ライバルはいない 〜vol.5フレイザー・クワーク【三重ホンダヒート新人インタビュー】
【三重ホンダヒート】
「ライバルはいない」と言い切れる心の強さは、何故に。熱きタックラーの深層を紐解く。
オーストラリア出身、開志国際高校→日本大学。187cm/99kg。ポジションはセンター 【三重ホンダヒート】
オーストラリアにいた頃はよくやっていました。毎朝海に行ってサーフィンをして、目を覚まして。みんな、仕事や学校前にはサーフィンしていますね。日本は波が全然違うので出来ていません、残念です。
――子どもの頃はどういうお子さんでしたか
スポーツが大好きな子でしたね。学校の部活動はシーズン毎に変わるので、1年で4つのスポーツをします。ラグビーだけでなく、サッカーをやったり、クリケットやゴルフをやったりしていました。
――オーストラリアでは15人制のラグビーユニオンだけでなく、13人制のラグビーリーグも人気ですよね
僕も日本に来る前は両方やっていました。週に2度ずつ、リーグとユニオンを練習して。ユニオンは土曜日が試合で、リーグラグビーは金曜日の夜に試合をしました。もちろんルールは少し違いますが、オーストラリアでは両立できるスケジュールが組まれています。
――ラグビーとの出会いを教えてください
1歳年上のお兄ちゃんが小学生の時にラグビーを始めたことがきっかけです。楽しそうだと思ったので、自分も一緒に始めました。スタートはラグビーユニオンです。
1歳違いの兄とは双子のような関係性 【三重ホンダヒート】
2度の帰国
オーストラリアの学校に通っていた高校1年生の時、様々な事情があって転校したんです。だけど新しい高校では、学校のレベル的に代表へチャレンジできる可能性が低くなってしまって。そこでコーチから「日本に行くチャンスがあるなら行きたいか?」と言われ、「行きたいです」と答えたことがきっかけでした。
高校2年生に上がる前に日本に来て、日本では高校1年生からスタートしたので、同級生よりも年齢が1つ上です。
――日本に来た当初は、こんなに長く日本でラグビーすると思っていましたか
実は自分、高校1年生の時に一回辞めたんですよ。一度辞めて、2か月半ぐらいオーストラリアに帰りました。だけど高校の監督が「もう一回一緒に頑張ろう」と言ってくれて。もう一度頑張ってみよう、と思って日本に帰ってきました。
――そんなことがあったとは。大学も日本大学でプレーされましたが、なぜ日本の大学に進学したのでしょうか
高校卒業後は大学に行くつもりがなかったので、1度オーストラリアへ帰って仕事をしていました。だけどそれでも日大が「一回来てみて欲しい、嫌だったら帰っていいから」と言ってくださったことで、日大に進学することにしたんです。
――一度オーストラリアに帰って、それでも日本の大学でラグビーをやってみようと思った。なぜ、日大でラグビーを4年間続けることができたのでしょう
いい所でした。めっちゃイイ人たちばかりだったから、続けることができたのだと思います。自分が1年生の時の4年生とは一番仲が良かったですね。仲間のおかげです。
――仲間に感謝、ですね。クワーク選手は、試合中はあまり感情を表に出さない選手、というイメージがあります。疲れた顔や痛んでいる顔はもちろん、例えばトライをしても大きく喜ぶ表情を見ません
日本人よりもシャイなのかもしれません(笑)。知らない人だったら、全然話さないレベルのシャイなんです。
――大学ではセンターとして1年生の頃から関東大学リーグ戦に出場されました。3年生までは13番が多かったですが、4年次には12番になりましたね
特に理由はないんですけど、自分がディフェンス好きだということをコーチたちは知っていて。12番の方がタックル回数も多くなりますし、困った時にキャリーすることもできるので、12番に入るようになりました。
高校3年生まではFW第3列。デービット・ポーコックやマイケル・フーパーが憧れだった 【三重ホンダヒート】
自分に集中する。相手の情報は仕入れない
大切にしている言葉は『The me I see is the me I'll be.』。自分の思い描く理想が自分を創る、という意味です。
中学1年生ぐらいの時に上手く行かなくなった時、コーチからこの言葉を教えてもらいました。それ以来、この言葉を大切にしています。
――仲の良い選手、ライバル選手をそれぞれ教えてください
同期とはもちろんのこと、みんなと仲が良いです。困ったことがあればみんなが助けてくれるので、本当に助かっています。
ライバルは特にいません。僕より強い人はたくさんいますけど、他の選手のことは考えていないです。自分のプレーだけ、考えるようにしています。
――自分に集中する、ということですか
たとえば試合の時にも、相手のことは詳しく調べません。もちろん有名な選手たちの名前は知っていますし、プレースタイルも分かってはいますが、代表に入っているとか代表キャップいくつだ、とかは絶対に知りたくないです。
――人のことを見すぎて、その人のキャリアや持っているものに左右されない、ということですね
相手の情報は見ないですね。どうでもいいからです。特に自分のトイメンは絶対に見ないです。自分に集中して相手を考えない方が自分的に楽ですし、トイメンの選手のネームバリューが分からなかったら、自分より強いと思わずに当たりにいくことができます。
例えばマイケル・リトル選手がトイメンだとして、「バケモン」だと事前情報で言われたら、試合中当たりに行くときに「あ、強い人だ」って考えてしまう可能性もあるじゃないですか。だから絶対に対戦相手のバックグラウンドについて深く知らせて欲しくない、と周りにもお願いしています。
――なるほど。クワーク選手のフィジカルの強さと、細やかなテクニックが融合している理由は、そういうメンタルから来ているんだということを理解しました。
これまでの試合で、クワーク選手自身が成長したと感じたゲームはありますか
大学2年生の時の大学選手権ですね。準々決勝で早稲田大学と対戦したのですが、前半は善戦したものの後半に引き離されてしまって。その試合で『強い相手に勝ちたい』という気持ちがより強くなったように思います。
大学4年次の引退試合となった相手は同期・平野叶翔選手が率いる京産大だった。「大学2年の大学選手権では日大が勝って、4年次は京産が勝った。だから叶翔にはイチイチ(1勝1敗)って言っています」 【三重ホンダヒート】
優しい選手になりたい
僕自身、プロ契約ではなくて社員選手として契約ができるチームを探していました。そしたら、ヒートがそういうオファーをしてくれて。今は日本に残りたいと思っているので、ヒートに決めました。
――ヒートに加入して半年。いかがですか
好きですよ。みんな優しくて、チームにもどんどん慣れてきて楽しいです。
ラグビー的な意味では、ヒートのラグビーに慣れないといけないですし、フィットネスやスキルも上げないと厳しいですね。試合スピードやテンポが大学の時とは全然違うので、慣れなければならないと感じています。
――ファンの人に「ここを見てほしい!」というプレーをぜひ教えてください
得意なタックルは伸ばしていきたいポイントです。ジャッカルも自分の強みなので、変わらず気合いでチャレンジしていきたいと思います。ジャッカルで一番重要なのは、ジャッカルに行くぞ!という気合いです。
――スキルも必要だけど、まずは自分が臨む気持ちが1番大事、と。かっこいいですね。クワーク選手自身は、ヒートの中でどういう存在になっていきたいでしょうか
優しい選手になりたいです。そして試合では出し切る人で在りたいと思います。
試合中は気合いが入っているけど、試合が終わった後はリラックスして笑顔になりたいですね。とは言っても、あんまり笑顔が得意ではないんですけど(笑)頑張って笑顔になりたいと思います。
――ラグビー選手としては、どういう成長曲線を思い描いていますか
まずはヒートでデビューすること、そして次はレギュラーになること。正直、その後のことはまだ考えていないですね。ヒートでのファーストキャップに集中して、頑張りたいと思っています。
――まずはファーストキャップを楽しみにしています!では最後に、ファンの皆様へメッセージをお願いします
試合を観に来て頂きたいです。そして僕だけでなく、ヒート全員を応援して頂けると嬉しいです。僕もみんなも、毎試合出し切ってプレーします!
仲良し同期バックス3人衆 【三重ホンダヒート】
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