Day3【ドーハ世界選手権】デイリーハイライト&選手コメント

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【フォート・キシモト】

岡田6位、藤井7位! 
女子20km競歩で、史上初のダブル入賞!

大会3日目の9月29日、日本選手の出場は、ハリーファスタジアムで行われる男子200mの予選と、海岸沿いのコーニッシュという地域に設けられた周回コースで実施される女子20kmW決勝の2種目のみ。女子20kmWでは、出場2選手がとも入賞する活況となりました。

20kmWも、マラソンや50kmWを同様、海岸沿いに弧を描くように位置する通りに周回コースが設定。1周2kmで設定されたほかの種目と異なり、20kmの場合は、1周1kmの折り返しコースを20周して競われます。

当初の予定では、23時30分にスタートするタイムテーブルが組まれていましたが、大会組織委員会は、同日のドーハの気象状況を鑑みて、スタート時刻を30分遅らせることを決定。23時59分、気温31℃、湿度71%のなか、スタートしました。

最初の1kmは大集団となって先頭が5分02秒で通過。この種目の日本記録保持者である岡田久美子選手(ビックカメラ)とダイヤモンドアスリートの藤井菜々子選手(エディオン)も集団のなかに位置しながら、序盤はそれぞれで位置取りしてレースを進めていましたが、4km過ぎからは近い場所に位置して、一緒にレースを進めていくような展開となりました。5kmは、岡田選手が24分02秒(18位)、藤井選手は24分03秒(22位)で通過。先頭は47分51秒で通過した10kmまでに9人ほどのグループに絞られ、岡田選手と藤井選手は、これを追う9人の第2集団につける形となりました。

12kmで岡田選手が8位、藤井選手が9位に上がり、さらに13kmでは7・8位へと浮上します。そのあたりから2人はグループとなって入賞が見える位置で一緒にレースを展開。15km以降は、藤井選手が前に出て、4分40秒を切るペースで引っ張り、岡田選手がこれにぴたりとつく隊列となりました。18kmで上位にいた中国選手が失格となったことで、藤井選手が6位、岡田選手は7位へと順位を上げます。19km前で岡田選手が藤井選手を抜いて前に出ると、少しずつ藤井選手との差を広げ、1時間34分36秒で岡田選手が先着(6位)、14秒差の7位で、藤井選手が1時間34分50秒でフィニッシュ。岡田選手の6位は、2009年ベルリン大会で渕瀬真寿美選手(当時、大塚製薬)が達成した過去最高順位に並ぶもの。また、藤井選手も7位に入賞したことで、日本女子競歩史上初のダブル入賞を達成する結果となりました。

ハリーファスタジアムで行われた男子200m予選は、7組上位3着+3の進出条件で行われ、2組目に小池祐貴選手(住友電工)、5組目に山下潤選手(筑波大学)、6組目に白石黄良々選手(セレスポ)が、それぞれ出場しました。小池選手は20秒46(+0.5)で4着フィニッシュ。5組目の山下選手は20秒62(+1.0)で5着、6組目の白石選手も20秒62(+0.9)で5着にとどまり、残念ながら3選手とも、準決勝進出を逃しました。

【フォート・キシモト】

【決勝結果&コメント】
◎岡田 久美子(ビックカメラ)
女子20kmW 決勝 6位 1時間34分36秒 =入賞

6位に入賞できて嬉しい。なんかまだ(入賞の)実感がわいていないのだが、来年(の東京オリンピック)が一番の勝負所でもあるので、「今日だけ」嬉しい気持ちを持って、また気持ちを切り替えて頑張るようにしようと思う。(6月に)日本記録を出して「(世界選手権では)入賞しなければいけないな」という気持ちに陥ったこともあり、ここまでの3カ月間は、ちょっと焦った部分と落ち着いてやれた部分の両方があった。結果として入賞できたので、ひとまずは合格かなと思う。

レース中は、むちゃくちゃ暑かった。(深部体温を上げすぎないために)給水のたびに帽子に氷を入れること…毎回だったのでけっこう忙しかったが…、身体にかけるための水と(飲用の)給水の両方をくっつけて取るようにしたこと、4kmおきに大塚製薬さんの「アイススラリー」をいただいたこと、あとはひたすら(身体に)水をかけることで暑さ対策をした。

