早大ラグビー部 春の早明戦で勝利! 春季大会3連勝を果たす

チーム・協会
関東大学春季大会 6月2日 対明大 新潟・デンカビッグスワンスタジアム
【早稲田スポーツ新聞会】記事 西川龍佑、写真 清水浬央、村上結太

 早明戦の厳しさを予見するかのように、強い雨が降り注ぐ新潟・デンカビッグスワンスタジアム。宿敵との伝統の一戦は、両校力を出し合う好ゲームとなった。前半、明大がインターセプトからそのまま先制点を奪うも、その後は早大がスクラムで連続ペナルティーを獲得するなど流れを掴み、3本のトライを返し21ー5とリードして試合を折り返す。後半に入ると明大の反撃を受け自陣に攻め込まれる時間帯が多くなり、前半と同様に先制を許してしまう。それでも明大の追い上げムードに動じることなく、自分たちのペースでゲームを進めた早大。ペナルティーゴール1本含む15点を追加して突き放した。最終スコアを36ー26とし、春の対戦では11年ぶりとなる明大からの勝利を奪った。

力強いボールキャリーを見せるHO佐藤 【早稲田スポーツ新聞会】

 試合開始からしばらく、雨の影響か両チームボールの落ち着かない時間が続く。そんな中迎えた前半6分、早大の自陣スクラムからSH細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)が持ち出し投げたボールに対して明大のSO萩井が反応。痛恨のインターセプトからトライを奪われてしまった。先制を許したものの、安定したセットプレーとディフェンスで徐々にペースを掴んだ早大は18分、敵陣ゴール前でのラインアウトを獲得する。大きなチャンスの場面でHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が突破を図り一気にゴールラインに迫ると、SH細矢がテンポよく捌いたボールを受け取ったPR杉本安伊朗(スポ2=東京・国学院久我山)がゴール中央をこじ開けた。コンバージョンを決め逆転に成功すると、これをきっかけに早大に勢いが生まれる。特に光ったのはチームディフェンス。強力な明大の縦突破に対して、ダブルタックルで対応しゲインラインを割らせない。さらにセットプレーでも終始優勢を保つ。30分には敵陣深くでの明大ボールスクラムでペナルティを奪うと、ラインアウトからモールを形成、力強く押し込みHO佐藤がグランディングした。36分にもLO栗田文介(スポ3=愛知・千種)が得点を加え21ー5とリードを保って前半を終えた。

正確なキックとゲームコントロールで会場を沸かせたSO野中 【早稲田スポーツ新聞会】

 試合が再開されると、明大のアタックが勢いに乗り始め、早大は陣地深くまで攻め込まれる場面が増える。後半10分にはLO西浦剛臣(社4=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)が空中戦での危険プレーによる一時退場を言い渡され、10分間を14人で戦うことを余儀なくされる。さらにこの直後、明大ベンチはWTB安田、CTB秋濱らを投入し一気に追い上げを図る。そして迎えた16分、ゴール前ラインアウトからモールを押し込まれ反撃のトライを奪われてしまった。しかし、早大は集中力を切らすことなく硬い守備を続け、相手のミスから徐々に陣地を回復していく。20分には敵陣ゴール前でのラインアウトからモールを押し込み、再びHO佐藤がトライを決めた。明大の追撃の流れを断ち切ると、27分にはSO野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)がペナルティーゴールを沈め29ー12。さらに34分には敵陣10m付近の右サイドスクラムから、CTB金子礼人(法3=福岡・西南学院)が左サイドでゲインし起点を作り、ハイテンポで逆サイドに再展開すると、大外に待っていたのは今試合で赤黒デビューを果たしたWTB田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)。ルーキーらしいアグレッシブな動きでライン際のインゴールにボールをねじ込み36ー12とリードを広げた。終盤に2本のトライを許したものの、明大の猛追を振り切った早大。36ー26で試合を終え、関東大学春季大会(春季大会)開幕から3連勝とした。

