ロッテ エチェバリア。異国で様々な事にチャレンジし経験し楽しんだ一年。チームのムードメーカーに

千葉ロッテマリーンズ
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【千葉ロッテマリーンズ アデイニー・エチェバリア内野手】

 アデイニー・エチェバリア内野手が11月16日、成田空港発の便で離日した。来日1年目となった今季は79試合に出場して打率・203、4本塁打、24打点。なによりも守備でのスーパープレーで何度となくチームを救った。守備範囲の広さと肩の強さ。どんな体勢からでも彼なら不可能はなかった。一塁へスローイングするとアウトを重ねていった。いつしか誰もがエチェバリアのところにボールが飛んでいくのを楽しみにするようになっていた。

 「ファンの皆様、本当にありがとうございました。皆様の応援が自分の力になりました。そして監督、コーチ、チームメート、チームスタッフの皆様にとても感謝をしています。皆様がつねに気にかけてくれたおかげで、この一年間、とても素晴らしい日々を過ごすことが出来、最後までプレーすることが出来ました。来年もまた千葉ロッテマリーンズでプレーできることを願っています」。

 離日に際して、エチェバリアはそのようなコメントを寄せた。日本が好きだ。なによりも千葉が大好きだ。そして本拠地ZOZOマリンスタジアムは「最高のスタジアムだ」と絶賛する。

 メジャー通算922試合に出場。マイアミ・マーリンズ在籍時にはチームメートだったイチローからも守備を賞賛されていた。そしてもう一つ特筆すべきは美人フィアンセの存在だった。アリソン・ボウルズさんは旅行ブロガーとしても有名な人気のスーパーモデルとしてアメリカで活躍している。

 「よくアメリカでもチームメートから『可愛い彼女だね』とか『オマエはいつも可愛い彼女を連れて歩いているなあ』とか言われていたよ!」とエチェバリアはよく自慢話をし、馴れ初めを教えてくれた。

 知り合ったのはSNSを通じて。マイアミ・マーリンズ時代に連絡を取り合っていたが彼女が住んでいたのがアメリカ中西部のセントルイス。フロリダ半島南東に位置するマイアミとは遠く離れておりSNSでは頻繁に連絡を取り合っていたもののなかなか直接、会う機会には恵まれなかった。

 「なかなか会えなかったんだ。でも、セントルイスを本拠地にするカージナルスとの遠征の際に会う約束をしていた。そこから先に起こったことは運命としかいえないよ」とエチェバリア。

 遠征先のセントルイスでのカージナルス戦でついに待ちに待った彼女と会える約束を取り付けた。ウキウキしながらその日が来るのを指折り数えながら待つ日々。しかし遠征を目前に控えたある日、エチェバリアはタンパベイ・レイズへのトレードを言い渡されることとなる。頭に過ったのは新しいチームに移籍することと、やっと会えるはずの女性と会えなくなったこと。

「もう縁はないと思ったよ。運命のいたずらを恨んだよ。でもそこから奇跡が起きたんだ」(エチェバリア)

 呆然としていたある日、偶然にも彼女がタンパに旅行に来る予定があると聞かされた。当時の彼女は旅行ブロガーとして活躍する現在とは違い、あまり遠出をしないタイプでそのようなことが起こりうるとは思っていなかっただけに、驚き、この運命に感謝をした。ついにドラマチックの出会いを実現した二人は食事を共にし、そこからイッキに交際へと発展していく。

 「彼女は旅行が好きだから色々なところに行ったよ。オレは長時間の飛行機での移動は嫌いだったけどねえ(笑)」

 フランス(パリ)、イタリア(ローマ)、スペイン(バレンシア)、オランダ(アムステルダム)など。まだ新型コロナウィルスが蔓延する前の事。オフを利用して様々な国を訪れた。訪問先ではエチェバリアが大好きなロードレースも観戦することが出来た。

 「MotoGPが大好きだ。時速300キロ以上でバイクが走るところを生で見れて興奮したよ。エキサイティングな体験だった。飛行機に長時間に乗って来た甲斐があったと思ったね」と当時の事をエチェバリアは目を輝かせながら振り返る。そして彼女は次第に野球の応援にも駆けつけてくれるようになった。

 「最初は野球をあまり知らなかったけど、少しずつ勉強してわかるようになってくれた」と話す。遠距離恋愛ながら交際開始から4年以上の月日が経過している。

 遠い日本からオファーが来た時はもちろん相談をした。「新しいことに挑戦することをとても喜んでくれた。すごくいい話ねと。私も日本には行ったことがないから今年は行けないと思うけどいつか行ってみたいと彼女は言ってくれたよ」とエチェバリア。彼女が異国の地でプレーをすることを後押ししてくれた。そして「異国の地では新しい発見、経験ばかりのはず。それらすべてを楽しんで」とアドバイスされた。

 その言葉通り、エチェバリアは色々な事に興味を持ち、取り組み、異国の地でチームに溶け込んだ。コーチなどに積極的に助言を求めた。時にはチームメートに質問をした。そして逆に若手選手を励まし、後押しした。ベンチの盛り上げ役も買って出た。エチェバリアが考案した試合前の儀式は気づけばマリーンズ定番の士気高揚のルーティンとなっていた。

 マリーンズの2021年シーズンは2位で幕を閉じた。最後の最後までバファローズと優勝争いを繰り広げ、残り3試合で夢ついえた。誰もが悔しむ中でエチェバリアも天を仰ぎ、仲間と共に頂点に上り詰めることが出来なかった悔しさをかみしめていた。

 異国の地で新しい事にチャレンジし様々な事を経験した一年だった。いつも全力プレーを心掛けた。だから離日の日は充実した表情を見せていた。彼女との約束通りに全力で野球を楽しんだ毎日だった。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原 紀章
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