「最強2番打者」の投票で絶大な人気を誇った坂本勇人。坂本が2番に座る巨人打線は、相手投手からすれば脅威そのものだ【写真は共同】
OB編を含め、最高得票率となる37.9%を集めて現役編1位に輝いたのが、坂本勇人(巨人)だ。2016年にセ・リーグの遊撃手として史上初の首位打者(.344)を獲得、2020年には右打者最年少の31歳10カ月で通算2000安打を達成した、球界を代表するアベレージヒッターである。
2番に座った2019年、打率.312、本塁打40、打点94(ちなみに犠打は3)というクリーンアップ並みの成績を残したことが、ファンの脳裏に今なお強烈なのは間違いなく、ひと言で表現するなら「2番・坂本の破壊力はすごい」(以下、「カッコ」内は読者コメント)という趣旨のコメントが相次いだ。
また、「中日ファンだけど坂本にはいつもやられてて」「坂本選手には投票する全員が入れるんじゃないでしょうか……あれほどの技術をもって、本当の意味で何でもできる選手が2番にいるのは、他球団ファンからすると脅威でしかないです」と他球団ファンからの涙ながらの(?)コメントが多かったのも特徴だ。
「菊池臨機応変」と6字熟語のようなコメントにも推され、菊池涼介(広島)が得票率28.4%の2位。小技と足の『旧来型』か、バントをしない『強打者型』か、どちらかに分けるなら『旧来型』にパンチ力を加えたタイプといえよう。とりわけ1番・田中(広輔)、2番・菊池、3番・丸(佳浩=現巨人)の通称『タナキクマル』の「爆発力が印象に残っているので選びました」と、3連覇時代を指すコメントが目に付いた。
もう一つ、菊池の凄さは二塁守備も含めたクセモノ度。「バントの成功率が高く、状況に応じていろいろなことを考え、しかもそれを成功させることができる。いつ何を仕掛けてくるか分からない怖さは、バッテリーや内野陣にプレッシャーを与えていると思う」とのコメントは、菊池本人にとっても最高の誉め言葉だろう。
そして得票率26.3%の3位は、大谷翔平(エンゼルス)。こちら、実は“お叱り”のコメントが押し寄せた(!?)、かつてないアンケートとなった。
「大谷を選択肢に入れるのはちょっとズルすぎんか? 2番を打ってる最強打者といったら、大谷しかないやろ」
「世界の大谷以外の理由なし」
「大谷入れちゃうのは反則。NPBの選手と比べたらスケールが違います」
……申し訳ございません。
昨季2番に座り、打率.257、本塁打46、打点100の打撃成績に加え投手としても9勝2敗、防御率3.18でMVPを獲得した大谷。とはいえ、「大谷選手は正直どこでもいい結果が残せる」とファンも言うように、その力はいまだ未知数。そこで、大谷の項はこちらのコメントで締めたい。
「魅力、破壊力がある! 足が速く、長打力のある、とにかくロマンのある選手」
世界に誇る大谷翔平には、「2番打者」という枠におさまらない最強打者だ、という趣旨の称賛コメントが多く寄せられた【写真は共同】
得票率13.7%の4位は、「ミスター・トリプルスリー」こと山田哲人(ヤクルト)である。2018年にはNPB史上初となる3度目のトリプルスリーを達成。放っておけば毎年トリプルスリーを取りそうな勢いだったが、ここ2年の盗塁数は一桁に終わっていた。
とはいえ「打撃、走塁、守備すべてにおいてのレベルが高い」「つなぎも長打も打てる打者」と、やはり脅威の2番打者。今季開幕前には「またトリプルスリーを目指す」と意欲を見せており、5月30日現在の盗塁数は8と、すでに昨年を超えている。
5位には得票率9.3%の、今宮健太(ソフトバンク)。5月30日現在、打率.345とOPS(出塁率+長打率).840は共にリーグ2位、打点15の好成績で、犠打もリーグ3位の10個決めている。
