ガムとひとりごと サイペイインが来た
【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
サイ ペイインが開幕戦以来、今季2度目の2位スタートを決めた。この日のテーマは「自己の解放」。そういってしまうと、ものすごく大げさに聞こえるが、わかりやすくいえばプレー中、緊張しない-だった。
ホールアウト後、そんな説明を受けて、合点がいくことがある。珍しくプレー中にガムをかんでいた。そして、移動の際にはほほ笑みながら、何やらひとりごとを…。「口の中を柔らかく保ちたい。それにはガムをかむことが一番いいと思った。去年、優勝した明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメントの時も、ガムをかんだ、と気がついて…」と明かしている。
スタート前、ガムを口へ放り込む。さっそく、効果てきめんだった。「(インスタートの)10番で2.5メートルが決まると、続く11番では6メートル。そして、12番が13メートルをカップインして、3連続バーディー。きょうはお正月かなぁ、と感じるぐらい私にはステキな出来事でした」と振り返る。好調は続いた。とりわけ、前後半のスタートホール、最後のホールでバーディー奪取。7バーディー、1ボギーの66は今季のベストスコアだ。
いかに精神面が大切か。わずかのことで激変するのだ。加えて、ショットとショットの間には、「ひとりごとをいう。雲の形や、風の状況。そうやっているときが楽になります。私は集中しすぎることが長所であり、短所。移動の時も次のことを考えていると、視界がすごく狭くなるし、体もカタくなる。だから、気をまぎらわすためのひとりごとです」。
ましてや、これからの暑い時期が得意シーズンだ。技を磨くのは当然だが、自身も創意工夫をすることでプラスアルファがある。一方で、ちょっと珍しかったのはベージュのシューズ。これにも、深い事情が隠されていた。
「外反母趾なんです。だから、シューズ選びが大変。原因はジュニアの頃、足形に合わないものを履いていたからでしょう。私は幅が狭くちょっと長い。なかなかフィットするものがなくて、きょうのシューズはメンズモデル。それに、オーダーメードのインソールを入れている。おかげで元気にプレーができます。ひとつだけ、ジュニアのゴルファーへアドバイスしたいのは、シューズ選びは特に慎重に。ゴルフを長年続け、いいプレーをするためには、まず足元からですよ」。
もちろん、今大会は手応え十分の様子で、「優勝はしたいけど、それ以上にベストを更新することが大切。あすもまた、リラックスしながらやります」と言葉が弾む。自己ベストスコアは65。第2日に更新なら、Vが見える。
(青木 政司)
【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
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