【埼玉西武】【新入団選手スカウトに聞いた!】2年連続の入団テスト受験。大学在学中から独立リーグへの挑戦。チャンスがあれば何度だってアピールした。そして今、掴んだ“夢”のスタートラインに立つ。

埼玉西武ライオンズ
チーム・協会
11月26日に会見を終えた新入団選手たち。来季からライオンズの一員になる彼らのことをファンの皆さまにより知っていただくために、今年も昨年に引き続き担当スカウトインタビューを実施!
第10弾は奥村選手!入団テストをチェックした秋元ファーム育成ディレクターに、直接お話をお伺いしました!

(編集協力:週刊ベースボール)

入団テストで魅せた類まれなフィジカルと野球へのストイックさ、泥臭いまでの真っすぐな熱さが彼を光り輝かせる。

【©SEIBU Lions】

「フィジカルの計測でNo.1の数値をたたき出していました」。入団テストを見守った秋元宏作ファーム育成ディレクターは、奥村光一選手の潜在能力の高さに目を見張った。「彼の場合はスピード、パワーを持ち合わせているんです。フィジカル担当のスタッフからは“ぜひ、獲得してください”という声が上がりました」。

実は奥村選手は昨年の入団テストも受験している。そのときもフィジカルテストでトップ5に入る素晴らしい結果を残していたが、精査すると足りない部分が見えてきていた。例えば20メートル走。反応も良く抜群のスタートを切るが、10メートルまでのタイムが伸びない。10メートル以降、加速して20メートルを走り切ったところではトップクラスのタイムをたたき出すが、瞬発力に欠いた部分が見えてきた。「本人はNPBのユニフォームを着るためにはパワーが重要だと考えていたんだそうです。それで体を大きくしたのですが、逆に持ち味であるスピードが落ちてしまった。結果的にプロ入りが叶わず、自分で考えてあらためてスピードを生かそう、と考え直したそうです」。

昨オフ、90キロ台だった体重を85キロまでに絞った。その成果が出て一つひとつのプレーのスピードが増した。今季はBCリーグの群馬で63試合に出場し、打率.300、6本塁打、26打点。33盗塁をマークしてタイトルを獲得している。肩の強さも抜群だ。

NPB入りへの思いは誰よりも熱かった。静岡翔洋高から東海大へ進学。だが、出場機会をつかめなかった。夢を潰えさせない――。3年時の秋、BCリーグ挑戦を決めた。トライアウトを経て群馬に練習生として入団。21年春、大学に在学しながら独立リーガーとしてデビューすると1年目から安打を量産し、打率.372で首位打者に輝いている。「とにかく野球に対して真面目。私生活も野球優先。独立リーガーで苦しい生活の中でも、トレーニングなど自分に投資していたそうです。テストでもなんとしてもチャンスをつかむんだ、とアピールしたい気持ちが全身からあふれており、すごく貪欲な姿勢を感じました。」

スピードにパワーも兼ね備える。完成系は外崎修汰選手をイメージできるが、アピールポイントは、やはり50メートル走5.8秒の“足”になる。「打撃は広角に打てて、振れるボールが来たら引っ張った形でのホームランも飛び出します。でも、やはり足を生かすには塁に出ることが重要になります。ヒットや四球で出塁して、相手に足でプレッシャーをかける選手になってもらいたいです」。

12月24日で24歳と育成選手としては年齢を重ねているが、プロのスキルを注入されてポテンシャルが開花する可能性は大きい。「確かにまだ少しぎこちないというか、人によっては力任せにプレーしているように見えるかもしれません。でも、プロに入って技術コーチに改善されていったら、どれほどすごい選手になるか楽しみです。伸びしろが大きいのは間違いありません。もちろん、奥村選手には『1年目から勝負だぞ』という話はしています。本人も『開幕のときに一軍にいるくらいのつもりで野球に打ち込みます』と意気込んでいます」。

育成ドラフト6位と同期の中でも順位は最も下だが、這い上がる覚悟はある。何よりも、そのプレースタイルがチームに刺激を与える。

「泥臭いプレースタイルですけど、必死さが、チームにいい影響を及ぼすと思います。とにかく、チャンスをつかんだときに光り輝いてくれる選手になってほしい。勝負どころで代走で出て、しっかりと盗塁を決めるというような。気持ちは強いので、そういったプレーもできると思います」。

フィジカルを生かしたプレーをベルーナドームで発揮する日を、楽しみに待ちたい。

秋元ファーム育成ディレクターから奥村選手へ
「野球に対して真っすぐな今の気持ちを忘れることなく、長いプロ野球人生を送れるように頑張ってください」
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

埼玉西武ライオンズに関する選手、イベント情報はもちろん、選手コラムやライオンズが取り組む活動についてもお届けいたします!週1〜2回を目途に公開いたしますのでお楽しみに!

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント