早大ラグビー部 【連載】新体制特集『BEAT UP』【第6回】 大田尾竜彦監督

チーム・協会
取材・編集 西川龍佑、濵嶋彩加、清水浬央、村上結太

 いよいよ迎えた最終回、お話をお聞きするのは今年就任から4年目を迎えた大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)。監督としてチーム佐藤をどんなチームに作り上げてくのか、新シーズンを控えた監督のお気持ちを伺いました。

※この取材は4月11日に行われたものです。

「足元から見直さなければいけない」(大田尾)

就任4年目のシーズンを迎えた大田尾監督 【早稲田スポーツ新聞会】

ーー昨年は監督就任3年目でしたが、過去2年と比べて変えたところや重点的に取り組んだことはありましたか

大田尾 部内競争というものをすごく強く意識して3年間やってきました。昨年は過去2年に比べてさらにそれを強く意識して、それをやるために全体で一緒に練習を始めました。それをするために朝に練習をするというのが一番変わったことかなと思いますね。そこを意識することで、下のチームの子達が上のチームの人が何をしているのかを見て、そのことが活性化になるだろうという考えを持ってやっていました。



ーー昨年の伊藤主将が率いるチームというのはどのようなチームでしたか

大田尾 ラグビー自体はすごく上手ですごくスマートな子達が多い、そういうチームでしたね。



ーー昨年一年を通してターニングポイントになった試合や出来事はありましたか

大田尾 今振り返って思うと、早慶戦の時に少し苦しんでもいいから自分たちの戦い方を貫き通すということをもう少しやればよかったかなとは思っています。早慶戦自体はすごくうまく戦ってくれたんですけど別のやり方があったのかなという感じはしてます。



ーーその他に個人的に印象深い試合はありますか

大田尾 個人的には負けてしまったんですが、やはり京産戦が非常に印象的です。本当に自分たちが今まで作ってきたものをゼロから、足元から見直さなければいけないんだなと思った試合でした。



ーー改めて大学選手権の結果をどのように受け止めていらっしゃいますか

大田尾 やはりラグビーってスキルの高い選手たちが揃っていても決して勝つものではないなと。闘争というか人間性の部分での勝負というか、そこにこだわりきれる学生を何人作れるかということが本当に大事だと思いましたね。そこを決して疎かにしていたわけじゃないけど、僕の力不足で昨年の4年生をあのような結果で終わらせてしまったことは本当に申し訳ないと思っています。

監督として初の『荒ぶる』へ、どんな手腕を振るうのか 【早稲田スポーツ新聞会】

ーー監督として迎える4年目ですが今年はどのような年にしていきたいですか

大田尾 そうですね。やはり学生たちがどれだけ輝けるかというのが本当の意味で大事だと思っていて、そこにはコミュニケーションという一つの大きなテーマを持って今年臨んでいます。特に対話という部分を重要視していきたいと思っております。そこで学生たちが本当に輝ける試合を多く作っていけたらと思います。



ーー佐藤選手を主将に選出した理由をお聞かせください

大田尾 基本的には学生が考えて学生たちで話し合って、自分たちで決めていくのですが、そこを決める過程において今年はすごく長い時間をかけました。自分たちがどういう組織になっていきたいかや勝つためにはどういう組織であるべきかを長い時間話をして、健次を選んでいるので。そこについてはあまり言うことなく、彼らの意思を尊重するという形でした。



ーー佐藤新主将にはどういった活躍や役割を期待されていますか

大田尾 まずプレー面でいうとHOに転向して3年目で、そこで圧倒的な学生No.1になってほしいと思っています。スクラムにしてもボールキャリーにしてもタックルにしても全ての面で一人違うような活躍をしてほしいです。組織のリーダーとしては、自分が先頭に立って引っ張っていく時に周りがちゃんとついて来れているかなどを色々な学生と対話しながら自分の思い描くリーダーになっていって欲しいです。



ーー今年度、期待を寄せている選手はいらっしゃいますか

大田尾 やはり4年生になるのですが、亀山(昇太郎、スポ4=茨城・茗溪学園)とかですかね。あとは、細矢(聖樹、スポ4=国学院栃木)とか守屋(大誠、政経4=東京・早実)とか。もう一皮剥ければチームの主力となるような選手たちに期待しています。



ーー現在成長を感じるホットな選手はいらっしゃいますか

大田尾 今だとすごく伸びてきているなというのは、3年生の田中(勇成、教3=東京・早実)とかですね。あとは福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)とか。あの辺りの選手はすごく伸びてきているなという感じがします。



ーー現在、JAPAN XVの一員として3人の選手が選出されて世界で戦っていますが、代表チームに早稲田の選手が選出されることに対して監督としてどのように思っていますか

大田尾 怪我しないで帰ってきて欲しいなって(笑)。もうそれしかありません(笑)。



ーーこのように主力組の選手が抜けた状態での練習で意識されていることはありますか

大田尾 やはりリーダー陣の声かけのところで、健次がいないこの1ヶ月をどう過ごすかがすごく大事だよという話はしています。今日もこの後に学生たちと委員会で話すのですが、そこはどうやって組織をドライブしていくかが非常に重要だと考えています。



ーー今年の新入生に対する印象はいかがですか

大田尾 例年になく非常に体のサイズが大きい子が入ってきました。また、系属の早稲田佐賀高校出身の子が初めてプレイヤーとして入ってきたので、少し歴史を感じるなと思っております。



ーー早くも赤黒に絡みそうな選手はいらっしゃいますか

大田尾 まだやってみないと分かりませんが、レベルの高い子は数人いるなという印象ですね。



ーー系属校の選手が多くなっていますが、そのような選手が活躍することは早稲田にとってどのような影響があるとお考えですか

大田尾 少ない人数のアスリート推薦の中、系属校や附属校の選手たちはある程度早稲田のラグビー蹴球部でプレーすることを描きやすいと思います。アスリート推薦の子に大学でラグビーをすることを見据えてトレーニングしてきたような子達が合わさって、そこに一般で入る子達も一つになってチームを作れたらいいなと思います。やはり長い目でラグビーを見ることができている子たちがいるのはありがたいです。



ーー新シーズンに向けて、昨シーズンからの課題にどのように取り組んでいらっしゃいますか

大田尾 グラウンドはヘッドコーチの佐々木が中心にやってくれているので、僕の方では組織作りのところで。しっかりとリーダー陣や多くの選手との対話を重視して、風通しの良い組織を作ろうと思っています。そのような組織を作り上げることができれば皆が生き生きとプレーできると考えています。そうなれば今までにないチームが見られるのかなと思っております。



ーー新チームが始動してからのチームの雰囲気はいかがでしょうか

大田尾 負けてすぐはどんよりした空気でしたが、リーダー陣がしっかりと力を発揮することで今は非常に明るい、ポジティブな雰囲気で練習ができていると思います。



ーー現在のチームの強みはどのような部分だとお考えでしょうか

大田尾 今は多くの人が自分の意見をしっかり言える、練習を自分たちで作り上げられるような雰囲気です。まだそこには至っていないですが、自分たちで指摘しあって良いものを作ろうとしている雰囲気は、良いのかなと思っております。



ーー逆に現在のチームが抱えている課題はありますか

大田尾 やはり自分たちの強みがまだゲームに出ていないので、そこがどんどん見える形になれば。特にスクラムとか。BKもいわゆる主力選手、伊藤(大祐、令6スポ卒=コベルコ神戸スティーラーズ)だったり岡﨑(颯馬、令6スポ卒=静岡ブルーレヴズ)だったりその前の吉村(紘、令5スポ卒=NECグリーンロケッツ東葛)だったりが抜けたので、リーダー陣がどのように出てくるかが課題だと思います。



ーーそれらを踏まえて新チームの練習で重点的に取り組んでいることはありますか

大田尾 練習的にはディフェンスの時間をすごく多く割いています。昨年の数字を見ると、攻撃面ではトップ4と言われる相手に対してもある程度やれていましたが、やはり失点が多いので。ディフェンスについてはかなり時間をかけて改善しています。



ーーその成果としてはいかがですか

大田尾 組織としてはかなり積み上げてきて、プレッシャーをかけられるディフェンスになってきたので、そこを早く実戦で見たいという感じですね。



ーー春季大会の開幕を控えた現在の監督のお気持ちをお聞かせください

大田尾 4年目になりますし、遅いですがようやく学生というのを捉えきれるようになってきたと思いますので、彼らがどんな活躍をしてくれるのか楽しみです。



ーー春シーズンで重点的に見ていきたいポイントはありますか

大田尾 ディフェンスとセットプレーを見ていきたいです。



ーー春シーズン焦点を当てている試合はありますか

大田尾 はい。6月の明治戦と帝京戦ですね。ここをターニングポイントとしてやっていきたいと思います。



ーー改めて今年はどのようなチームを作っていきたいですか

大田尾 今160人程部員がいるのですが、学生たちの一人一人が生き生きと自分の目標に向かって輝けるような、そういう組織を作れたらと思います。



ーー部としてどのようなラグビーを見せていきたいですか

大田尾 やはり早稲田らしく、15人で横と繋がって粘り強く戦えたら良いなと思います。



ーー春シーズンへの意気込みをお願いします

大田尾 春シーズンは重点的に取り組んだディフェンスとスクラムのところでどのような進化が見れるかを楽しみにしていますし、学生自身も楽しみにしているんじゃないかなと思います。



ーー早稲田ラグビーファンの皆様へ一言お願いします

大田尾 僕が監督に就任してから早稲田らしくというものを僕自身もなかなか感じられないと思っていて。そこを今年はなんとかしようと学生と一緒に新チームがスタートした時から走ってきていて、違う姿を見せられたらと思っておりますので、少々の期待で見ていてください。



ーーありがとうございました!

今シーズンに向けて意気込みを書いていただきました! 【早稲田スポーツ新聞会】

◆大田尾竜彦監督(おおたお・たつひこ)

1982(昭57)年1月31日生まれ。佐賀工業高出身。2004(平16)年人間科学部卒業。4年時には主将を務め、対抗戦優勝、大学選手権準優勝にチームを導いた大田尾監督。卒業後はヤマハ発動機ジュビロ(現静岡ブルーレヴス)で競技を続け、その後2021年に早大の監督に就任した。昨季は大学選手権をベスト8で敗退し、雪辱に燃える今季は「コミュニケーションという大きなテーマを持って臨む」と意気込みを顕(あらわ)にしていただきました!
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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