今回は、全然タイムのことは頭になくて、自分のペースの維持と、後半いつ上げるかということしか考えていなかった。13kmくらいで1回仕掛けたいと思っていて、そこもタイムというよりはリズムでペースアップした。考えていた通りにちょっとずつ上げていけたことがよかったと思う。また、レース中は、途中から藤井(菜々子)さんと2人で一緒に歩く形となった。スタート前の段階で一緒に行くといった話をしていたわけではなかったが、練習ではいつも引っ張り合いをしていたこともあり、自然と(藤井選手が)くっついてきた。逆に、私もきついときは(藤井選手に)くっつかせてもらった。

「負けられない」というのがあったので、(引っ張ってもらったのに)申し訳ないなとは思いつつ、ラスト1周で、そこまで前で引っ張っていた藤井さんを抜いて前に出て、突き放す形となった。(記者の)皆さんには“すみませんでした(笑)”というような感じで書いてもらえたら…(笑)と思う。

私は2015年から代表に選んでいただいているが、ここまで、なかなか思うように結果が出すことができなかった。特に、2017年の世界陸上で、かなり先頭と離れて18位という結果になったことが本当に悔しくて、でも、そのあと空回りして、体調不良とかケガとかが続き、つらい1年を過ごした。しかし、2018年に思いきって、さまざまな新しい取り組みに踏み込んだことで道が拓けた。それから徐々に良くなってきて、2019年の日本選手権(神戸)くらいで身体が変わってからは、全部が大きく変わってきた気がする。誰かに言われてではなく、自分で選んだ道だったので、いろいろ大変な面もあったけれど、ここまでやってきて本当によかったなと思う。また、(成果が出てきた背景には)藤井さんの急成長(で下からの突き上げ)があったこと大きいが、自分のモチベーションを保てたことも影響している。そして、また、(やってきた取り組みのなかで)フォームの改善や身体のケアを一所懸命やってくださったスタッフたちのおかげといえる。心から感謝したい

東京オリンピックに向けて、「目標は表彰台」というところはぶれていない。そのためには、もう1〜2段階パワーアップしないと戦えないという印象がある。今回は、暑さのおかげでちょっと順位も上がったパターン。それもかなりプラス(の側面)ではあるのだが、まずはもっと力をつけていきたいと思う。

【フォート・キシモト】

◎藤井 菜々子(エディオン)
女子20kmW 決勝 7位 1時間34分50秒 =入賞

初めての世界選手権だったが、こうやって(岡田久美子選手と)2人で入賞することができた。今は素直に嬉しい気持ちでいっぱいである。

レースに向けては、(男子50kmで優勝した鈴木)雄介さんとかにアドバイスをいただいて、前半は抑えて(力を)温存して、最後に徐々に上げていくというプランで行った。それは岡田さんも一緒に聞いていた。前半でペースを上げても、どうせ落ちてくることはわかっていたので、冷静にレース運びをすることを意識した。

(岡田選手と)一緒に行くことになったのは、計画していたわけではない。いつも一緒に練習をやっていることによって、自然な流れで交互に引っ張ることなどができたのかなと思う。

終盤で後ろにつかれたときは、最後に行かれることはわかっていた。そこは今の自分と岡田さんとの力の差だし、岡田さんのほうがまだまだ一枚も二枚も上。そういう悔しさをバネに、来年の東京(オリンピック)や、さらにその先にも見据えている部分がある。少しずつ成長できたらいいなと思っている。

U20など(年代別の)世界選手権には出場しているが、それと比べるとシニアの世界選手権代表というのは、責任感や緊張感は全然違っていた。しかし、今回は(初めてで)わけのわからない状態で出たことによって、逆にあまり緊張することもなく、挑戦者として臨むことができたように思う。暑さには強いという自信があったので、入賞、あわよくば上位を狙っていきたいとは思っていたが、夏から練っていたプラン通りのレースができた。今持っている力の最大限を出すことができたと思う。

東京オリンピックに向けては、後半のビルドアップのスピードをもっと高めること、あとは中国の選手たちみたいに最初からガンガン行けるような力をつけていくようにしたい。それができれば、先頭集団でメダル争いができるようになると感じた。

【フォート・キシモト】

【予選・準決勝結果&コメント】
◎小池 祐貴(住友電工)
男子200m 予選 2組4着 20秒46(+0.5)