デビュー戦で初トライを挙げたWTB 田中健 【早稲田スポーツ新聞会】

 モールからの失点はあったものの、規律を守りながら激しいダブルタックルを駆使し、明大のフェーズアタックを封じ込めた早大。セットプレーでも重量FWを圧倒し、春の山場である重要な一戦を見事な勝利で飾った。今試合は選手たちの勝ちにこだわる姿勢が印象に残るゲームとなった。HO佐藤主将も「戦い続けるだけだと伝えて」いたと語るように、気持ちを前面に押し出したプレーで勝利をもぎ取った。春季大会も残すところ2試合となり、最終節には強敵・帝京大との大一番が控えている。シーズン全勝、そしてその先の『荒ぶる』に向けて、前進し続けるチーム佐藤から目が離せない。

コメント

HO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――今試合のチームのコンセプトを教えてください

 今回は『Fight On』という戦い続けるっていうところ、本当にそれだけです。難しいことは試合前には言わず、戦い続けるだけだと伝えていて、それがよかったのかなと。

――トライを奪われたシーンが全てモールが起点になったと思いますが、モールのディフェンスはいかがでしたか

 やっぱり逆にモールトライを取られたので、僕たちがやってきたとこディフェンスのシステムをやりきることができなかった、そこにつきると思います。あとは本当にアタックとかは自分たちが決めたことをやり切れて、ディフェンスもやり切れて、ですがモールディフェンスのところが僕たちが決めたことをやり切れなかった。ただシステムがあるというだけではなく、そこをやりきる力、そこだけだと思います。

――個人的なプレーを振り返っていかがですか

 セットプレーはすごく安定していたので、僕的にはすごく良かったのかなと思います。フィールドプレイでもっとゲインとってラインブレイクしてというのをしたかったのですが、今日は結構セットプレーが多かったので、そこのセットプレーを安定させられたというのは僕にとってすごく良い収穫かなと思います。

――今後の意気込みをお願いします

 僕はもうこれでラストの春シーズンなのですが、チームは本当にあと2試合勝ってほしいですし、僕自身としても代表ファーストキャップ取れるように頑張っていきたいです。

WTB清透馬(商4=茨城・茗溪学園)

――今試合の個人のテーマを教えてください

 個人のテーマは今回初めての赤黒ってことだったので、とにかく元気よくやろうっていう風に決めていました。

――赤黒デビューということで、プレー面での意気込みはありましたか

 今年ずっと自分自身ディフェンスに注力して取り組んできたので、そこでターンオーバーしてやりたいなというふうにに思ってました。

――その達成度としてはいかがでしたか

 (ターンオーバー)できたので良かったです。

――試合を通してBKのアタックを振り返っていかがですか

 今回キックゲームになった中で、スコアを重ねられたっていうのがすごい良かったんじゃないかなと。この戦い方をしてもまた戦えたというのは1つ収穫になったんじゃないかなと思います。

――Aチームで出場して、個人のプレーで通用した部分、もっとレベルアップしたい部分があれば教えてください

 通用したのは、やっぱディフェンスのところが通用したかなというふうに思っていて、アタック面に関しては全般的にこれから修正するかなと思っています。

――今後の意気込みをお願いします

 これからも赤黒を着続けられるようにまた頑張ります。

NO・8松沼寛治(スポ2=東海大大阪仰星)

――今日復帰戦ということで、何か特別な思いはありましたか

 久々で、選手権以来の公式戦試合だったので、すごく自分的に気持ちが入りました。

――プレイに関して個人的なコンセプトはありましたか

 今日は本当に激しさのところです。今までの春の早稲田だったりとか、昨日の新人早明戦だったりで、すごく早稲田が今年すごいほんとに全員が体張って、ディフェンスもアタックもアグレッシブにプレーしいるのを見てすごく感化されて、そこが自分も足りない部分の一つでもあるなと自分の中で思っていたので、そこを人一倍プレーで体現しようという思いがありました。

