早大ラグビー蹴球部 序盤から主導権を握り、余裕の試合運びで初戦を突破

チーム・協会
全国大学選手権 12月17日 対法政大 東京・秩父宮ラグビー場
【早稲田スポーツ新聞会】記事 濵嶋彩加、写真 村上結太、川上璃々

 ついに幕を開けた全国大学選手権(大学選手権)。前節の早明戦で悔しい結果に終わった早大は、「ラグビーという競技において絶対に譲ってはいけない部分」(大田尾監督)を見つめ直し、ここからまた『荒ぶる』までの道のりを歩み始める。早大の初戦の相手は法大。試合は前半8分、早大のモールトライから始まった。先制トライを奪うと、その後も安定感のある試合運びで5トライをあげ、点差をつける。早大は敵陣でのプレーを続けて法大に一切の得点を許さず、37ー0で前半終了となった。後半に入ると、法大の力強いアタックに自分たちのペースを乱されかけたが、コンタクトやセットプレーの部分で最後まで余裕のあるプレーを見せる。着実に得点を重ね、54ー12で大学選手権初戦を勝利で飾った。

 序盤から早大のペースに持ち込んだ。試合が動いたのは前半7分、敵陣右奥でのラインアウトから。武器であるモールで最初のトライをもぎ取ると、刺さるタックルを続けてくる法大に対して苦戦する時間はあったものの、徐々に打開していく。きっかけとなったのは24分、WTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園)の独走トライ。自陣でボールを手にすると、そのまま自らが敵陣へ切り込んで何人もの相手ディフェンスを置き去り、インゴールまで駆け抜けた。このトライで勢いに乗った早大は、直後の28分にも好機をものにする。敵陣右奥でのラインアウトからテンポ良く左へ展開し、SO久富連太郎(政経4=島根・石見智翠館)からパスを受けたCTB野中健吾(スポ2=東海大大阪仰星)が右へ切り返す巧みなパスを見せる。最後はそのボールを受けたWTB矢崎がゴールポスト左へ抜けていき、自身2トライ目を挙げた。31分にはFL安恒直人(スポ3=福岡)、HO佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園)をはじめとするFW陣一人一人が着実にゲイン。トライライン目前まで押し込んだボールをSO久富がグラウンディングした。前半終了にかけての猛攻で一気に点差をつけた早大は、さらにCTB岡﨑颯馬(スポ4=長崎北陽台)も1トライを追加して37ー0で試合を折り返した。

スピードある突破力で、何度も好機を作り出したWTB矢崎 【早稲田スポーツ新聞会】

 ハーフタイムが明けると、早大スクラムに乱れがあり、なかなか攻撃を仕掛けることができないまま時間は経過。しかし、ここも今試合序盤から活躍が光っていたWTB矢崎の快走があり、一気に敵陣奥深くまで攻め込むことに成功する。LO池本大喜(文構4=東京・早実)が抜け出して相手ディフェンスを引き付けると、サポートに入っていたWTB福島秀法(スポ2=福岡・修猷館)へパスが渡り、左ライン際を駆け抜けて後半最初のトライを奪った。自陣でのペナルティーなどが絡んで法大に初得点を許した後も、自分たちのプレーを見失うことはない。後半27分、敵陣浅いところのマイボールスクラムからSO吉岡麟太朗(スポ3=東京・本郷)、CTB岡崎、WTB福島が順につないで相手ディフェンスを振り切り、CTB守屋大誠(政経3=東京・早実)が左大外へ飛び込んだ。そしてこの後33分にはケガで戦線を離脱していたSH宮尾昌典(スポ3=京都成章)が約半年ぶりに実戦復帰。観客からも大きな声援が送られた。最後は試合終了間際の41分、敵陣左奥でのラインアウトから得意のモールで押し込み、54ー12で試合を締めくくった。

ディフェンスを抜け、インゴールを目指すLO池本 【早稲田スポーツ新聞会】

 終始安定したプレーを続け、大学選手権初勝を突破した早大。「ブレイクダウンの部分とコンタクトの部分を見直して、そこの成果がかなり出た」と大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)は評した。次戦、関西屈指の実力を誇る京産大との一戦は、『荒ぶる』への道のりにおいて一つの鬼門となるだろう。大学選手権は負けたら終わりのトーナメント制。「全てをかけるそのエナジーを全力で表現」(伊藤)し、万全を期して京産大を迎え撃つ。

コメント

大田尾竜彦監督(平 16人卒=佐賀工)

――本日の試合について振り返りをお願いします

 対抗戦が終わって2週間の間で、ブレイクダウンの部分とコンタクトの部分を見直して、そこの成果がかなり出ていてゲーム全体として安定感のある試合運びだったかなと思います。まだまだ自分たちが詰めれる部分はあると思いますので、そこを伸ばして、次の京都産業大学戦へ良い準備をして臨みたいと思います。