「バントも上手だが、パンチ力もあり、ヒットや長打でチャンスを一気に広げることができる打者。そのあとに出てくるソフトバンクのクリーンアップを考えると、今宮は抑えなければいけない相手」と敵目線(?)のコメントに対し、「今宮が2番で出塁し、柳田(悠岐)が3番で返すという流れが大好き」というファン目線の微笑ましいコメントもあった。
続いて青木宣親(ヤクルト)が、得票率8.6%で6位にランクイン。昨季、日本一チームの2番打者として、ファンに強烈な印象を与えた。
MLBでも『安打製造機』と呼ばれた成績もさることながら、「青木選手が2番にいると、打線がよく回ると思います!」「ミート力があり、青木選手が塁に出ると、チームの勢いが上がるから」と、その存在感を称えるコメントが多数。さすが、高津臣吾監督が『終身名誉キャプテン』に指名しただけある。
青木に僅差の得票率8.5%の7位は、『ギータ』こと柳田悠岐(ソフトバンク)だ。2015年にはNPB史上初のトリプルスリーと首位打者を同時達成。圧巻の身体能力とフルスイングが生む飛距離で、相手ファンも舌を巻く。
「柳田選手は決めてくれるという安心感がある」とソフトバンクファンが言えば、他球団ファンは「恐怖でしかない」とキッパリ。なお、「柳田が2番を打ちたがっていたから」とコメントしてくれたのは、もしや工藤前監督!?
8位は得票率7.8%で中野拓夢(阪神)。ルーキーイヤーの昨季から、主に2番を打つ。NPB史上3人目の新人盗塁王(30個)で、成功率93.8%は歴代最高盗塁成功率を記録。今季もすでにリーグ1位の13盗塁を決めている(5月30日現在)。
「中野選手は2003年の赤星選手と同じ、盗塁のできる2番! 近本(光司)選手と2人でかき回すことも、もちろんバットコントロールの上手い中野選手がヒットで返せるのも魅力です」――『1番・今岡、2番・赤星』時代同様、ひと言で言うなら「1番打者が2人いる感じ」。歴史は繰り返すものだ。
得票率6.8%の源田壮亮(西武)は9位。遊撃の好プレーで毎試合のように『源田たまらん』とファンに言わしめる源田は、やはりバッティングでもクセモノだった。
「簡単に終わらない。ランナーがいるとき、チャンスのときに初球を打って流れを止めてしまうのではなく、粘ってつなぐことができる。毎年.270ほど打ちながら、守備は球界トップで総合的に素晴らしい!」とのコメントもたまらん。現在、自打球による負傷で登録抹消中。チームのAクラス返り咲きには、「ザ・2番バッター」とファンも評する源田の力が必要だ。
トップ10の最後は、得票率5.7%の吉川尚輝(巨人)。プロ入り2年目の2018年、『2番・二塁』で開幕スタメン出場を果たすと、8月にヘッドスライディングで左手を骨折するまで、ほぼ2番に定着し活躍した。打撃好調の今季は1番、3番を打つ。
「バッティング技術の高さはもちろん、足を使って相手バッテリーの作戦をかき乱していく姿が最高です」とファンがほれ込む俊足とバットコントロールを、大いに見せてほしい。
さてトップ10圏外を見わたすと、得票率4.4%のマーティン(ロッテ)、同3.5%のソト(DeNA)の両外国人選手の名前が。マーティンに対しては、「出塁率が高く足も速く、フライ率が高いため併殺になりにくい。長打率も高く、NPBでも屈指の打者」と的確な推しコメントが届いた。一方、ソトには「ラミレス監督のときのDeNA打線。2番ソトが恐怖でしかなかったから By巨人ファン」との激白。そういえばラミレス監督時代の2018年、巨人はDeNAに9勝15敗1分。そりゃあ、忘れられないはずだ。
(文:前田恵、企画構成:スリーライト)