MLB戦力ランキング2024春

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 アメリカ本国でMLBがいよいよ開幕した。そこで、今回はア・リーグ15球団の戦力を「打力」「機動力」「投手力」「守備力」「選手層」「経験値」の6つに分けて、100点満点で評価。さらに、7つ目の項目として「補強」の項目を設け、加点/減点方式で評価した。ア・リーグの1位は一体、どの球団だろうか?
(企画監修・解説:村田洋輔)

※上位と解説はスポーツナビアプリでご覧いただけます。また、チーム名の後ろにある(東)(中)(西)は地区名を表しています。

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解説

アストロズを破ってア・リーグを制覇。喜ぶレンジャーズの選手たち【Photo by Bob Levey/Getty Images】

 昨季のア・リーグはオリオールズが大躍進を遂げてリーグ最多の101勝を挙げるなど、「現在のMLBで最もレベルが高い」と言われる東地区から3チームがポストシーズン進出を果たした。しかし、その3チームはポストシーズンで1勝もできずに敗退。最終的に頂点に上り詰めたのは、シーズン最終日にアストロズに地区優勝をさらわれたものの、ワイルドカードからの快進撃を見せたレンジャーズだった。今季も中地区はレベルが高いとは言えず、東地区と西地区の上位陣がリーグ優勝の有力候補に挙げられている。

 東地区はレッドソックスを除く4チームに地区優勝のチャンスがあり、今季も大激戦となりそうだ。

 昨季101勝のオリオールズは、待望の絶対的エースとしてブリュワーズとのトレードで21年サイ・ヤング賞のコービン・バーンズを獲得。昨季リーグ3位の防御率2.83を記録したカイル・ブラディッシュが故障で出遅れるのは痛いが、先発ローテーションに軸ができた。

 野手陣は球界ナンバーワン有望株のジャクソン・ホリデイを筆頭に、プロスペクト(若手有望株)が充実。ブランドン・ハイド監督が「いい選手を開幕ロースターから外さなければならない」と頭を抱えるほど野手の層が厚く、伸びしろを残す若手も多いため、リーグ4位の807得点をマークした昨季以上の得点力も期待できる。

 懸念材料はトミー・ジョン手術で今季を全休する、守護神フェリックス・バティスタに代わるクローザー。新加入のクレイグ・キンブレルが期待に応えられないようだと、取りこぼす試合が多くなるかもしれない。

 昨季リーグ2位の99勝を挙げたレイズも侮れない存在だ。エース格のタイラー・グラスノーをトレードで放出し、スター候補生の正遊撃手ワンダー・フランコは未成年者との不適切行為疑惑によって戦列復帰の見通しが立たない状況が続いている。

 また、シェーン・マクラナハン、ドルー・ラスムセン、ジェフリー・スプリングスと、本来ならば先発ローテーションの軸となる3投手が故障により長期離脱中。これだけのマイナス要因を抱えていれば、普通のチームなら下位に低迷してもおかしくないのだが、レイズは必ず代役が現れる不思議なチームである。昨季も誤算が続出したなかでリーグ2位の860得点、リーグ3位の防御率3.86を記録。今季も選手層の厚さを生かしたチームの総合力を武器に、多くの白星を重ねていくことだろう。

奮起を求められる2年目の吉田正尚

オープン戦は打率.239、1本塁打、OPS.765と低調な吉田正尚【Photo by Bryan Bennett/Getty Images】

 この上位2チームを追うのがブルージェイズとヤンキースだ。ブルージェイズは昨季、規定投球回以上で2ケタ勝利&防御率3点台をマークした投手が4人いる先発陣が最大の強み。ブルペンも守護神ジョーダン・ロマノを中心に駒が揃っており、大崩れすることはないだろう。オープン戦好調の主砲ウラジーミル・ゲレロJr.らの活躍で昨季リーグ8位の746得点に終わった打線の得点力を向上させることができれば、間違いなく地区優勝争いに絡んでくるはずだ。

 フアン・ソトを獲得したヤンキースは、絶対的エースであるゲリット・コールの離脱が痛い。とはいえ、コールの離脱は長期化しない見込みであり、アーロン・ジャッジ、ジアンカルロ・スタントン、カルロス・ロドンら高額年俸の選手たちがしっかり機能すれば、激戦区を制することができるだけのポテンシャルを秘めている。

 2年連続最下位のレッドソックスは、課題の投手力アップを実現することができず、上位進出は難しそう。弱体投手陣を打線の頑張りでカバーするしかなく、2年目を迎える吉田正尚の奮起も求められる。

前田健太らを獲得したタイガース

 中地区は、昨季王者のツインズがペイロール(球団の総年俸)削減の影響もあって、やや戦力ダウン。それでも優秀なフロントが、巧みな補強で戦力の低下を最低限にとどめており、今季も地区優勝の筆頭候補と言える。投手陣はパブロ・ロペスとジョー・ライアンに次ぐ先発3番手以降の出来、打線は昨季不振に終わったバイロン・バクストンやカルロス・コレアの復調がカギを握る。

 昨季7年ぶりの地区2位に浮上したタイガースは、虎視眈々と10年ぶりのポストシーズン進出を狙っている。ミゲル・カブレラの引退で、ひとつの時代が終わった感があるものの、今オフはトレードでマーク・キャンハ、FAで前田健太、ジャック・フラーティ、ジョバンニ・ウルシェラらを獲得するなど、積極的な補強を展開。開幕投手を務めるタリク・スカバルを筆頭に、伸び盛りの若手も多く、予想外の大躍進を遂げる可能性を秘める。

