藤井祐眞 15年前のWCで起こった驚愕の“79得点ゲーム”

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藤井祐眞がマークした1試合79得点は、いまだにWC記録として残っている 【月刊バスケットボール】

12/23から始まったウインターカップ。Bリーグで活躍する選手たちの多くがウインターカップで活躍した。そこで、12月20日~29日まで、連載「Bリーグ選手のウインターカップ」を連日公開。第9回は藤井祐眞選手(藤枝明誠高校/現:川崎ブレイブサンダース)を特集。

※ ※ ※

 79得点。

 15年たった今でも塗り替えられるどころか、それに匹敵するスコアを残した者すらいない──。川崎ブレイブサンダース・藤井祐眞が藤枝明誠高のエースとして出場したウインターカップ2008、その2回戦(vs.海部)で記録した1試合個人最多得点記録だ。

 藤井といえば、Bリーグで3度のベストディフェンダー賞に選ばれるなど、現在ではどちらかというと守備の名手という印象が強い。しかし、学生時代はバリバリの点取り屋だった。

 ウインターカップで大記録を打ち立てた一戦では、試合開始早々からドライブ、ジャンプシュート、フリースローなど、あらゆる手段で得点を重ね続け、まさに“ゾーン”に入ったと言える大活躍を見せていた。しかも、個人として獅子奮迅のパフォーマンスを見せていたわけではなく、チームとしても前から激しくプレッシャーをかけ、相手にボールすら運ばせない圧巻の戦いぶり。

 ディフェンスから即座にオフェンスへと転じ、前半77得点、後半85得点、トータル162得点というチームスコアをマークしている。地区大会ならともかく、全国大会でこのスコアを記録したのだから、当時の藤枝明誠にどれほどの爆発力があるかは想像に難くない。

 これほどの爆発力を秘めたチームの主軸が、藤井だったのである。しかも、記録達成当時は高校2年生だ。この試合で決めた2ポイント30本、3Pシュート2本、そしてフリースロー13本はどれもが海に小石を投げるがごとくリングを通過し、チームの半数近い得点へと変わっていった。

コーチからは「80点」をノルマに課されていたよう。ゆえに藤井も「残念」というコメントを残している 【月刊バスケットボール】


「ウインターカップの話題といったら祐眞の79点が一番インパクトがありますよ」

 現チームメイト・篠山竜青の言葉である。篠山自身、北陸高時代には先発ポイントガードとして同大会準優勝という輝かしい実績を残している。そんな篠山をもってしても、藤井の“79得点パフォーマンス”は別格だと舌を巻く。しかし、藤井本人は当時の取材に対して「コーチから80点と言われていたので届かなくて残念」と話している。驚きを隠せないコメントだ。

 ちなみにチームでの162得点という数字は、1991年に能代工が記録した154得点を上回るウインターカップ歴代最多得点であり、こちらも15年経った今なおランキングトップだ。

 また、藤井“祐眞”の活躍があまりにも驚異的であったために影に隠れがちだが、チームメイトだった藤井佑亮も同じ試合で54得点という強烈なスコアをマークしており、計133得点を稼いだ“2人の藤井”による圧巻のスコアリングショーは、もはや伝説である。

 藤井個人の得点記録、そして藤枝明誠のチーム得点記録が塗り替えられる日は果たして来るのだろうか?

現在はBリーグ有数の「守備の名手」である藤井 【(C) B.LEAGUE】

……時を現代に戻して、「ウインターカップ2023で最高のスコアラーは誰か?」という質問をされたとしよう。その1人として赤間賢人という選手の名が挙がる。188cmのウィングで、3Pシュートやドライブから得点を量産する爆発力が魅力のスコアラー。かつての藤井と同じく藤枝明誠高でエースを務めている。

 79得点というのは不滅の大記録のように思える。だが、記録というのは塗り替えられるために存在するという言葉もある。もし、今大会で藤井の記録を塗り替える選手が現れるとするならば、後輩の赤間がその筆頭候補になりそうだ。

文=月刊バスケットボール編集部
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