BCAAについてのさまざまなギモンを、専門家にお答えいただく本連載。横浜F・マリノス 栄養アドバイザーで管理栄養士の新生暁子さんに聞きました。今回はBCAAと疲れについて。

回答者プロフィール
新生暁子
シドニーオリンピック金メダリスト高橋尚子率いる『チームQ』にて、栄養・調理担当としてチームに加わり、『チームQ』解散後はフリーの管理栄養士として活動。スポーツ選手への栄養サポートやスポーツ栄養の啓発に力を入れている。19年2月よりJリーグ 横浜F･マリノスの栄養アドバイザーを務める。

A. 筋肉痛および筋疲労感を軽減すると言われています。精神的疲労回復についても期待できる研究結果が。

身体でもっとも大きな臓器は骨格筋で、体重の40％を占めます。筋肉のタンパク質を構成する必須アミノ酸の約35％をBCAAが占めていて、食物中では必須アミノ酸の約50％をBCAAが占めています。

そのくらい、たんぱく質を構成するアミノ酸の中でBCAAは重要な構成成分なのです。

運動やトレーニングによって、その大きな骨格筋のエネルギー代謝は亢進し、筋損傷を受けるため、運動中および運動後はアミノ酸の利用頻度は高まります。

また、BCAAのサプリメントは、筋肉中で分解されることにより、筋タンパク質の分解を抑制する効果があるとされていて、筋肉痛と筋疲労を誘発させる研究では、運動前の4～5gのBCAA摂取は、運動の翌日以降に発生する筋肉痛および筋疲労感を軽減することが報告1)されています。

精神的な疲労については、BCAAを摂取させたところ、自覚的運動強度と精神的疲労の評価が下がったという報告2)があり、精神的疲労回復についても期待できそうです。

1) Matsumoto K, Koba T, et al.: Branched-chain amino acid supplementation attenuates muscle soreness, muscle damage and inflammation during an intensive training program. The Journal of sports medicine and physical fitness. 49 （4） ．2009．p.424-p.431．

2) A role for branched-chain amino acids in reducing central fatigue. J Nutr. 2006 Feb;136(2):544S-547S.