 タイガース以上に積極的な補強を見せたのは、2年連続で最下位に沈んでいるロイヤルズだ。ハンター・レンフロー、セス・ルーゴ、マイケル・ワカ、ウィル・スミスらを次々に獲得し、FA市場に総額1億ドル以上の資金を投入。さらに、メジャー3年目を迎えるスター候補生の正遊撃手ボビー・ウィットJr.と、11年2億8877万7777ドルという球団史上最大の超大型契約を結んだ。こちらもビニー・パスクァンティーノ、マイケル・ガルシア、開幕投手のコール・ラガンズなど、楽しみな若手が多く、上手く歯車が噛み合えば、混戦が予想される中地区において、台風の目となるかもしれない。

 名将テリー・フランコーナが勇退したガーディアンズは目立った補強がなかったものの、もともとそれなりに地力のあるチーム。20年サイ・ヤング賞のシェーン・ビーバーを軸とする先発ローテーションは、ある程度計算が立つうえに、守護神エマニュエル・クレースを中心としたブルペンも駒が揃っている。地区優勝した22年のように、機動力を生かしながら得点力を向上させることができれば、2年ぶりの地区優勝を成し遂げても決して不思議ではない。若い選手が多いだけに、2年前まで現役だったスティーブン・ボート新監督は、選手たちの「兄貴分」としてチームに上手くフィットしそうだ。

 昨年8月末に就任したクリス・ゲッツGMのもとでチーム再建を進めるホワイトソックスは、戦力的にかなり厳しい。オフのあいだ、トレードの噂が絶えなかったディラン・シースの放出に踏み切ったため、メジャーでの先発経験が1度もないギャレット・クロシェを開幕投手に起用せざるを得ない状況である。2年連続のシーズン100敗を回避することができれば御の字だろう。

戦力ダウン著しいエンゼルス

3月24日の試合前、エンゼルスのトラウト(右)と談笑するドジャースの大谷翔平(左)【Photo by Harry How/Getty Images】

 西地区は地区4連覇を狙うアストロズと、昨季球団史上初のワールドシリーズ制覇を成し遂げたレンジャーズの「2強」に、マリナーズがいかに食らいついていくか。

 アストロズはホセ・アルテューベ、ヨルダン・アルバレス、カイル・タッカーらを中心とした強力打線が健在だが、ブルペンはジョシュ・ヘイダーが加わったものの、エクトル・ネリスらの移籍で信頼できる投手の頭数が減少。先発陣もジャスティン・バーランダーを筆頭に故障者が多く、投手陣にはやや不安を残す。

 7年連続で少なくともリーグ優勝決定シリーズまで駒を進めるなど、ポストシーズンでの経験値も圧倒的だが、名将ダスティ・ベイカーが勇退し、ベンチコーチのジョー・エスパーダが内部昇格。その手腕は未知数であり、チームの戦いにどんな影響を与えるか気になるところだ。

 昨季王者レンジャーズは、コリー・シーガー、ネート・ロウ、マックス・シャーザーと主力の故障者が目立ち、トミー・ジョン手術のリハビリ中のジェイコブ・デグロムとタイラー・マーレも開幕には間に合わない。それでもマーカス・セミエン、アドリス・ガルシア、新人王候補のエバン・カーターなど、依然として打線は強力で、オープン戦で打ちまくった有望株ワイアット・ラングフォードが開幕ロースター入りすることも決まった。打線に関しては、それほど大きな心配はいらないだろう。

 投手陣は先発にマイケル・ロレンゼン、ブルペンにカービー・イェイツとデービッド・ロバートソンを補強。シャーザー、デグロム、マーレの復帰まで持ちこたえることができれば、アストロズの4連覇を阻止する展開も見えてくる。今世紀初となるワールドシリーズ連覇への挑戦権を得るためにも、最低でもワイルドカード圏内は死守したい。

 3番手という位置付けのマリナーズは、球界屈指の投手力が最大の武器。ルイス・カスティーヨ、ローガン・ギルバート、ジョージ・カービーらが形成する先発ローテーションは、MLB公式サイトが選出する「今季の最強ローテーション」に選ばれた。マシュー・ブラッシュやグレゴリー・サントスなど、ブルペンに故障者が出ている点は気になるが、ライン・スタニクを緊急補強してダメージを最低限にとどめている。昨季リーグ1位の防御率3.74をマークした投手陣は今季も計算できる。

 「2強」の牙城を崩すためのポイントは、リーグ平均レベルの得点力をいかに向上させるかだ。粗っぽい打撃が目立ったユジニオ・スアレスやテオスカー・ヘルナンデスを放出し、彼らに代わる主軸打者としてホルヘ・ポランコやミッチ・ガーバーを獲得しているが、この補強の成否がチームの浮沈を左右することになりそうだ。

 大谷翔平を失ったエンゼルスは、投打とも大幅に戦力ダウン。ブルペンには多くの新戦力を加えたが、大谷の穴を埋めるような大型補強はなかった。10年ぶりのポストシーズン進出のためには、マイク・トラウトとアンソニー・レンドンの両主砲が故障なくプレーし、なおかつ実力を発揮すること。そしてエース不在の先発投手陣から、ブレイクする選手が2~3人出てくることが必要不可欠だろう。経験豊富なロン・ワシントン新監督とはいえ、厳しい戦いになることが予想される。

 昨季メジャー最多の112敗を喫したアスレチックスは「ラスベガスの新球場が完成するまでの期間、どこを本拠地とするか」が今オフ最大の話題だった。当然、大きな補強はなく、ザック・ゲロフ、ジョー・ボイル、メイソン・ミラーといった若手の成長を楽しむだけのシーズンになりそうだ。

 ポストシーズン争いは、東地区の上位4チームと西地区の上位3チームに中地区のツインズを含めた8チームが有力候補。ここに中地区で意外な躍進を遂げたチームが絡んでいく展開になれば面白い。

(企画構成:スリーライト)

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