超攻撃・岩井明愛-2週連続完全V達成
岩井 明愛 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
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《グリーン=スティンプ:10 1/2フィート コンパクション:21~22mm》
岩井明愛は宣言通り、歴史に名を残した。2週連続の完全優勝はツアー施行後、4人目の快挙。しかも、15年・イボミ、18年・申ジエ、19年・鈴木愛と、そうそうたる達成者と肩を並べたことになった。
「最高にうれしい」と喜びをシンプルに語っている。この日、象徴的なシーンはパー5・8番のイーグル奪取だろう。残り227ヤードの第2打を2オンに成功。しかし、ピン奥から14メートルの上って下るスライスラインは、諸刃の剣ともいえるシーンである。チャンスが一転。ピンチへ直面することがしばしばある。
「カップへ向かうにつれてスピードが速い。6メートルぐらいをストロークするイメージで。ただ、強く入ってしまった」と振り返った。ショートは許さない。これがスタイル。そんな強い気持ちがボール伝わり、ラインに乗って、カップインする。「オーバーした方が、おもしろいでしょう。もし、ラインへ乗らなければグリーンをオーバーしていたでしょう」。平然と語るところが、スーパープレーの原動力だ。
ただし、常に自信満々というわけではない。細心の注意を払う。「首位スタートでも、前日にプランは立てない。スコアは気にしません。私の場合、たとえ5打差でも気にしない」と前置きし、「応援してくださる方へ、あまり期待しないでください-そういってスタートホールへ向かった。もちろん、私自身も期待しないように、いい聞かせ、ティーオフしたんですよ」と話した。
岩井 明愛 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
「あのホール、もしボギーを叩いたら、一気にいい流れが悪くなっていたでしょう。私は、イーグルよりも、12番がポイントとだったと思います」。なるほど、その通りだった。残り6ホールで2バーディーを奪い、ピンチらしいピンチはなし。後続が追い上げても、なかなか差はつまらなかった。
「最終ホールのパーパットを入れるまで、優勝なんて考えてはいません」。勝利を欲していながらも、コースでは感情をコントロールして常にベストをつくす。今季の躍進は精神面の強さがもたらした。
「一番は4月のKKT杯でツアー初優勝できたことです。それまで、(妹の)千怜に追いつかなくてはいけない、という焦りがありました。1勝で気持ちが楽になって、前週の2勝目の後は、不安が自信に変わった。きっと、きょうの3勝目をあげられた要因だと感じている」と、言葉を選びながら語っている。
ツインズということで、常に比較される存在が身近にいる。姉妹で切磋琢磨しながら、昨年の千怜が成し遂げた2週連続Vを達成。しかも、完全優勝でまたもや存在をアピールした。
岩井 明愛 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
「攻めることが私の強みです。最近、できるようになった。続けていきます。また、1Wは体力が続く限り、クラブを振っていきます。やりたいように攻める。ギャラリーの皆さんも楽しんでくださるでしょう」。
スタッツへ目を移すとパーオン率、平均バーディー数、パーブレーク率、バウンスバック率、バーディー数、60台のラウンド数、年間トップ10回数が第1位である。今季の残り試合は9。メルセデスポイント争いもガ然、ヒートアップしてきた。ファンが熱戦を心待ちにするリクエストに見事、応える。これも明愛流、プロの矜持だ。(青木 政司)
岩井 明愛 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
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