【ラグビー/NTTリーグワン】2試合連続の劇的勝利の原動力はリーグ屈指の声援。 RH大阪が積み重ねてきたホストタウン活動の成果<RH大阪 vs 釜石SW>
【©ジャパンラグビーリーグワン】
RH大阪 27–25 釜石SW
12月16日、ディビジョン2という新しい舞台で初めてのホストゲームを行ったレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。ヨドコウ桜スタジアムで、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)を迎え撃った。
ゲームの前半を17対8でリードしていたRH大阪は、後半に入って釜石SWに23分と37分、二度の逆転を許した。1点ビハインドとなり、40分を過ぎてもアタックを続けていたRH大阪は、フェーズを12まで重ねたところでアドバンテージを得た。ドロップゴールには失敗したものの、ペナルティゴールをブライス・ヘガティが決め、27-25でホストチームが勝利。RH大阪は1週間前の開幕戦に続き、2試合連続ラストワンプレーでの逆転劇となった。
あいにくの雨天にもかかわらず、この日ヨドコウ桜スタジアムに足を運んだ観客数は、8,586人。ジャパンラグビー リーグワンが始まってからの過去2シーズンも含め、ディビジョン2以下のリーグ戦1試合における入場者数の過去最多記録となる。
これまでディビジョン2以下のリーグ戦での1試合における入場者数は、2022シーズンに三菱重工相模原ダイナボアーズと花園近鉄ライナーズが戦ったディビジョン2第1節での5,305人が最多。それに次いで、先日行われたNECグリーンロケッツ東葛と浦安D-Rocksの開幕戦で、5,066人。5,000人以上の観客を迎えたリーグ戦は、その二つしかなかった。今回RH大阪は、昨季のディビジョン2での1試合平均観客数を上回る数字を上乗せして、その記録を更新したことになる。これは決して簡単なことではない。コツコツと積み重ねてきたホストタウン活動などの成果が表れたうちの一つと言えるだろう。
「応援してもらうことは力になる」(島田久満)からこそ、この日も逆転勝利を収めることができた。けれど、応援してもらうことへの感謝の気持ちが強いぶん、 “祝うて(いおうて)三度”手を打ち鳴らす大阪締めで多くの観客と「勝利の喜びを分かち合えたことは良かったが」と前置きし、「見ている人をヒヤヒヤさせてしまった」(髙井翔太)こと、「もっと興奮するような試合に」(射場大輔)できなかったことなど、選手たちは試合内容を深く省みた。
ディビジョン2でのチャレンジは、まだ始まったばかり。大阪市内での週末のラグビー観戦を通じて、多くの人たちが『最高の月曜日の朝を迎える』ことができるチームへとさらに成長を重ねたい。
(前田カオリ)
【©ジャパンラグビーリーグワン】
マット・コベイン ヘッドコーチ
「今日の試合の内容に関しては、非常に残念に思っています。試合の立ち上がりの部分に関しては良かったのですが、相手チームにレッドカードが出たあとは、相手ではなく、逆に自分たちが苦戦してしまいました。特に、フィールドポジションでは、なかなかエリアが取れませんでした。一方、相手は、時間の経過とともに勢いが上がってきていて、フェーズもしっかりと重ねられていました。勝利をつかむことはできましたが、内容に関しては本当に良くなかったと感じています。自分たちは、この試合の内容からしっかり学びを得て、成長していかなければいけません。感覚としては、今日の試合は、負け試合だったと捉えています」
――苦しい内容でも勝ち切ることはできたことも含め、今後の試合に継続していきたいような良い部分はありましたか?
「良い意味で続けていきたいことではないのですが、次の試合につなげていきたいことはあります。試合の中では、良い時間帯も悪い時間帯もあります。今日の試合では、良い時間帯でも、自分たちの我慢強さが足りず、結局悪い流れにしてしまっているシーンがありました。例えば、前半の自分たちのアタックでラインブレイクした場面。自分たち自身で焦ってしまい、最終的には相手がスコアを挙げてしまうという展開がありました。自分たちが最後までチャンスを仕留め切ることができるような我慢強さや信頼の部分が欠けてしまいました。それだけではなく、エラーもとても多かった。ブレイクダウンのところに関しては、今日は良くありませんでした。それらの部分を課題とし、来週の試合に向けて、すぐに修正していきたい。選手たちにもそのことはしっかりと伝え、その課題に対してしっかりとエナジーを費やし、細部にこだわっていきます」
レッドハリケーンズ大阪
射場大輔バイスキャプテン
「ホストゲーム開幕戦ということで、天気も悪かったですが、ファンの方がたくさん来てくれましたので、勝利で終えることができたことは良かったと感じています。ただし、内容に関しては、満足できるものではありませんでした。まだまだ足りないところがあるので、もっと良い試合ができるようにしていかなければいけません。ペナルティなど、自分たちのミスで苦しい試合展開にしてしまいました。ディビジョン2という新しい舞台では、自分たちはチャレンジャーなのだということを認識した上で戦っていかなければいけないと、あらためて感じました」
――試合前には、見に来てくれるファンやホストエリアである大阪市の人たちだけでなく、「準備をしてくれているスタッフのためにも、選手の自分たちがラグビーで結果を」とおっしゃっていました。今日の試合を終えて、その部分に関しては、どのように感じていますか?