――試合を通して、セットプレーに関していかがですか

  後半が始まってスクラムなど、やや不安定な印象を受けたかなと思います。ラインアウトに関しては、そこそこ取れていたかなと思いますし、モールに関しても、組んだところで4分の3ほどトライを取れていたと思いますので、そこは良かったと思います。次戦の京産大は重いですし、そこのエリアで取れるとかなり試合は優位に進むと思いますので、どこを詰められるのか見つめ直して、次の試合に臨みたいと思います。

――早明戦を終えての学び、発見があれば教えてください

 早明戦を振り返った時に、自分たちのラグビーを考える以前に、ラグビーという競技において絶対に譲ってはいけない部分、コンタクトやファーストフェーズのプレッシャーの掛け合いなどの本質的な部分について見つめ直しました。戦術、戦略に関しては、選手たちが自分たちのものにしてやり切ってくれている中で、その裏にある見えてなかった部分が早明戦で露呈されました。そういった本質の部分が足りていないことを選手たちにも伝えて、2週間かなりハードに練習しましたが、しっかりついてきてくれたので、そういった課題が改善された今試合だったと思います。

――来週、ショートウィークで京産大戦ですが、何に取り組むのか教えてください

 まずはリカバリーをしっかりすること。あとは頭の中をどれだけクリアにしてあげられるかだと思います。この短い期間でどれだけ頭の中をクリアにして、グラウンドに立った時に100パーセントあるものに対して集中できるという状態を作れるかが、ポイントだと思います。我々スタッフとしても、法大戦の準備をしながらその先の京産大戦につながる準備をしてきたので、選手たちを迷わせないようにクリアな状態でピッチに送り出したいと思っています。

FB伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――本日の試合の振り返りをお願いします

 まず、勝てたことがすごく嬉しかった試合です。ブレイクダウンという接点の部分をテーマにしていました。多少荒さとかが出てしまいましたが、チームとしてやろうとしたことに対しての振り返りができるので、中5日ですが、ショートウィークで次の京都産業大学戦に向けて伸び幅はあると思うので、しっかり修正して必ず勝ちたいと思います。

――前半最初の20分、最後のワンパスがつながらないなど細かいミスがありましたが、どのように修正しましたか

  パスのつなぎのミスはありましたが、早明戦でのミスとは違っていて、やるべきことが統一されたうえでのミスだったので、後はそこを修正するだけなので、京産大戦ではしっかりトライを取り切れるように厳しくやっていきたいとも思います。

――後半、トライ数で見ると3ー2という結果でしたが、そこに関する振り返りをお願いします

 試合を通して風の影響がかなりありましたが、その中でもモールトライを取れたりスクラムで押せたりといい形で崩せたので。客観的に見ると風下のところでやられたところもあります。そこを僕達としては0に抑えたかったので、修正するべきかなと思います。

――来週、ショートウィークで京産大戦ですが何に取り組むのか教えてください

 今日、この後リカバリーなどあるのでそれをしっかりしてというところです。チームとしても、僕自身としても何かを足すというよりも何かを磨く期間になると思うので、次勝たないとその次はないので、全てをかけるそのエナジーを全力で表現したいと思います。

FL安恒直人(スポ3=福岡)

――今回力強くゲインする場面が多く目立っていました。個人のプレーを振り返っていかがでしたか

 接点の部分で、一つ一つフォースして絶対に前に出られるようにしました。少しボールキャリーが高くなる部分があったので、そこは修正しないといけないなと思います。

――早明戦からFWとして修正したことや個人でも意識したことはありましたか

 接点で、アタックもディフェンスも一人一人が当たり負けないところを1週間意識してやりました。

――今回のテーマは

 フォースというところで絶対に引かない、相手を圧倒するということでした。

――スクラムで少し押されてしまう場面もありましたが、感覚としてはいかがでしたか

 前3枚と後ろ5枚でしっかりコミュニケーションが取れて修正できたので、そこは良かったと思います。

――メンバーが交代した後、スクラムに関して、修正したことやチームで意識したことがあれば教えてください

 普段からいろいろなペアで組んで練習しているので、特別なことは特になく、いつも通り組めたと思います。

――次の京産大戦に向けて意気込みをお願いします。

 4年生のためにも、自分が一番体を張って勝てるように頑張ります。

LO池本大喜(文構4=東京・早実)

