MLB戦力ランキング・2023年夏

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 今シーズン中のトレード期限が終了し、プレーオフ進出、そしてワールドシリーズ制覇に向けて各球団の戦力が固まった。今回は、MLB全30球団の戦力を数値化。「打力」(30点満点)、「機動力」(10点満点)、「投手力」(30点満点)、「守備力」(10点満点)、「選手層」(10点満点)、「経験」(10点満点)の6項目に分けて評価した。さらに、トレード期限が迫るなかでまとまった移籍を「補強/放出」と7つ目の項目として設定し、加点/減点方式で評価。駆け込みトレードで「戦力」アップした球団は思惑通りの結果が得られるだろうか? 今回はナ・リーグ編をお届けする。(監修:村田洋輔)

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※チーム名の後ろにある(東)(中)(西)は地区名を記載しています

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解説

今夏のトレード・デッドラインで大きな動きを見せたメッツ。Wエース放出で千賀滉大にエースとしての期待がかかる【写真:Getty Images】

 日本時間8月2日午前7時、MLBは2023年シーズンのトレード・デッドラインを迎えた。

 大富豪のスティーブ・コーエン・オーナーのもと、史上初めて年俸総額が3億ドルを超え、豪華戦力で1986年以来37年ぶりのワールドシリーズ制覇を目指していたメッツがトレード・デッドラインで売り手に回ることを開幕前の時点で予想できた人はいなかっただろう。プレーオフ進出に向けて厳しい状況が続くなか、メッツはマックス・シャーザーとジャスティン・バーランダーのWエースを放出することを決断。ただし、多くの年俸負担をする代わりに上質なプロスペクトを手に入れており、ここでもコーエン・オーナーの財力が発揮された形となった。メッツ入団の決め手の1つにシャーザーとバーランダーの存在を挙げていた千賀滉大にとっては残念な結果となってしまったが、千賀は今後、先発の軸としてチームを引っ張っていく立場になる。なお、シャーザーは米メディアの取材に対し、ビリー・エプラーGMが「2025年または2026年に再び勝負をかける」と発言していたことを明かしており、来季はメッツにとってチームを立て直すための1年となるかもしれない。

 メッツと同地区のチームに目を向けると、両リーグ最高勝率を誇るブレーブスはピアース・ジョンソン、ブラッド・ハンド、ニッキー・ロペスと地味ながらも堅実な補強を展開。MVP最有力候補のロナルド・アクーニャJr.を筆頭に、投打とも充実の戦力を擁しており、必要最小限の補強にとどめた印象だ。マーリンズは課題のパワー不足を解消するためにジョシュ・ベルとジェイク・バーガーを獲得し、ブルペンには経験豊富なデービッド・ロバートソンが加入。戦力アップのために2021年ドラフト全体16位で指名したカリル・ワトソンや有望株ジェイク・エダーを放出するなど、今季にかける思いの強さがうかがえる動きを見せた。昨季のリーグ王者フィリーズはタイガースからマイケル・ロレンゼンを獲得。ブレーブス同様に補強ポイントを押さえた動きとなった。

 中地区は2位ブリュワーズがマーク・キャナ、カルロス・サンタナ、アンドリュー・チェイフィンを獲得するなど積極的に動いたのに対し、「コンテンド元年」とも言える首位レッズはアスレチックスからサム・モールを獲得したのが目立つ程度で、ほとんど動かなかった。この対照的な動きが今後の地区優勝争いにどう影響するか注目したい。また、トレード・デッドライン直前の快進撃で買い手に回ったカブスは出戻りのジャイマー・キャンデラリオを獲得して打線強化に成功。1年契約で加入したコディ・ベリンジャーが期待以上の活躍を見せているだけに、あとは鈴木誠也の本領発揮が待たれるところだ。ナ・リーグ史上最長タイの15年連続レギュラーシーズン勝ち越しを継続中のカージナルスは売り手に回り、複数の主力を放出。今後は来季を見据えた戦いにシフトしていくことになる。チームの中心選手の1人としてラーズ・ヌートバーにかかる期待は大きい。

 西地区では首位ドジャースがランス・リン、ジョー・ケリー、アメッド・ロサリオ、キケ・ヘルナンデスを獲得して選手層に厚みを加え、3位ダイヤモンドバックスはクローザー不在を解決するためにマリナーズからポール・シーウォルドの獲得に成功。そして、4位に低迷しているパドレスも買い手に回り、リッチ・ヒル、崔志萬(チェ・ジマン)、スコット・バーロー、ギャレット・クーパーらを獲得した。メッツとは対照的に、今季のプレーオフ進出を諦めていないパドレスだが、戦力自体はリーグ屈指であり、巻き返せる可能性は十分にある。逆転でのワイルドカード獲得のためには、もちろんダルビッシュ有の活躍も必要だ。

(情報はすべて日本時間8月2日の全試合終了時点)

(文:村田洋輔、企画構成:スリーライト)

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