最後までしぶとく諦めず、谷口がシニア2勝目を飾る

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 第21回スターツシニアゴルフトーナメント 最終日

 通算12アンダー首位タイの谷口徹と2週連続優勝を目指すタワン・ウィラチャン、その二人を1打差3位で追う宮瀬博文の最終組。

 1番パー4ホールでウィラチャンがバーディースタートを切り、単独首位に立った。谷口は3番パー3ホールでバーディーを奪い返して再び首位に並ぶ。宮瀬が6番パー4ホールでバーディパットを決めるが、それでも首位とは2打差に広がっていた。
 
 9番パー4ホール、サンデーバックナインの10番パー4ホールで首位の二人がともにバーディー奪取し、スコアを通算15アンダーに伸ばす。試合展開は一気に谷口とウィラチャンの一騎打ちと化した。さらにウィラチャンは11、12番ホールでもバーディーパットをねじ込んで谷口に2打差を着ける。

 「2打差以上広げられたら不味いと思いました」

 谷口の「最後の最後まで決して諦めない」気持ちが目覚めた。

 13番パー4ホールで6メートルのバーディーパットをねじ込むと、14番パー5ホールでもバーディーを奪って再度ウィラチャンに追いつく。一打に集中したプレーをしていたこともあってか、気が付けば前の組の姿が見えなくなっていた。間隔を詰めるようにプレーを早めるよう競技委員から促され、最終組の3人はショットを終えては走ることを繰り返したのだった。

 そうして迎えた17番パー3ホール。ウィラチャンはティーショットをグリーン左奥のバンカーに打ち込む。谷口はグリーンキャッチしたものの、バーディーパットの距離は8メートルもあった。ウィラチャンが寄らず入らずのボギーを叩く。一方の谷口はしぶとさを発揮し、ロングパットをカップに放り込み、右手の拳を突き上げてこの日初めてのガッツポーズを決めたのだった。

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 大会2日間36ホール、出場選手72名中、唯一ボギーフリー。3日目の16番ホールまでの計52ホール連続でボギー以上を打たなかったウィラチャンにとっては、痛恨の17番ホールとなった。

 「毎ホール毎ホール走ってはショットのプレーが続き、終盤はパワーが切れてしまいました。勝てなかった理由はただ一つ。谷口さんが上手かったからです。次の試合でまた頑張るだけです。良い試合ができて楽しかった」とウイラチャンは笑顔で敗者の弁を語ったのだった。
 
 相手のミスを逃さない谷口の勝負強さが際立った。

 「今週は100点(のゴルフ)とは思いませんが、良いショットの手応えはあったし、絶対外せないパットを入れ返せるとかが出来ました。理屈とかは関係なしに入れないといけないパットは入れないといけないんですよね。良いショットを打つのも大事ですけど、それでパットを外したらダメだと思う。いろんな経験をして来て、優勝ができている。だから、どんな状況になっても決して諦めはしません、最後の最後まで…」
 
 最終日に上がり3ホールで目前のライバルを突き放す形でシニア2勝目を手にした谷口は優勝インタビューでそう語った。

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 「1ストローク差まで縮めたならチャンスはある。プレーオフに持ち込めたなら勝つことだってりますからね。ウィラチャンは凄く上手い。その分、負けたくないという思いもありました。(2019年)日本シニアオープン最終日も最終組で回って彼のゴルフもよくわかっていたし、そう簡単に勝てるとは思っていませんでした。現に今日もミスがほとんど有りませんでしたよね。17番ホールでボギーを叩きましたけど。それまでは全然ミスはなかった」とも付け加えたのだった。

 最終18番ホールでのウイニングパットとなるパーパットを沈め、通算18アンダーで谷口は一騎打ちに終止符を打った。帯同プロキャディーを務める高田侑佑が祝福のハイタッチをしようと右手のひらをひろげて差し出すと、谷口はVサインを作って返した。シニア2勝目を意味するのか。

 「谷口さんらしいですよ。ジャンケンのチョキだと思います。僕の手のひら広げたパーに対して、勝つチョキだす(笑)」

 こんな所にも、谷口の負けず嫌いが出ていたとは。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)

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