春を待つ94期生〜竹田 麗央

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【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 コロナ禍の難しい調整を克服。2023年、プロ2年目のスタートを切る。21年11月、29.2倍という、狭き門を潜り抜けた94期生は逸材揃いーとの評判が高い。

 たけだ・りお=2003年4月2日、熊本県合志市出身

 勝負のプロ2年目。オフの練習へ一層、力が入るようになった。天賦の才ともいえる抜群の飛距離は何物にも代えがたい。「攻めるスタイルは変えません」は決め台詞のようになった。それはそうだ。平均260ヤードを飛ばす。キャリーで250ヤード。その時の状況にもよるが、「去年、フォローの風なら、300ヤードを超えることが何度かあった。クラブのヘッドの芯に当たると、悪い響きがこない。飛んだなぁーとにかく気持ちがいいものですよ」と話した。

 ただし、せっかくつかんだアドバンテージを生かすためにはパッティング、ショートゲームをもっと磨かなければならない。「1年目の経験が大きいです。頭では、わかってはいたけど、肌で感じていたわけではなかった。去年の終盤、ショートゲーム、パッティングがいかに大事かを考えさせられました」と、表情を引き締め明かしている。

 顕著な例、自身がベストプレーとしてあげたのは樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメントの最終日、最終18番のパッティングだ。2オンへ成功し、7メートルのイーグルトライ。見事、狙い通りカップインさせている。

 「アマチュアとの違いは、我慢強くなったところだと思います。以前は、調子が良くてもボギーを叩くとズルズルと後退して…。その時は、一生懸命にプレーしたつもりでも、ホールアウトする前にあきらめてしまったところがある」とひと息つき、「プロで何試合か行ってから考え方、取り組み方が変わったと思う。当たり前ですけど、勝負は最後の最後まで何が起こるかわからないーといわれるでしょう。意味がよくわかってきた。勝負は、すべてがつながっている」と力説する様は、とても頼もしく感じた。

 最終プロテスト合格は近年、より激しさを増している。アマチュア12年のキャリアがあり、しかも母・哲子はプロゴルファー。叔母が2度の賞金女王のタイトルへ輝いた平瀬真由美となれば、スポットを浴びて当然だろう。

 「以前から、インタビューで必ず叔母、母のことを質問されることが多かった。でも、いやだなぁなんて一度も思ったことはありません。すごいんだなぁ。私だって、もっと頑張らなければいけない。そのたびに感じました」という。21年、一発合格で期待に応え、年末のファイナルQTは失敗したものの、昨季は前半、推薦出場でチャンスをつかみながら、リランキングでシーズンを戦い抜いた。メルセデスランキング58位。今季はQTランキング22位で、前半戦のフル出場を勝ち取った。

 気分転換はプロ野球観戦。ジャイアンツ女子だ。「祖父、父、家族で夜は巨人戦をテレビでいつも見ていた。その影響ですね。また、ヤクルトの村上さんを同じ熊本ですから、応援しています。去年はヤクルト戦をナマで観戦しました」とうれしそうに漏らす。

 ところで、熊本出身のレジェンドといえば、打撃の神さまー故川上哲治さんが浮かんでくるが、「すごい方…と、お話はうかがったことがあります」と、ちょっとこまった様子だった。

 今年4月、20歳を迎える若きアスリートにとって、昭和は昔々の時代である。

(青木 政司)
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