新しいヒロイン2025《97期生・古家 翔香》

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【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。

ふるや・しょうか=1999年12月1日生まれ

 どんな未来が待っているのだろう。古家翔香は多様性の時代がもたらした、ニューヒロイン。「今年はJLPGAツアーをフル参戦したかったけど、先は長い。幸いなことに、ステップ・アップ・ツアーの出場権はある。だから、ひたすら上を目指すことになるでしょう。ステップの年間ランキングで1位、もしくは2位に入りたい。来年のことを話すと、鬼が笑うそうですけど、私は26年のシーズンも見据えています」と、落ち着き払った口調で、テーマを掲げた。

 24年、ティーチングプロフェッショナル資格A級のライセンスをもつ、異色の存在としてツアーでスポットライトを浴びている。ハイライトはアジアナンバーワン決定戦、ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会。予選を経てフィールドに立った。第1日、95位タイと大きく出遅れたものの第2日、スタートホールのイーグル奪取で一変。最終日には3連続バーディーで締めくくり、9位タイと奮闘している。

 「ガマンをしていれば、必ずチャンスが来る。かといって欲をかいてもダメです。とにかく無心でプレーした。本当にうれしかったです」と振り返った。とはいえ、感慨にふける時間など、なし。翌週はプロテスト2次予選が待っていた。過去、6回の受験は、いずれも最終プロテストで失敗。ゴルフと決別する決意を固めたが、整形外科医の父、真一さんから、「ティーチングプロの資格をとってみるのもいい。人生の足しになるよ」とすすめられたことが、大きな転機となった。

 違う環境に身を置き、新たなスタイルを模索。2次予選を経て、念願の最終プロテストで合格した。「テストは試験。試合ではありません。今、思うと最終プロテストは、これまでの何倍もプレッシャーがかかっていた。私の周囲は、今年は大丈夫-という雰囲気…。でも、テストは違います。20位タイと、決められた枠におさまっていなければなりません。体がすごくこわばっていましたからね」と。はるか昔を懐かしむような表情で話した。

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 こんなエピソードもある。「23年の4月。両手首の故障で3週間、クラブを握らないことがありました。トレーニングは続けたけど、時間を持て余し、オンデマンドのストリーミングサービスの番組をみて過ごすことがあって…。F1の特集に引き込まれてしまった。シートを得るのは、世界でわずか20人。とんでもない人たちが勝敗を競う。しかも、ドライバーは個人スポンサーも獲得しなければいけません。ちょっとゴルフにも共通するテーマがあった」といい、「オーストラリアのダニエル・リカルドのファンです。今年はシートを失ってしまうかもわからないけど…」とも語っている。

 厳しい環境に身を置くことは覚悟の上だ。「去年、いろいろなことがあった。誰よりも濃い一年を過ごしたと思います。今年は、それを上回る実績を積み上げたい。手始めはステップで優勝することでしょう」。JLPGAライセンスとは、人生をかける価値がある。
(青木 政司)
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