【物語りVol.111】藤井 淳 採用担当「才能に溢れた選手でも、真剣にラグビーに取り組める選手であるかどうかが大事」

東芝ブレイブルーパス東京
チーム・協会

【東芝ブレイブルーパス東京】

東芝ブレイブルーパス東京では、多くの皆さまにクラブのことをより知っていただくために、今シーズンもライターの戸塚啓さんにご協力いただき、選手・スタッフ一人ひとりの「物語り」を発信しています。
※今シーズン新加入の選手の物語りを掲載していきます

【物語りVol.111】藤井 淳 採用担当

 2005年に伝統のユニフォームに初めて袖を通し、18年シーズンにキャリアを閉じた。勇退から4年を経た23年7月、藤井淳は採用担当スタッフとして東芝ブレイブルーパス東京に復帰している。
「勇退後は社業をしていましたが、23年の春ごろに薫田真広GMから、チームに協力してくれないかと声をかけていただきました。それが採用担当だったのですが、どんな立場でもチームに貢献できることが自分自身にとって重要でしたので、迷うことなく決めました」
 4年ぶりにクラブハウスへ戻ってみると、チームの変化に気づいた。「いまっぽいとでも言いますか」と話す藤井の眼は、優しく笑っている。
「若手選手が非常に生き生きとしていますし、ミーティングでも私の現役当時より、みんなが意見を言い合っているのかな、と感じます。当時から上下関係が厳しいということはなかったのですが、みんながリラックスして明るい雰囲気でやっているな、との印象を受けました」
 もっとも、藤井がクラブハウスで過ごす時間は決して長くない。東芝ブレイブルーパス東京の未来を担うタレントを求めて、大学の練習や試合などに足を運ぶ毎日だ。
「会社の業務を担っていた当時とは、生活が一変しました。大学の練習や試合のスケジュールに合わせて動きますので、始発の電車に乗って朝練を見に行くとか、夕方からの練習に出かけて夜遅くに帰宅することもあります」

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 採用の基準は明確だ。東芝ブレイブルーパス東京のスピリットやスローガンに選手を照らし合わせていくと、リクルートする人材は絞り込まれていく。
「『東芝らしさ』というのは、変わっていないと思います。やはり接点のところ、コンタクトに関しては自信を持っている。他チームからも東芝イコール、コンタクトの強さと認識されていると思いますので、そこにコミットできる選手というのは非常に重要です」
 14年に及ぶ現役生活では、たくさんの選手と接してきた。当時の肌触りが、採用担当の仕事に役立っている。
「色々な選手を見てきました。天才と言われるような選手と接することもありました。そのなかで感じるのは、実際にチームに入ったあとにどれだけ頑張れるかどうかが、やはり一番重要になってきます」
 ラグビーのスキルが高いのは、もちろん大切だろう。そのうえで、東芝ブレイブルーパス東京ではもうひとつの才能に着目している。「努力できる才能」だ。
「プレーはもちろんですが、一番重視しているのは人としてどうなのか、というところです。どれほど才能に溢れた選手でも、真剣にラグビーに取り組める選手であるかどうかが、非常に大事だと考えます」

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 現役時代の藤井は、日本一を何度も経験した。日本代表にもピックアップされた。誇るべきキャリアを作り上げたはずだが、その胸にはしこりのようなものが残った。
「何度も優勝を経験させてもらいましたが、キャリアの終盤は苦しいシーズンが続きました。優勝というものをなかなか意識できないチームに変わっていってしまったことを、すごく残念に思いながら引退しました。いまもこうして優勝できていないシーズンが続いているなかで、何とかこう……私の仕事はいい選手に入ってもらって、また優勝できるチームのピースになってもらうことです。自分の仕事が優勝への道となっていくわけで、非常に責任を感じています」
 重責を担っていることを自覚しつつ、やり甲斐も強く感じている。あの選手が東芝ブレイブルーパス東京のユニフォームを着て、あんなプレーをしてくれたら──想像の翼は、どこまでも広がっていく。
「我々のチームに合う選手を採用して、その選手がブレイブルーパスの色に染まっていって、チームの勝利に貢献する。そんな選手の成長を思い描くのは、ホントに楽しいです。我々が獲得した選手が中心となって日本一になり、ヘッドコーチやキャプテンを胴上げしている景色を見たいですし、桜のエンブレムを着けてW杯に出るような選手になってくれたらなあ、と」
 採用担当の仕事は、すぐに成果が表われるものではない。相思相愛で加入してくれる選手がいれば、何度も足を運んで首を縦に振らせることもあるのだろう。藤井の努力に終わりはなく、そもそも努力が実らないこともある。
 流した汗が結果に結びつかないことがあっても、藤井はハードワークをしていく。東芝ブレイブルーパス東京にふさわしい才能との出会いを、楽しみにしている。自身が噛み締める喜びが、嬉しさが、悔しさが、歯痒さが、いつかきっとチームのためになるとの信念は揺るがない。

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

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東芝ブレイブルーパス東京 試合情報

5/19(日)に行われたプレーオフトーナメント準決勝を28-20で制し、決勝戦進出を決めました!
決勝戦は5/26(日)に国立競技場にて埼玉ワイルドナイツと対戦します。
今シーズンリーグ戦で唯一敗戦したチームとのリベンジマッチとなりますので、ぜひ会場で皆様のご声援をよろしくお願いします。

【試合情報】
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 プレーオフトーナメント 決勝
埼玉ワイルドナイツ(リーグ1位) vs 東芝ブレイブルーパス東京(リーグ2位)
日時:5/26(日)15:05キックオフ
会場:国立競技場(東京)

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著者プロフィール

東芝ブレイブルーパス東京はジャパンラグビーリーグワン(Division1)に所属するラグビークラブです。日本代表のリーチマイケル選手や德永祥尭選手が在籍し日本ラグビーの強化に直接つなげることと同時に、東京都、府中市、調布市、三鷹市をホストエリアとして活動し、地域と共に歩み社会へ貢献し、日本ラグビーの更なる発展、価値向上に寄与して参ります。

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