分、早大陣地のゴール前で帝京大ボールラインアウトのチャンスから、モールを一気に押し切られ追加点を献上してしまった。その後は完全に帝京大のペースでゲームが進み、外への展開やアンストラクチャーの場面から続け様に得点を重ねられる。22分にSH清水翔大(文4=東京・早実)やWTB鈴木寛大(スポ2=岡山・倉敷)らを投入。テンポを上げ攻撃力の向上をはかる。直後FL田中勇成(教3=東京・早実)から清水翔へオフロードパスが決まり抜け出し、WTB田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)が受け取りゲイン。早速チャンスを作り出したものの得点はできず。26分には帝京大のNO・8ダウナカマカマ カイサがレッドカードで退場になるも、早大は人数有利を生かすことができない。後半35分には本日3本目となる青木のトライで点差を46に広げられた。ノーサイド間際にもダメ押しのトライを許し最終スコア7ー60と大差をつけられての敗戦となった。

スクラムを組むFL田中 【早稲田スポーツ新聞会】

 前半に再三のチャンスをものにできず、徐々に帝京大の流れに飲み込まれてしまった早大。後半はプレッシャーに押され攻撃を継続できず、今大会好調だったディフェンスも打ち砕かれてしまった。一方で田中勇が「自信を持っていいところ」と振り返るように、帝京大の強力フォワードに対してセットプレーの成長を見せることができた。全勝を目指し突き進んできた早大。目標の達成は叶わなかったものの、『荒ぶる』に向けてチームに必要な物を再確認するゲームとなった。春シーズンを終え、厳しい夏のトレーニングが始まる。これからも進化を続ける早大の挑戦から目が離せない。

コメント

SH細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)

――今日のチームのコンセプトを教えてください

 チームテーマの『Beat Up』で、相手は帝京大なのですが気負わないで自分たちがやってきたことをやろう、気持ちの面で負けないようにしようということでした。

――個人的なテーマは何かありましたか

 とにかく速いボールを出すというのと、しっかり精度の高いパスで捌くということを意識していました。

――試合を振り返っていかがですか

 やっぱりコンタクトの部分で乗られることが多くてそこで崩されたかなという印象です。

――敗因はやはりコンタクトの部分が挙げられますか

 そうですね。あとはアタックの精度の部分で、自分たちは細かいハンドリングのミスが多かったのでそこも反省点だと思います。

――BKとしての課題は何か挙げられますか

 前に出てくる相手に対して後ろで綺麗に回そうとして捕まってしまったことが多くて、そこをゲインラインに近いところでプレーできればもっと良い結果だったのかなと思います。

――最後に今後の意気込みをお願いします

 今日は50点差あったのでそれをしっかり受け止め、今後の取り組み方を変えて夏、冬にリベンジできるように頑張ります。

FL田中勇成(教3=東京・早実)

――今日の試合に向けた意気込みを教えてください

 1年前の春に帝京戦で負けてから、僕自身はこの帝京戦をターゲットにずっとやってきて、1年間やってきたことに対する自信を持って臨みました。

――それを踏まえて今日の試合振り返っていかがですか

 もっとやれたなというのが自分の中ではあって、また悔しさが残る試合になりました。ディフェンスの部分も自分が引っ張らないといけませんでしたが、そこでスキルを上手く使えなかったり慌てたりする場面があったので、そこは夏に向けて修正していきたいです。

――前後半それぞれのディフェンスの感触はいかがでしたが

 前半はゴール前のディフェンスで、いつもならもっと耐えられるところを3フェーズくらいで取られてしまって、帝京の強さも感じましたし、そこが反省だと思います。後半はアタックのミスからターンオーバーされてのトライもあって、そこの切り替えの部分が反省として上がりました。

――1トライに抑えられてしまいましたが、何か要因はありましたか

 中盤で自分たちのミスが続いて、やってきたアタックでゲインが切れなかった部分は、今後考えていかないといけないなと思います。

――セットプレーの感触はいかがでしたか

 セットプレーは春ずっとやってきたことを出せましたし、そこの感触は良くて、1年前はスクラムで押されて何もできない状態で、それと比べても成長を感じました。モールも感触が良かったですし、自信を持っていいところかなと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 春シーズンこういう結果で終わってしまって、自分自身もチームとしても見つめなおさなきゃいけないなと思うので、夏みんなで乗り越えて、秋はもう一回自信を持った状態で臨みたいと思います。

PR亀山昇太郎(スポ4=茨城・茗溪学園)

――今日の個人的なコンセプト を教えてください

 セットプレーでしっかりボールを獲得して、接点の部分で負けないというコンセプトで臨みました。ですが、帝京大学さんの強い接点に勝てずやりたいことをやらせてもらえない試合でした。

――試合を通して手応えを感じた部分はありますか

 個人的になんですが、スクラムをしっかり押したいという部分で、去年よりも安定していたことです。そこは春からの練習の成果出ていて良かったかなと感じています。

――セットプレー、特にスクラムの感触はいかがでしたか

 1月の早い段階から(練習を)始めて、自分たちの中でも、形ができてきたのかなと感じています。他の大学に比べて体の小さい自分たちがいかにスクラムを組むかという時に、やはりヒットでしっかり出るというところで、その準備の部分などを今年は特に意識していて。それができていたことに対してはすごく成果を感じています。

――帝京大のFWの印象を教えてください

 帝京大学さんのイメージとして、やはりフィジカルが強い、体が大きくて体重も重くて、しかもスキルフルで、走れるという印象で、自分たちも目指したいような選手像である部分もあって。そういったチームに対してフィジカルで勝てない分、それ以外の部分で勝たなければならないと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 春シーズンこのような形で終わってしまったのですが、夏合宿を通してしっかり自分たちをより一層成長させて今度こそリベンジを果たせるように頑張りたいです。

SO野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)

――今試合の個人的なテーマを教えてください

 スペースを見てそこにボールを率先して運ぶというのが僕のテーマです。

――その達成度としてはいかがでしたか

 運ぶにあたってもう少しクレバーに戦うことができたんじゃないかなと思う場面はあったので、まだまだ課題が残る試合でした。

――バックスのテーマとして掲げていたものはありますか

 チームとしてゲインラインバトルというテーマを掲げて今週戦っていました。そこを戦う上でミスの多さが目立った試合でした。

――チームのアタックとディフェンスをそれぞれ振り返っていかがですか

 アタックはここぞという場面でのミスが目立ったので、そういう細かい部分を詰めていかないといけないなと。ディフェンスは、セットプレーではないアタックディフェンスの切り替わりのところで、ミスが目立ったなと。そこをもっとコミュニケーションとってチームとしてディフェンスすることが課題として出ました。

――帝京大に勝つために必要なものは何だとお考えですか

 小さなミスをしているとチャレンジャーとして絶対に勝てないと思うので、そういったミスなどの細かいところのスキルと一人一人のメンタル面、強い気持ちを持って戦うことがないとダメだと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 今回の負けというものを悲観的に捉えず、前向きに捉えて、夏合宿でも戦うのでそこで勝って、秋にもう一度勝てるようにこれから準備していきたいと思います。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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