【トレイルランニングシューズレビュー】MERRELL 「MTL SKYFIRE 2 MATRYX®」 「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」

トレイルランナー JP

軽量で強度と耐久性に優れたMATRYX®でチューンした二つのレーシングモデル

【写真提供:トレイルランナーJP】

MERRELL(メレル)のグローバル・エリートアスリートのフィードバックを元に開発されたフラッグシップ、MTL(Merrell Test Lab)のラインナップに、MATRYX®(マトリックス®)でアッパーを強化した新作が加わりました。一つはトップモデル「MTL SKYFIRE 2」のアップデート版として登場した「MTL SKYFIRE 2 MATRYX®」。もう一つは「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」で、こちらは新たに追加された第3のMTLモデルとなり、従来の「MTL LONG SKY 2」も継続して販売されます。

それでは2モデルの共通点から見ていきましょう。

(左)「MTL SKYFIRE 2 MATRYX®」(右)「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」 【写真提供:トレイルランナーJP】

メインのトピックスは、Matryx®を採用したアッパーです。

Matryx®は高強度ポリアミドとケブラーの複合繊維。超軽量で耐摩耗性と耐久性に優れています。また、各糸が個別にコーティングされているため通気性や排水性が高いのも魅力です。

強度が高いため、アッパーに裏地を貼らずにシングルレイヤーで構成することができ、オーバーレイの補強も減らせるのが大きなメリットです。

【写真提供:トレイルランナーJP】

シューズ内部のシュータン ライニングとフットベッドのカバーには37.5®を採用。37.5®は足から出る水蒸気に素早く反応し、汗になる前に水分をキャッチして拡散させます。また、湿気を感知すると逃して身体を冷やし、湿気が感知されない場合は蓄積した赤外線エネルギーで身体を温めます。つまり、寒い時には暖かく、暑い時には涼しく過ごせるというテクノロジーです。

発汗が多い足裏を快適に保つため、37.5®を採用。 【写真提供:トレイルランナーJP】

また、シューレースは100%・ウェビングには60%のリサイクル素材を採用し、サステナブルにも貢献しています。



それでは、モデル毎の特徴を見ていきます。まずは「MTL SKYFIRE 2 MATRYX®」から。

【写真提供:トレイルランナーJP】

前作でも薄く軽量な素材をシングルレイヤーで使用していたため、フィットが大きく異なることはありませんが、細部はだいぶ変わっています。トウキャップがよりしっかりしたものになり、サイドのアンダーレイによる補強は廃止、タンには薄めのパッドが入り、ソールと接続されたガセットタンに変更されました。これらによって、足との一体感はさらに高まりました。

極薄だが強度が高いMATRYX®のおかげでサイドのアンダーレイによる補強は不要になった。 【写真提供:トレイルランナーJP】

また、フォアフット、ヒールともにスタックハイトを1mm高く設定。インソールはEVAに変更し、厚みも増しています(とは言っても普通のインソールの半分以下の厚みです)。この結果、接地感を維持したままクッション性が向上しました。

ガセットタンを採用し、ホールド感がさらにアップ。 【写真提供:トレイルランナーJP】

ソールシステムは前作と同様なので、2層のミッドソールの間に埋め込まれたBZM-8(ガラス繊維強化ポリアミド)プレートが身体を前に押し出してくれ、Vibram メガグリップの5mmのラグががっちりとトレイルをつかみ、どんなシチュエーションでも高いパフォーマンスを発揮します。

重量は約200g(27.0cm/片足)で前作と変わっていませんが、ガセットタンやスタックハイトのプラス、そして大幅な強度アップを考えるとMatryx®によるチューンナップがかなり効果的なのは間違いありません。


次は「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」です。

【写真提供:トレイルランナーJP】

こちらのアッパーも同様の極薄仕様です。ベースとなった「MTL LONG SKY 2」のアッパーは厚く補強もパッドもしっかりとしているので、履いた感じはまったくの別物という印象です。「MTL LONG SKY 2」がツーリングモデル。「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」がレーシングモデルと捉えると分かりやすいでしょう。

また、アッパーが薄くなった分だけ内部は広く感じるので、人によっては「MTL LONG SKY 2」よりハーフサイズダウンした方がフィットするかもしれません。

(上)「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」。(下)「MTL LONG SKY 2」。 【写真提供:トレイルランナーJP】

ミッドソールのフォームはMERRELLオリジナルのFloatPro™️で、スタックハイトはフォアフット19.5mm、ヒール23.5mm。ドロップは 4mmで、「MTL LONG SKY 2」と同様ですが、ミッドソール内にESSアーチブリッジというプレートを追加し、アーチをささえ、ブレやねじれを抑えてくれます。さらに、インソールのフォームをE-TPUにすることで、よりパワフルなエネルギーリターンを得られるようになりました。

インソールにはパワフルなE-TPUを採用。 【写真提供:トレイルランナーJP】

走った感じも別のシューズのような印象でした。しっかりした厚めのアッパーで、パッドもしっかりと入っている「MTL LONG SKY 2」は、足が優しく包まれる快適なシューズという印象ですが、「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」の方は遊びが少ない分、反応が良く足との一体感を強く感じられます。

ラグジュアリーにゆったりと楽しみたいなら「MTL LONG SKY 2」、よりアグレッシブな走りでレスポンスを楽しみたいなら「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」と、好みによってチョイスするといいと思います。


その他、2モデルの比較をいくつか紹介します。

「MTL SKYFIRE 2 MATRYX®」(左)はヒールからプレートが顔を出している。「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」(右)は小さめのシャンクを内蔵している。 【写真提供:トレイルランナーJP】

「MTL SKYFIRE 2 MATRYX®」(左)はアウトソールの肉抜きを増やし、極限まで軽量化している。(右)は「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」。ラグの高さはどちらも5mm。 【写真提供:トレイルランナーJP】

ソールの幅の比較。フォアフットは同じくらいだが、ヒール部は「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」(下)の方が広い。 【写真提供:トレイルランナーJP】

MTL SKYFIRE 2 MATRYX®(左)と「MTL LONG SKY 2 MATRYX® 」(右)のフレックスを比較。 【写真提供:トレイルランナーJP】

アグレッシブな性格を保ったまま、より履きやすく耐久性もアップした「MTL SKYFIRE 2 MATRYX®」。そして、ベースモデルとは異なるダイレクトなフィット感で新たな方向性を示した「MTL LONG SKY 2 MATRYX®」。

MATRYX®チューンによる新たな世界をぜひ体験してください。

【写真提供:トレイルランナーJP】

MTL SKYFIRE 2 MATRYX®
MTL スカイファイア 2 マトリックス®
・価格:¥23,100(税込)
・スタックハイト:ヒール25mm – つま先19mm /ドロップ6mm
■メンズ:25.0 – 30.0cm [約200g(27.0cm/片足)]
カラー:ホワイト/マルチ
■ウィメンズ:22.5 – 25.5cm [約170g(24.0cm/片足)]

【写真提供:トレイルランナーJP】

MTL LONG SKY 2 MATRYX®
MTL ロング スカイ 2 マトリックス®
・価格:¥23,100(税込)
・スタックハイト:ヒール23.5mm – つま先19.5mm /ドロップ4mm
■メンズ:25.0 – 30.0cm [約240g(27.0cm/片足)]
カラー:ホワイト/マルチ
■ウィメンズ:22.5 – 25.5cm [約200g(24.0cm/片足)]
カラー:ホワイト/マルチ
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

トレイルランニングの総合情報サイト。大会、イベント情報、シューズ・バックパックなどのレビュー、アスリートのインタビューなど。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント