昨年に続いて中京開催となるシルクロードSを展望する
【2021/6/13 札幌11R 函館スプリントステークス(G3) 1着 14番 ビアンフェ】
人気別成績
■表1 【人気別成績】
では昨年はどうだったかといえば、4番人気のシヴァージが1着、3番人気のライトオンキューが2着、2番人気のラウダシオンが3着。一方、1番人気のモズスーパーフレアは17着に敗れている。3着に人気薄が飛び込むことはなかったものの、1番人気以外の上位人気が強い傾向は中京開催の昨年も引き継がれる結果となった。
牡牝別・年齢別成績
■表2 【牡牝別・年齢別成績】
年齢別では7歳以上が苦戦しているものの、4〜6歳なら大差ない好走率を記録。単勝回収率も同程度だが、複勝回収率では差がついており、5歳の104%や6歳の189%は目を引く。昨年は1、2着に6歳、3着に4歳が入った。5、6歳の穴馬が3着に入ることはなかったが、年齢傾向としては京都開催と概ね同様と言っていいのではないか。
ハンデ別成績
■表3 【ハンデ別成績】
一方、牝馬の好走は53キロ〜55.5キロに限られる。そのなかにあって54キロの好走例がまったくないのは無視できないが、牝馬のハンデはこの範囲が基本と考えたい。このゾーンよりハンデが重くても、軽くても、京都開催の12〜20年で好走した牝馬はいなかった。
牡馬が1〜3着を占めた中京開催の昨年はどうだったかというと、順に56キロ、57.5キロ、57キロのハンデを背負っていた。56.5キロ以上の牡馬がしっかり2頭馬券になったのは京都開催と同じだが、56キロ(以下)の牡馬が勝ったのは異なる結果と言える。
前走クラス別・レース別成績
■表4 【前走クラス別・レース別成績】
前走G1の好走馬3頭はすべて牡馬で、いずれもハンデ57キロ以上という共通項がある。なおかつ前走のG1で9番人気以内なら【2.1.0.1】。このデータに含まれない昨年も、2着のライトオンキュー、3着のラウダシオンはハンデ57キロ以上で、なおかつ前走のG1では9番人気以内だった。
前走G2は【2.0.1.12】という成績だが、2勝はいずれもダンスディレクターがマーク。あとの好走は3着1回だけで、数値としては前走G1やG3と大差ないが、実際には見た目ほどの成績ではないかもしれない。昨年出走の2頭も4着以下に終わっている。
前走G3の好走馬は、5頭とも京阪杯を使っていた。その京阪杯で勝つか、負けてもタイム差が0秒5以内だった馬は【3.2.0.2】の好成績。昨年1着のシヴァージも、0秒2差5着の京阪杯以来の出走だった。
重賞以外では、淀短距離Sの好走例が圧倒的に多い。しかし、オープン特別時代は【1.5.3.17】だったのに、リステッド競走に指定されてからは【0.0.1.10】と直結度が大幅に下がっている。昨年も4頭出走して8着が最高と不振傾向が継続しているのは気になるところだ。
淀短距離S以外のオープン特別・リステッド競走は合わせて【1.0.2.38】と苦戦。昨年も【0.0.0.4】という結果に終わっている。数少ない好走馬3頭は前走で1、2番人気に推されており、これは最低条件とみなしたい。
なお、前走3勝クラスにも好走例はあるが、今年は登録がなかったため割愛する。
【結論】
前走G1は3頭で、いずれもスプリンターズSに出走。このうちジャンダルムとビアンフェはハンデ57キロ以上の牡馬(セン馬)で、前走9番人気以内という好走条件にも合致する。ただし、ジャンダルムは今年で7歳と好走率が下がる年齢に差し掛かってきた。年齢的には5歳のビアンフェのほうが有力と言える。
もう1頭は牝馬のメイケイエール。スプリンターズSでは最先着(4着)を果たし、人気も9番人気以内だった。ハンデ55キロも牝馬の好走ゾーンに合致する。前走G1組は牝馬の好走例がなく、中京開催の昨年も3着に入れなかったが、まったくのノーチャンスではないだろう。
前走G2はカレンモエが該当。この馬も牝馬で、ハンデは好走ゾーンの55キロとなった。父のロードカナロアは12年の勝ち馬で、母のカレンチャンともども中京芝1200mでG1を勝っている。これまで重賞4戦で2着3回と惜敗が続いているが、両親譲りの適性をここで爆発させたいところだ。
前走G3は京阪杯組のみが好走。京都開催で3勝を挙げ、中京開催の昨年も勝った好相性の前走だ。ただし、今年出走の2頭は京阪杯で0秒9差の敗戦を喫しており、好走条件を満たせなかった。
前走オープン特別・リステッド競走では淀短距離S組が最多好走も、リステッドに指定された19年以降は苦戦。今年登録の5頭も、好走がない、あるいは好走率が非常に低い年齢やハンデに該当している。
淀短距離S以外のオープン・リステッド競走組は前走1、2番人気が条件。ラピスラズリS1番人気1着の5歳牝馬エーポスは、ハンデ55キロで有望な存在となりそうだ。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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