ファンが予想! 2023年パ・リーグ新人王は誰だ!?
オリックスの宇田川優希は昨季19試合に登板して、防御率0.81。侍ジャパン唯一の新人王有資格者は、WBCでも期待に違わぬ活躍を見せている【写真は共同】
1位(得票率29.2%)に選ばれたのは、侍ジャパン入りも果たしたオリックスの宇田川優希(投手/3年目)。20年のドラフトで育成3位指名を受け、22年7月28日に支配下登録されると、ここから150キロを超えるストレートと鋭く落ちるフォークを武器に、勝ちパターンのひとりとしてチーム26年ぶりの日本一に大きく貢献した。
日本シリーズやWBCでインパクトの強いピッチングを見せてきたため、「新人王の資格があるの?」という声も出てきそうだが、昨年の投球イニングは22回1/3。「プロ入り(支配下)5年以内」「前年までの一軍出場が30イニング以内」という規定内のため、新人王の有資格者となる。シーズン通して、昨年同様のピッチングを見せることができれば、最有力候補と言えるだろう。
日本ハムの矢澤宏太は今季注目の「二刀流」ルーキー。オープン戦でも好成績を残している【写真は共同】
2位(20.5%)に入ったのは、大谷翔平に続く「二刀流」として注目を集める、日本ハムの矢澤宏太(投手/1年目)。日体大入学時に、「ピッチャーでも野手でもドラフト1位の力を付ける」と掲げ、その言葉どおりに「ドラ1」の評価を勝ち取った。即戦力度が高いのは野手のほうで、オープン戦でも打率.348、1本塁打、OPS(出塁率+長打率).940と優れた対応力を見せている。脚力、肩を兼ね備え、走攻守どれを取ってもハイレベルな選手だ。
3月14日に行われたエスコンフィールド北海道での初試合では、代打から外野に入ると、8回にはマウンドに上がり、投打両面で存在感を見せた。疲労度の高い二刀流において、1年間パフォーマンスを維持できるかが、新人王のカギを握りそうだ。
得票率0.3%差で惜しくも3位(20.2%)になったのが、昨秋、白鷗大からドラフト1位で入団した、オリックスの曽谷龍平(投手/1年目)。高校時代は明桜高校でプレーし、チームメイトにはロッテの山口航輝がいた。大学入学後、ストレートの球速(最速152キロ)、変化球のキレともに格段に上がり、大学日本代表(ハーレムベースボールウィーク)にも選出された。先発陣が充実しているオリックスで、どれだけ存在感を示すことができるか。近い将来、左のエースとして先発陣を引っ張るだけのポテンシャルを備えている。
4位は11.9%で2人が並んだ。
まずは、ソフトバンクに入団したイヒネ・イツア(内野手/1年目)。両親はともにナイジェリア人で、日本で生まれ育った。誉高校入学後、潜在能力が徐々に開花し、ソフトバンクが将来性を買って1位で指名した。体のバネ、脚力など身体能力の高さは、昨年のドラフト組でトップクラス。野手の層が厚いソフトバンクがどのようなプランで育成していくか、注目していきたいところだ。
ソフトバンクのイヒネ・イツア。ポテンシャルの高さを評価され、ドラフト1位指名を勝ち取った。今季はファームで実戦経験を積み重ねることになりそうだ【写真は共同】
もうひとりの4位は、浦和学院、早稲田大と、名門で力を磨いてきた蛭間拓哉(外野手/1年目)。外野手のレギュラーがなかなか決まらない西武が、昨秋のドラフトで1位指名した。東京六大学で通算13本塁打を放ったパンチ力と、脚力の高さが武器となる。チーム事情もあり、オープン戦の序盤から起用機会が増えているが、ここまで22打数3安打、打率.136とプロの壁にぶつかっている。プロのスピードやキレを体感したうえで、どのような対策を練っていくか。新人王を狙うには、スタメン出場が必須となる。
