早大ラグビー部 【連載】新体制特集『BEAT UP』【第5回】 HO佐藤健次主将
第5回に登場するのは今年度第107代主将に就任したHO佐藤健次(スポ4=神奈川・桐蔭学園)。大学屈指の突破力を持つフォワードとしてチームの攻撃を牽引する存在。早大を率いる主将として、チームを支えるプレーヤーとして、ラストイヤーにかける思いをお聞きしました。
※この取材は4月29日に行われたものです。
「自分を見つめ直すきっかけになった」(佐藤)
昨年の対抗戦・早明戦で躍動する佐藤 【早稲田スポーツ新聞会】
佐藤 去年は、ラグビーに真剣に取り組むというか、そこの意識の違いを感じたのは去年からなのかなと感じます。
ーーその影響は昨年の1年間でどう感じていますか
佐藤 1年生の時は本当にがむしゃらにやっていて、2年生で少し余裕が出てきたのですが、そもそものパフォーマンスが悪くて、どうにかしなくちゃいけないと思って迎えた3年生、色々変えてみて今までの自分の中で一番いいパフォーマンスができた年だと思っています。ただ、結果的にはそれが優勝には繋がっていないので、もっとやらなければいけないと思っていますし、意識を変えていきたいと考えています。
ーー昨年印象に残っている試合はありますか
佐藤 2試合あります。1つ目は対抗戦の帝京戦です。帝京戦はチームの雰囲気もすごく良かったし、あの日は僕もラインブレイクであったりスコアにつながるアシストっていうのもできていました。あの試合は勝てたかどうかはわからないですけど、自分たちの爪の甘さが出た試合だったなというのをすごく思っています。今でも映像を見返したりして、いいゲームをできたからこそ、勝ちを落としてしまった試合だったなと思います。2つ目は京産戦で、ベスト8で伊藤大祐さんを負けさせてしまったということを僕はすごく後悔していて、桐蔭からずっとお世話になっている先輩でもあったので、優勝させてあげられなかったということで、あの試合の後は何か変えなきゃいけないと、自分を見つめ直すきっかけになったかなと思います。
ーー今お名前を挙げられましたが、昨年のチーム伊藤はどんなチームでしたか
佐藤 乗ってきたら本当に止められない、伊藤大祐(令6スポ卒=コベルコ神戸スティーラーズ)さんもプレーで本当に存在感ありましたし、岡崎颯馬(令6スポ卒=静岡ブルーレヴズ)もすごく安定していましたし、多くの優れた選手がいて、とにかくチームが乗ってきたら止められない、そんなチームでした。ただ、その完成度がまだまだ低かったり、帝京戦でも後半はすごく乗っていたけど、自分たちのロストで相手にボールを渡してしまったり、頑張らないといけない勝負どころで、ギアが落ちてしまったりするところがあったので、そこは今年修正していきたいなと思っています。
ーー昨年を振り返ってターニングポイントになった試合はありますか
佐藤 やっぱり帝京戦だと思います。僕個人としては帝京戦から京産戦まででどんどんプレーの質が良くなって、京産戦でもゲインきれてすごくいいプレーが出来たと思っているので、ターニングポイントだったなと思います。チームとしてもあの試合をもし勝つことができていたら本当にチームが勢いに乗って違う結果で終われたのかなと思ったりもするので、あそこの帝京戦というのはすごく大事だったのかなと思います。
ーー改めて昨年の大学選手権の結果をどう受け止めていますか
佐藤 すごく悔しいですし、昨年の4年生にも申し訳ないと思います。ただ今となってはあまり気にしすぎないようにしているというか、今年優勝することが何よりも大事で、それが昨年のチームに対する弔いにもなりますし、今年最後に国立(競技場)でホーンが鳴った時、一点差でも僕らが勝っている状態を想像しながら1年間過ごすだけなので、過去のことは一旦全部忘れて、とにかく今年にフォーカスしてやっていきたいです。
「シンプルに相手を圧倒する」(佐藤)
佐藤 もともとチームを引っ張っていかなくてはいけないと思っていたので、(チームメイトから)票が入っても驚くことはなかったのですが、自分が変わらなくちゃいけないなということは素直に思いました。
ーー主将の選出は選手間での投票とお聞きしましたが、佐藤選手が選ばれた理由などは何か聞いていますか
佐藤 勝つためには健次がキャプテンなんじゃないかっていうことはいろんな人に言ってもらって、それが大きいのかなと思います。
ーー伊藤元主将から何か言葉はかけられましたか
佐藤 色々言ってくれるというより、自分なりに頑張れということだけ伝えてくれました。僕的にもその方がありがたかったです。
ーー委員の選出は佐藤選手による選抜という形ですか
佐藤 そうですね、僕が全部決めました。
ーー今年副将が1人になっているのは何か理由がありますか
佐藤 正直僕のイメージではキャプテンも副将も変わらないというか、みんながリーダーとして自立していかないと優勝はないと思っているので、変に役職を多くせずに最低限の役職を埋めて、後は各々がしっかりリーダーシップを持ってできるか、そこにフォーカスしてやっていきたいなと思ったというのが理由です。
ーーでは宮尾副将の選出理由をお聞かせください
佐藤 実はまー(宮尾昌典、スポ4=京都成章)じゃなくて、大誠(守屋大誠、政経4=東京・早実)にしようかなというのも考えていたんですが、やっぱり勝つならまーかなと思って決めました。勝ちに一番貪欲な選手ですし、パフォーマンスでもチームを引っ張っていけるところもあるので、本当に優勝するチームを作るなら、いいチームを作るために大誠のような選手を置くのではなくて、一番勝ちにこだわれる選手を選ぶべきかなと思って選出しました。
ーー今年度のチームスローガンを教えてください
佐藤 『BEAT UP』です。意味としてはとにかく相手を圧倒する、それから自分に打ち勝つというのが込められています。今までの早稲田にたりてないことはそのマインドだと思っていて、強いチームは相手を圧倒してやろうというプライドがあって、そこが僕らには欠けているなと思うので、とにかくそこだけに焦点を当てて、変にいろんな要素をスローガンに持たせるのではなく、シンプルに相手を圧倒するという思いが一番伝わるような言葉にしました。
ーー主将として今年どんなチームを作り上げていきたいですか
佐藤 まず強いチームを作らなければいけない、強い早稲田を取り戻さなくてはいけないですし、そのためにとにかく部員全員が勝ちに貪欲に、『赤黒』に貪欲に、『荒ぶる』に貪欲になっているチームを最終的に作りたいなと思います。
新シーズンに向けて
佐藤 少しずつは良くなっています。チャレンジできる、選手が主体的にできる環境になりつつあるんですが、まだ変わり切れてない選手も大半で、もっとチームにコミットして自分がまず引っ張って行ければいいなと思います。
ーー昨年と大きく変わったところはありますか
佐藤 やっぱり主体性を持ってやるというところ、去年よりも主体性を持って、いろんなところで自分の判断が入ってくるような、ラグビー外でも優勝するためにどの選択をするのかということを常に考えながらやっていければいいのかなと思います。
ーー練習でチームとして重点的に取り組んでいることはなんですか
佐藤 フォワードはやっぱりスクラムのところ、スクラムっていうのは今年一つの武器にしていかなければならない部分だと思っています。チームとしては判断力というのが重要になるかなと思います、型にはめられた動きをするのではなく、常にその瞬間に判断していくというのがチームの強みになると思います。
ーー今のチームの強みはなんだと思いますか
佐藤 うーん、今はアタックのバリエーションの多さがすごく面白いラグビーをしているなと思います。逆にディフェンスのところはもっとできる、できていないわけではないですが、まだまだ優勝するチームのディフェンスではないと思うので、ここから何個もギアを上げてやっていきたいなと思います。
ーー今チームが抱えている課題はなんですか
佐藤 今ディフェンスについて言ったんですが、それなりにできているところもあるので、とにかく意識のところだと思います。もっとラグビーのことを考えて、優勝するために取り組まなければいけな姿勢とかってあると思うんですけど、やっぱり全員がもっと優勝に貪欲にならなくてはいけないなと思うので、そこは僕がキャプテンとして行っていきたいなと思います。
ーー春季大会を控えた今、ご自身のお気持ちをお聞かせください
佐藤 春も全部勝ちたいですし、『荒ぶる』まで本当に一敗もしない、最強のチームを作るというのがキャプテンとしての考えです。プレーヤーとしては、HOとしてもっと一番にならなければいけないなと思っています。
ーー今のチームが春シーズンどんなラグビーを見せられると思いますか
佐藤 昨年とは少し変わったというか、もっと全員が動き続けていてチャンスがあれば全員がそこに走っていくという、考えてないとできないラグビーを今年やっていると思うので、しっかりそれを体現できればいいのかなと思います。また今チームとしてすごくチャレンジができていて、ラグビーを純粋に楽しんでいると思うので、そういうところも見ていただけたらなと思います。
ーー春シーズン期待のキーマンはいますか
佐藤 福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)です。やっぱり才能があるし、一流のプレイヤーだと思います。ただラグビー外ではまだまだで、今年そこを見直して少しずつプレーも伸びてきていて、今年のチームを支える1人なのかなと思います。
ーー春シーズンフォーカスしている試合はありますか
佐藤 やっぱり帝京と明治、この2試合は本当に勝ちにこだわってやっていきたいなと思います。
ーー春シーズンのチームの目標を教えてください
佐藤 全チームが全試合で勝つこと、勝ち癖をつけていくこと、どんな劣勢でも最後は絶対勝てると全員が思いながらプレーできるようになるために、春は勝ち癖をつけることがとても重要になると思うので、しっかり結果にこだわっていきたいと思います。
ーー春シーズンへの意気込みとファンの方々へメッセージをお願いします
佐藤 春シーズンで今年の早稲田は優勝すると思わせるような試合を全チームしていくので、ファンの方々から選手、スタッフ、OBの方々が一体となって強いチームを作っていけたらいいなと思います。
ーーありがとうございました!
今シーズンに向けて意気込みを書いていただきました! 【早稲田スポーツ新聞会】
2003(平15)年1月4日生まれ。177センチ。108キロ。桐蔭学園高校出身。スポーツ科学部4年。一年時から赤黒を着て、早大FW陣をけん引する爆発力のあるキャリアー。今期新主将に就任した佐藤選手は「『荒ぶる』まで一敗もしない」と今シーズンへの熱い決意を語っていただきました!先日のサモア遠征で更なる進化を遂げた佐藤主将の強気なプレーに注目です!
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