【物語りVol.107】CTB ロブ・トンプソン「父はラグビーが大好きで、『プロフェッショナルであれ』と言われ続けてきました」

東芝ブレイブルーパス東京
チーム・協会

【東芝ブレイブルーパス東京】

東芝ブレイブルーパス東京では、多くの皆さまにクラブのことをより知っていただくために、今シーズンもライターの戸塚啓さんにご協力いただき、選手・スタッフ一人ひとりの「物語り」を発信しています。
※今シーズン新加入の選手の物語りを掲載していきます

【物語りVol.107】CTB ロブ・トンプソン

 ピッチに立つロブ・トンプソンは、父親の言葉を噛み締める。
「つねにプロフェッショナルであれ」
 4歳でラグビーを始めたロブのそばには、もちろん父親がいた。
「父がラグビーを教えていて、4歳年上の兄がラグビーをやっていました。チームで練習をするだけでなく、自宅の庭でもラグビーをやっていて、小さい頃はトライを取りまくっていました。ふたつ上の学年に交じってプレーしていて、そのなかでもうまくできていましたよ」
 ラグビー大国ニュージーランドで育まれる才能が、さらなる磨きをかけられるのは2013年を起点とする。カンタベリーの一員として、NPCことニュージーランド州代表選手権に出場するのだ。
「カンタベリーの一員となったときに、自分が次のレベルへ進めたという感覚がすごくありました。私のキャリアにおいて、ひとつ目のターニングポイントでしたね」
 翌14年にはクルセイダーズの一員として、スーパーラグビーのピッチに立つ。16年からはハイランダーズへ所属を変え、スーパーラグビーでのキャリアを築いていった。16年10月にはマオリ・オールブラックスに初招集されている。NPCの試合でケガをしたために辞退を余儀なくされたが、17年、19年にもセレクトされて国際舞台でプレーした。
 ロブのラグビーキャリアが、2度目のターニングポイントを迎えるのは20年である。トヨタ自動車ヴェルブリッツ(現在のトヨタV)に加入するのだ。
「あのタイミングでは、トヨタのほかにウェールズのクラブからもオファーがありました。ウェールズは自分が住んでいたダニーデンよりも寒い。日本はどうかと考えたときに、ハイランダーズやマオリ・オールブラックスで一緒だったトム・フランクリンが神戸製鋼(現在の神戸S)でプレーしていて、日本はすごく過ごしやすい、家族にとってもいい国だと聞きました。彼だけでなくニュージーランド出身の選手が、数多く日本でプレーしていました。その誰もが良い国だと教えてくれたので、日本行きを決断することができました」
 ロブ自身も19年4月に、ハイランダーズの一員として来日している。サンウルブズとのスーパーラグビーを戦うなかで、日本に好印象を抱いた。
「あのときは短い滞在でしたが、日本で過ごす時間を楽しむことができました。綺麗で清潔で、空気も澄んでいる。日本でプレーすることで日本の文化を学んだり、経験できたりすることも、とても楽しみでした」

【東芝ブレイブルーパス東京】

 トヨタVには20年度の新加入選手として合流し、22年シーズンまでプレーしてきた。パワフルなラインブレイクでインパクトを記すロブは、23年度から東芝ブレイブルーパス東京の一員となる。
「オファーがあったから加入したのはもちろんですが、日本でできるだけ長くプレーしたいと考えていました。兄のアイザックも日本のクラブでプレーしましたし、この国には特別な感覚というものがすごくあります。海外でプレーすることは自分たちにとって大きなことですし、家族にとっても人生の素晴らしい経験になりますので」
 日本のラグビーとのフィット感も申し分ない。ロブもうなずく。
「日本のラグビーに慣れてきていますし、どのようにプレーするのかも理解できています。日本のラグビー界は、どんどん良くなっていくというのが見えています。逆にスーパーラグビーで僕が過去に在籍したチームは、以前ほど良くはない。日本でラグビーを続けることは、自分の将来にとってもいいことだと考えました」
 トディことトッド・ブラックアダーHCのもとでプレーするのは、クルセイダーズに在籍した14年以来となる。「異国で再び一緒に仕事をするのは、ちょっと不思議な感覚がありますね」とロブは笑みを浮かべる。
「トディのスタイルは、当時と変わらない印象です。アシスタントコーチたちを引っ張っていて、彼らがいい仕事ができるように導いている。ポジティブなスタイルですね」

【東芝ブレイブルーパス東京】

 オフの日には府中競馬場へ足を運ぶことが多い。母国ニュージーランドでは、友人と共同で馬主になっていたほどの馬好きなのだ。妻と7歳の娘、昨夏に生まれたばかりの息子とともに、リラックスした時間を過ごしている。
「自分は東芝ブレイブルーパス東京のラグビーに合っていると思いますし、ラグビーだけでなく生活も含めてすべて楽しむことができています。このチームでプレーしている間は、できる限り勝ち続けたい。いつかチームを去る時が来たとしても、自分がこのチームに入る前よりもいい状態にして去りたいと思っています」
 東芝ブレイブルーパス東京の勝利のために。
 愛する家族を父親として支えるために。ロブはラグビーに打ち込んでいる。楕円球を追いかける彼の心には、さらにもうひとつ、強い思いが宿っている。
「父はラグビーが大好きで、『プロフェッショナルであれ』と言われ続けてきました。残念ながら2017年に亡くなってしまったのですが、最後に残した言葉が『ステイ・フォーカス』でした」
 自分のプレーがうまくいかない。相手に厳しく警戒されている。自分たちのテンポを出せない。相手に押し込まれている。試合中に起こる様々な場面で、ロブは父親の言葉を思い返す。
 試合にフォーカスしろ。
 毎試合、フォーカスし続けろ。
 辛いことや厳しいことがあっても、ロブは決して目を逸らさない。
 ラグビーの素晴らしさを教えてくれた父のためにも戦う、全力で戦い続ける、と心に誓うのだ。

【東芝ブレイブルーパス東京】

東芝ブレイブルーパス東京 試合情報

5/19(日)はプレーオフトーナメント準決勝として、秩父宮ラグビー場にて東京サンゴリアスと対決します!
今シーズン3度目の府中ダービー、ぜひ会場で皆様のご声援をよろしくお願いいたします。

【試合情報】
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 プレーオフトーナメント準決勝
東芝ブレイブルーパス東京 vs 東京サンゴリアス
日時:5/19(日)14:05キックオフ
会場:秩父宮ラグビー場(東京)

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著者プロフィール

東芝ブレイブルーパス東京はジャパンラグビーリーグワン(Division1)に所属するラグビークラブです。日本代表のリーチマイケル選手や德永祥尭選手が在籍し日本ラグビーの強化に直接つなげることと同時に、東京都、府中市、調布市、三鷹市をホストエリアとして活動し、地域と共に歩み社会へ貢献し、日本ラグビーの更なる発展、価値向上に寄与して参ります。

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