――今日のFWのテーマを教えてください

 センターラインバトルということで、スクラムもモールも、プレー中の相手とのコリジョンで、最初のコンタクトのところを引かないというテーマでやっていました。

――その達成度はいかがですか

 全部良かったところも悪かったところもあると思うのですが、前の試合よりは達成出来たかなと思います。

――個人のプレーは振り返っていかがですか

 個人的にも波がある試合で、キックオフのレシーブのところは自分たちが点をとった直後のプレーなので、毎回そこを安定させられたことは前半の連続トライにつなげられたと思います。外側でボールをロストしてしまったところは反省点です。

――ラインアウトについてはいかがですか

 今日はシンプルに自分たちのやってきたテンポ、スピードを大事にという意識を持ってやっていました。

――大学選手権初戦を迎えましたがチーム内はどのような雰囲気ですか

 雰囲気としてはすごく良いと思っていて、本当に負けたら終わりなので、出し惜しみせず、最後までやり切ろうという感じです。

――最後に、改めて『荒ぶる』に向けて意気込みをお願いします

 この4年間一度も取ることができていないので、最後自分たちの代で取って終わりたいと思います。

SH清水翔大(文3=東京・早実)

――今日の試合の個人のテーマとそのでき具合をお願いします

 80分間、緊張してたのですが、やるべきことを明確にして、できることを80分間やり続けようというのをテーマにして試合に臨みました。フェーズが重なったとき、時間が経っていくにつれて細かい部分の精度が悪くなってしまった部分もあったので、もっと詰めていく必要があると感じました。

――初めてのスタメン出場となった今試合にどのような思いで臨みましたか

 ノックアウトステージという場面で、4年生の思いを背負っている試合だったので、 一つ一つのプレーに気持ちを込めてプレーしました。特に自分は高2の時に秩父宮のグラウンドで1個上の先輩を引退させてしまったという思いがあるので、1個上にあたる4年生のみんなを引退させたくないという思いで試合に臨みました。

――個人としての課題点はありますか

 時間が進み、フェーズが重なっていくにつれて精度の部分、 コミュニケーションやパスが悪くなってしまったので、そこは今後もっと成長しなければいけない部分だと思います。

――次戦に向けた意気込みをお願いします

 試合を通して自分が成長できるように、そしてもっともっとチームの勝利に貢献できるように頑張りたいと思います。

SH宮尾昌典(スポ3=京都成章)

――久しぶりの対外試合でしたが、どんな気持ちで挑みましたか

 選手権で負けたら終わりの状況で、チームに勢いをつけられるように、全員が80分間戦い抜けるように、できればいいなと思って挑みました。

――大学選手権に合わせて、計画的に復帰を調整していたのですか

 大学選手権に間に合う確信はなかったですが、ここを一つ目標に練習していました。

――実際に久しぶりに試合に出てみて、いかがでしたか

 楽しかったです(笑)。絶好調です!

――次戦に向けた意気込みをお願いします

 アウェイですが、変わらず早稲田ラグビーらしく戦い抜きたいです。

WTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園)

――個人的な今日のコンセプトを教えてください

 チームとして明大戦で出た接点での勝負という課題を今試合に向けて掲げていたので、その部分を意識していたのと、アタックでもディフェンスでもBKのラインコントロールを意識して試合に臨みました。

――今日のご自身のプレーは何点ですか

 60点くらいです。

――残りの40点はどのようなところですか

 もっと早く内側の選手に外の状況を伝えられた場面もありましたし、試合前にやろうと言っていたラインアウトからのラインスピードであったり、そういう部分が甘かったと思うので、自分たちしか感じられないようなところをもっと精度高くやっていきたいです。

――自身初の大学選手権でしたが何か特別な思いはありましたか

 負けたら終わりという試合なので、一戦必勝というのを心に刻みながら、この先もやっていきたいと思います。

――荒ぶるへの意気込みをお願いします

 伊藤大祐キャプテンを日本一のキャプテンにするために、僕が少しでも力になれるように頑張りたいと思います。

WTB福島秀法(スポ2=福岡・修猷館)

――3試合ぶりのスタメン、どんな気持ちで臨まれまれましたか

 負けたら終わりというプレッシャーはありましたが、自分ができることをやり切ろうという気持ちで臨みました。

――体を張ったプレーが目立っていましたが、個人のプレー振り返っていかがですか

  スピードでは劣るところがあったので、コンタクトの部分で勝とうと、そういったプレーを意識しました。

――早明戦を経て今日意識したことは何かありますか

  チームとしてフォース、接点に拘るという目標を掲げていたのでそこで自分もコンタクトでフォースを意識しました。

――BK全体の攻守を振り返っていかがてすか

  早明戦からファーストフェーズにこだわろうと、その部分はいい形でできたかなと思います。

――京産戦に向けての意気込みをお願いします。

 今まで通りやるべきことをやって勝ち、次に進めるように頑張ります。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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