「結果として勝って終われたこと自体は良かったですが、試合内容も良いものであれば、もっと盛り上がるホストゲーム開幕戦にできていただろうと思います。勝利するだけでなく、見に来てくださった方たちにもっと興奮してもらえるような試合をすることができれば、『また次のホストゲームにも行きたい』と思っていただけるものなのだろうと思います。そこは選手たち自身の責任なので、もっとラグビーの質を高めていきます」
【©ジャパンラグビーリーグワン】
須田康夫ヘッドコーチ
「素晴らしい環境の中でラグビーの試合をできたことを非常に光栄に思いますし、感謝申し上げます。
日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)としては、昨季はトップ3に入るという結果を出すことができなかったので、今季こそはトップ3に、と目標に掲げてやってきました。なんとしてもレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)さんには勝ちたいゲームでしたが、RH大阪さんの素晴らしい、規律のあるプレーといいますか、そこにわれわれとしては我慢比べで負けてしまったということが、最後のワンプレーやゲーム中の展開に表れていたのかな、と感じています。そうした部分は、次のゲームに向けて修正し、しっかり戦います」
――今日の試合について、良かった部分と修正したい部分を具体的に教えてください。
「我慢し切れる時間帯があったことは良かったと思います。スクラムなど、セットピースの部分に関しては、崩れず集中力を持ってできていました。前回の試合では、自分たちのアタックのとき、3フェーズ目でターンオーバーが起きていたので、そこも修正できていて、自分たちのアタックの形が見えてきたと感じました。修正すべき点は、我慢比べになったとき。ディフェンスでも良いプレーが増えてきているので、たった一つのミスや我慢すべきところで我慢するということは、修正ポイントだと思います」
――後半は開始2分でトライし、逆転も二度ありました。ハーフタイムでは、どのような話をされましたか?
「少し微調整といいますか、ブレイクダウンのところでボールをうまく出せていなかったので、ブレイクダウンの修正について話しました。また、規律についても、『ファウルを減らしましょう』という話をしました。修正し、それを継続することができれば、逆転もできるということが見えたのは、良かったと感じています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
小野航大キャプテン
「本日はありがとうございました。試合をとおしてチームとしてやろうとしていることができている時間帯もかなり多くあったと思いますが、最後のペナルティについては、あのような場面でペナルティをしてしまう、ということが今日のゲームのすべてだったと思います。やってはいけないところでペナルティをしてしまったり、我慢しなければならないところでボールを失ってしまったりするなどの自分たちの規律の部分、また、ペナルティだけでなくチームとして統一しなければいけないところをもう一度見直し、次のゲームに向かいます。どうしても勝ちたいゲームだったので本当に残念ですが、下を向かず、長いシーズンをチームとして力を付けていけるよう、そして、次の試合では良いゲームをできるよう、準備していきます」
――ご自身の逆転トライも含め、応援に駆け付けた釜石SWのファンを二度の逆転で喜ばせることができましたが、最後にもう一度喜んでもらうことは、惜しくも叶いませんでした。ファンへの思いと次節への意気込みを聞かせてください。
「今日は拮抗したゲームで、見ている人には楽しんでもらえるゲームだったかもしれませんが、せっかく岩手からもたくさんの方が応援に来てくださっていましたし、何とか勝つ姿をお見せしたかったので、非常に残念な気持ちです。来週は、福島県いわき市(ハワイアンズスタジアムいわき)で、初めてホストゲームを開催します。僕の地元でもあるので、地元の方にもたくさん見に来ていただきたいですし、釜石SWのファンのみなさんにはホストゲームで勝つ姿をしばらく見せられていないので、来週こそは勝つ姿をお見せしたいです」
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