――それを踏まえて、今日の個人のプレー振り返っていかがですか

 まずまずという感じです。ディフェンスでも良いプレッシャーをかけられた部分もあったのですが、もっと次の法政戦、帝京戦で、健次さんが代表に行ってしまうので、(健次さんが)いない中で、もっとフォワードを引っ張っていく、トレートしていくというのは必要だと思うので、そういう意味ではまだまだかなと思いました。

――モールについてアタックとディフェンスそれぞれの振り返りをお願いします

 アタックはテーマとして真っすぐ勝負しようと決めてて、それがしっかりできたのめ良かったかなと思います。ですが、ディフェンスで3トライほどスコアされてしまって。相手が回してくるのに対してしっかり自分らも対応はしてたのですが、そこの差があったので修正しないといけないなと思います。

――スクラム2関してはいかがでしたか

 前3人がうまく固まってくれて、後ろもいい押しができて。前半はすごくいい流れにのれて良かったです。

――フェーズアタックに関してかなりテンポの速い攻撃が見らましたが、その辺りはいかがですか

 雨だったのですが、あまりそこを気にすることなく、しっかり自分たちの今までやってる通り、ボールをアグレッシブに動かそうというふうには決めてきたので。少しミスもあったのですが、うまくコミュニケーションでカバーできたので良かったと思います。

――チームのディフェンスに関してはいかがですか

 ずっと1人目のタックルとセカンドマンのファイトの部分にこだわってやっていて。ブレイクダウンでプレッシャーをかける、簡単に引かないっていうのをずっとやってきていて、そこも成果としては出ているので、もう1段階引き上げて次やっていきたいです。

――今日、個人的に、またチームとしての課題などは見つかりましたか

 個人としてはやはりディフェンスですね。ディフェンスがまだまだだとコーチ陣からも言われているので、 そこでもっと相手をドミネートする、ひっくり返すタックルとていうのを意識してやっていきたいです。チームとしてもディフェンスですね。中盤でもミスすることなく規律守って粘り強いディフェンス、相手をターンオーバーするディフェンス、ここをもっとやっていきたいです。

――今後の意気込みをお願いします

 春シーズンもあと少ない中、帝京という1番ターゲットにしてる試合が控えていてそこに向けてもう一度部内競争もあると思うので、 しっかりそこでお互いに切磋琢磨して、勝って春全勝で夏に臨みたいと思っています。

WTB田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)

――今日が赤黒デビューということで、どんな思いで試合に臨まれましたか

 昨日新人早明戦があって、同期たちが頑張っていた中で自分は出れなかったので、自分もここで同期たちが頑張った分、赤黒を着て1年生の仕上げとしてしっかり貢献しようというのは本当に思っていました。今日の試合で、良いモチベーション、パワーを貰いました。

――プレー面で個人的なコンセプトは何かありましたか

 アタックに関してなのですが、やはりボールにできるだけ絡んでいくというところで、上級生たち多い中で、消極的にならずに積極的にボールを触りに行くというところは、今日意識していました。

――デビュー戦、そして明治との一戦ということで、戦ってみた印象というのはいかがでしたか

 この早明戦というやっぱり伝統的な1試合で自分がファーストキャップをもらうことができて、本当にこの大舞台でできたのが自分は楽しかったなと思います。

――桐蔭の同級生である城が一足先に赤黒を着てプレーしていましたが、あの姿はどういうふうに見ていましたか

 本当に城筆頭に、自分たち同期もどうしても上に上がりたいというそういう気持ちがあるんで、また城や僕、どんどん1年生が上のチームも絡んで、やっぱり下級生からチームというのも底上げしていきたいです。

――デビュー戦での戦列のトライの率直な感想いかがですか

 嬉しかったです!

――今後の意気込みをお願いします

 まだまだ自分の分からない部分であったり、足りない部分というのが本当に多くあるので、体づくりからしっかりして、早く赤黒の14番か11番にしっかり定着できるような選手になっていきたいと思います。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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