【SPECIAL】天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会 ~脇坂泰斗選手×チョン・ソンリョン選手(川崎フロンターレ)インタビュー

チーム・協会

【©Walnix】

チーム全員で一つになって連覇に挑む

天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会がいよいよスタートします。5月25日(土)の開幕を前に、前回王者として大会に臨む川崎フロンターレの脇坂泰斗選手とチョン・ソンリョン選手に前回大会の戦いや連覇に向けた意気込みを聞きました。

※このインタビューは2024年4月9日に実施しました。

天皇杯は毎試合難しい 決勝は何が起こっても不思議ではない

──前回大会で川崎フロンターレは3大会ぶり2度目となる天皇杯優勝を果たしました。

脇坂 昨年はシーズンが終盤に向かっていくにつれてチーム状態が良くなっていきました。でも、天皇杯は一発勝負のノックアウト方式なので、毎回難しい試合になりますし、決勝は何が起こっても不思議ではないと思っていました。また、決勝の舞台となった国立競技場は、その直前までサッカーの他の大会やラグビーの試合が行われていたこともあって、致し方ないことですがピッチ状態が良好とは言えず、パスをつなぐ僕らのスタイルからすると難しいところもありました。

川崎フロンターレは第103回大会決勝で柏レイソルをPK戦の末に下し、3大会ぶり2度目の優勝を果たした 【©JFA】

──決勝はPK戦までもつれ込み、互いに10人が蹴る接戦となりました。

ソンリョン 最後はGKの僕までPKの順番が回ってきました。

脇坂 公式試合でPKを蹴ったのは初めてですか。

ソンリョン フロンターレでは初めて。Kリーグ時代に日本の天皇杯と同じ位置づけのFAカップという大会があって、そのときにPKを蹴りました。試合が終わる10分前にフィールドプレーヤーとして僕がセンターフォワードに入ったんです。

脇坂 えっ、そうなんですか!?

ソンリョン 監督がそういう戦術を考えていたみたいで、フィールドプレーヤーのユニフォームも用意されていました。

脇坂 PKは成功したんですか。

ソンリョン 思い切り強く蹴ったのですが、GKに止められてしまいました。試合後に聞いたところによると、そのPKを止めた相手のGKが(シュートの威力が強すぎて)けがをしたみたいです(笑)。

──壮絶なPK戦でしたが、ソンリョン選手はPKを蹴る練習をしていたのですか。

ソンリョン PK戦がある大会では試合前日にPKの練習をしていて、いつも決めていました。でも決勝前日の練習のときだけカミ(上福元直人選手)に止められたんです。決勝のPK戦では、ピッチの芝の状態があまり良くなかったので相手GKを見て蹴ろうと思っていたのですが、相手がなかなか動いてくれなかったので、安定感のあるインサイドキックで蹴ることにしました。

脇坂 ゴール右上に突き刺しましたよね。

ソンリョン 右側を狙うだけでゴール上は狙っていなかったけど・・・・・・。良いコースにボールが飛んでくれました。

脇坂 危なかった(笑)。フィールドプレーヤーは、PK戦は自分が蹴る以外は本当に祈るだけなのですが、僕はみんなを信頼していました。選手は昨年の10月ぐらいからちょくちょくPKの練習をしていました。悠さん(小林悠選手)や視来くん(山根視来選手)、僕もしていたし、アキさん(家長昭博選手)なんかはいつも練習していましたね。だからあとは「ソンリョンさん、お願いします」という感じでした。

前回大会決勝のPK戦、10人目のキッカーは両チームともにGKが務めた。 ソンリョン選手はキックを成功させた後、相手選手のキックをセーブして勝利に大きく貢献した 【©JFA】

毎試合が決勝だという気持ちで、1試合1試合を大事に戦う

──優勝以外で天皇杯の思い出はありますか。

脇坂  第98回大会(2018年度)の2回戦のソニー仙台FC戦です。僕はプロ1年目で、AFCチャンピオンズリーグではデビューしていたのですが、天皇杯は初出場。試合は前半に2点を取られる展開になり、僕は38分で交代となりました。2点を追う展開なので仕方ない部分もあるのですが、僕自身にもゴールチャンスがあって決められなかったので・・・・・・。苦い思い出です。

ソンリョン  僕は第96回大会(2016年度)の元日決勝となった鹿島アントラーズ戦です。敗れた後のロッカールームが何とも言えない雰囲気だったのを覚えています。本当に悔しい敗戦でした。2016年は僕がフロンターレに加入して1年目のシーズンだったのですが、リーグ戦の年間勝ち点数は2位で、天皇杯も準優勝に終わりました。そして2017年のJリーグYBCルヴァンカップも準優勝だったんです。でも、その年の最後に逆転してリーグ戦で初優勝して、クラブとして初のビッグタイトルを獲得することができました。思い返してみると、天皇杯決勝で鹿島に負けたあの悔しさがチームのターニングポイントになったのかなと思います。

脇坂  鹿島との決勝はテレビで見ていました。(当時のメンバーリストを見ながら)そうか、三好(三好康児選手)が途中から出ていて、滉(板倉滉選手)もベンチに入っていたのか。すごいなあ。

前回大会、脇坂選手は5試合に出場。接戦が続く中、中盤でチームを支えた。 今シーズンはキャプテンとして連覇に挑む 【©JFA】

──今年度の天皇杯は5月25日(土)に開幕し、川崎Fは6月12日(水)の2回戦からの登場となります。今大会への抱負を聞かせてください。

脇坂 どんな大会でも毎回優勝したいという気持ちで臨んでいますし、フロンターレは前回王者なので連覇が懸かります。タイトル獲得を目指して1試合1試合を大事にしながら勝ち上がっていきたいと思います。

ソンリョン 天皇杯はリーグ戦などの合間に試合が組まれていることが多いので、いろいろな選手が出場します。本当にチーム全員の力が必要な大会だと思います。どんなメンバーでも毎試合が決勝だという気持ちで目の前の試合に臨む姿勢が大事です。決勝にたどり着くまでが大変な大会ですが、決勝まで行けばタイトル獲得のチャンスが大きく近づくので、チーム全員で一つになって、お互いを信じながら挑みたいです。

5月11日の2024明治安田J1リーグ第13節、 川崎フロンターレ対北海道コンサドーレ札幌の試合前に天皇杯の返還式が行われた 【©J.LEAGUE】

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著者プロフィール

日本サッカー協会(JFA)は、日本サッカー界を統括し代表する団体として、サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の発達と社会の発展に貢献することを目的に活動しています。 JFA公式Webサイトでは、日本代表からグラスルーツまで幅広いサッカーの現場の話題をお届けします。

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