ちゃんと走れば、着順で(予選を)通るだろうと考えて臨んでいたので、フィニッシュしたときに、「うわ、内(側)に3人いたか」と思った。前半は、「最後、このペースならぎりぎり走りきれるだろうな」というスピードで入った。ある程度、思った通りのスピードで入ることができたと思う。後半(の伸びやかさに欠けたの)は、単純にエネルギー不足かなという感じがしている。リズムとフォーム自体は悪くはなかったのだが、ラスト50mくらいから「あ、減速しているな」という感覚があった。

20秒46というタイムは(実際に走った感触と比べると)ちょっと遅い。20秒3台くらいでは行ったと思っていたが、(発表された)タイムを見て、「0.1(秒)くらい遅いか」と思った。やはりラストで減速したところが響いたのだと思う。でも、今、できることは精いっぱいやることができた。

(エネルギー不足とはどんな点で? の問いに)ここまでシーズンが長かったのは初めてということもあるし、動画などを見た感じで足りていないように思う。主観では不足していると感じていないのだが、客観的に動画を見ていると、「元気だな」というよりは「うまくまとめて走ろうとしているな」という印象を受けるので。ただ、本当にエネルギー不足なのか、それとも身体にガタが来ているのか、あるいはバランスが悪くなっているのかはわからないし、ここまで毎月毎月大きな試合に出場してきたことによる精神的な疲れも大きい気がしている。

ただまあ、調子の悪いときは全部が悪く思えてきて、全部がその原因のような気がしてしまうもの。そういった課題や何が良かった悪かったかは、シーズンが終わってから改めて見ていきたい。

4×100mRまでには、まだ4日ある。ひと晩寝て、起きれば、(リレーに向けて)切り替えられる。

【フォート・キシモト】

◎山下 潤(筑波大学)
男子200m 予選 5組5着 20秒62(+1.0)

走り自体は悪くないと思っていたが、(20秒62という)タイムにすべてが出ていると思う。前半はすごく上手に行けたと思うのだが、後半に課題があることをすごく感じるレースとなった。

大会に向けては、体調を崩すこともなく元気に迎えることができていた。体調面での問題は全くなかったと思う。また、レースに向けても、緊張すればするほどうまく走れるのはいつものことなので、ちゃんと緊張して、集中して臨めていたと思う。

自己ベストくらいのタイムを出せば、3着に入るくらいのタイムは出せた。実力を出せなかったことがすごく問題なのかなと思う。

後半については、体力的にも精神的にも、もっと余裕が必要かなと思った。いい雰囲気、心地いい感じで走れていたので、一番大きいのは体力的なところなのかなと思うし、(ほかにも)レースの組み立て方など、いろいろなところに課題があるのかもしれない。最初の感覚が、とても良かっただけに、そういった課題について、あとでレース(の映像)を見て、しっかり考えなければいけないと思う。

【フォート・キシモト】

◎白石 黄良々(セレスポ)
男子200m 予選 6組5着 20秒62(+0.9)

(一緒に入る)メンバーがメンバーだったので、前半で後れをとってしまったら、後半で巻き返すのは厳しいと思い、前半から攻めた。僕のなかでは、そんなに(後半で)いつも以上に落ちた感触はなかったのだが、逆に言えば、海外の選手はそこからまたさらに一段階ギアがあるということ。そういうことを一緒に走って感じた。

単純に力不足。このままでは、全然通用しない。もっとスピードをつけて、今日くらいのスピードで、楽に速く走れるようになれば、まだまだ行けるんじゃないかと思う。

タイムは、もっといいタイムが出ると思っていたし、もっと出たと思っていた。正直なところ(20秒)6台もかかると思っていなかったので、本当に今、悔しいし、何もできなかったなという感じである。

今シーズンはずっと「自分のレース」ということを心がけてやってきたが、ここまで差をつけられるレースというのは国内ではあまり経験することがないこともあり、走りのなかでちょっと焦りなども出てしまった。

(4×100mRに向けては)前半の走りは悪くなかったと思っているので、あれにさらに直線という自分の得意の部分を生かせれば、もっと行けると信じている。走ることになったら、日本の金メダル獲得に貢献できるよう全力を尽くしたい。
大会に関する情報は、世界選手権特設サイト( https://www.jaaf.or.jp/wch/doha2019/ )、日本陸連公式Twitterを、ご参照ください。

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文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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