ここまでが得票率10%を超えた選手で、2位の矢澤から4位タイの蛭間まで、昨秋のドラフト1位がずらっと並んだ結果になった。
6位(9.5%)は帝京大から日本製鉄鹿島を経て、ドラフト2位でソフトバンク入りを果たした大津亮介(投手/1年目)。速球派が多いチームにおいて、多彩な変化球を武器に打ち取る技巧派で、ロングリリーフでの期待がかかる。首脳陣からすると、使い勝手のいい即戦力タイプであり、登板機会が増えることも予想される。
楽天の荘司康誠はオープン戦で2試合に登板し、6回2/3を投げて防御率6.75。先発候補に名を挙げた石井一久監督の期待に応えることはできるか【写真は共同】
7位(7.4%)は、楽天のドラフト1位・荘司康誠(投手/1年目)。立教大で急成長を遂げた188センチの長身右腕で、150キロ前後のストレートを軸に攻めるスタイルだ。楽天の先発ローテは、田中将大や岸孝之ら実績のあるベテランが多い。石井一久監督は、先発候補のひとりに荘司の名を挙げるなど、期待を寄せている。シーズン通してローテーションを守ることができれば、おのずと新人王も近付いてくるはずだ。
8位(6.3%)は、荘司と同じく大卒ドラ1組のロッテ・菊地吏玖(投手/1年目)。専修大では先発もリリーフも万能にこなし、最速152キロのストレートを武器に大学日本代表にも選出された。プロ入り後は春季教育リーグで2試合に登板し、4イニングを無安打4三振と好投中。一軍に合流し、オープン戦で本拠地デビューを果たす予定だ。先発で戦っていくには、変化球の精度がカギを握っていきそうだ。
ここまでの顔ぶれを見ると、2位の矢澤、3位の曽谷、4位の蛭間、6位の荘司、そして菊地と、大学日本代表の経験者がじつに5人。大卒=即戦力の期待もあってか、多くの票が集まっている。
9位(6.2%)は、好投手を続々輩出している岩手出身の齋藤響介(投手/1年目)。盛岡中央高校では甲子園出場はならなかったが、最速152キロのストレートを主体に攻め続け、3年夏にはチームを準優勝にまで導いた。昨秋のドラフトでは、素材の高さを評価したオリックスが3位で指名した。若い本格派が続々と育っている球団だけに、手本となる先輩ピッチャーは多いはずだ。
オリックスの山下舜平大はオープン戦3試合に登板。防御率1.93、奪三振率は驚異の15.43をマーク。今季ブレイクなるか【写真は共同】
10位(5.4%)は、トップ10の中で最年長28歳の加藤豪将(内野手/1年目)。両親ともに日本人で、カリフォルニア州で生まれた。アメリカのリトルリーグで野球を始め、高校卒業時にはMLBドラフトの全体66位でヤンキースから指名。その後、複数球団を渡り、昨年にはブルージェイズでMLBデビューを果たしている(8試合に出場して打率.143)。
日本ハムはユーティリティ度の高い即戦力として期待を込めているが、1月の自主トレで右示指末節骨の骨折、3月に入ってからは右腹斜筋肉離れが判明し、開幕一軍は絶望的に。アメリカでさまざま経験をした選手だけに、ここからの巻き返しに期待がかかる。
10位以降ではオープン戦で大器の片鱗を見せている、オリックスの山下舜平大(投手/3年目)が12位(4.6%)にランクイン。20年ドラフト1位で入団した、190センチ98キロの超大型右腕だ。2年間ファームでみっちりと鍛え、今季先発ローテ入りを狙う。
3月10日の巨人戦では、4回途中まで1安打無失点5奪三振の好投を見せた。ストレートはアベレージで150キロを超え、最速は158キロ。1年間投げ抜く体力面は未知数なところがあるが、先輩・宇田川と新人王争いを繰り広げても何ら不思議ではない。
(文:大利実、企画構成:スリーライト)