<国内男子ゴルフ>血が止まらなくなる難病を持つ小浦和也「試合に出られるのは当たり前じゃない」新規大会で募る思い

チーム・協会

【扇風機もありがたい】

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■世界のマルがアンバサダー「横浜ミナト Championship ~Fujiki Centennial~」8月3日ー6日 / 横浜カントリークラブ(神奈川県)7231yard・par71 ▼ 3日大会初日

炎天下で一度も笑顔がダレることはなかった。
最後9番で、2メートル半のチャンスを沈めて握り拳に喜びがにじんだ。

プロ9年目の小浦和也(こうら・かずや)が6バーディ、1ボギーの「66」をマーク。

プレー後の囲み取材エリアに、スタッフが用意してくれた熱中症予防の大扇風機が回る。
「こんな・・・当たりながら喋らせてもらってもいいんですか?」と、恐縮していた。

「こうして、試合に出られるのは当たり前じゃない」。
今年できたばかりの新規大会ならなおさらだ。

今季ファイナルQT12位の資格で参戦し、自己最高の6位につけた6月の「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」も初日は74位タイからだった。

「こんな良いスコアで出られたのは初めてです」。
先週の「日本プロ」で、金谷拓実(かなや・たくみ)と、練習ラウンドしてもらった際に、「釣り気味に構えていたのが良さそうだった」と、さっそく自分も取り入れた。
アマ選抜のナショナルチーム期から懇意にする5つも年下から見て学んだ途端にパットが好調。

前半最後の18番で、10メートル近いパーパットをねじ込むなど、ピンチも、チャンスも残らず沈め、「本当にたくさんの人に支えられてここにいます」。
感謝に堪えない好発進だ。

血小板の減少で、血が止まらなくなる難病「突発性血小板減少性紫斑病(とっぱつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)」を発症したのは専修大学時。

最初は自覚症状もなく、無事プロ転向後も順調にキャリアを積めると思われたが、定期検診で引っかかったのは、2019年春。

すぐに始めた投薬治療は「顔も手も、体中が腫れちゃって、ゴルフに大事な感覚が出せない。すぐに疲れてしまって集中力も続かない」と、やむなくプロ活動をいったん断念。

治療に専念した。

そのまま引退の不安とも戦いながら丸1年。
断薬できるまでに回復できたが「原因は、まだ分かっていないそうなので」。
完治はない。

「絶対にケガはできない。交通事故にも気をつけないといけない。ボールにも当たっちゃだめ。頭を打ったりすると、血が止まらないので死んじゃうから、とお医者さんに言われて」。

命の危険と背中合わせのプロ生活だ。

支えてくれるのは妻・華菜さん。
「病気だし、仕事もないのにそれでもいいと言ってくれた」と、闘病中の2020年に結婚。
「免疫力を高める食事を作ってくれたり、助けられています」と、感謝する。

昨年2月には長男・清太郎くんが誕生。
「ミルク代とオムツ代。稼がないと」と、ますます励みに。
「苦しい時に支えてくれた人は大事にしなければいけない」と、思いが増す。

「休んでいたときは、本当に何もできなかったので。ゴルフができるだけでも幸せ」と、噛みしめる。

他のスポーツがしたくてもサッカーや、ボクシングなどはもってのほかだ。
「でもゴルフなら、注意しながらなら続けられる。同じ病気を持つ人に、勇気を与えられる存在になれたら」。
願いをこめて、炎天下を歩いている。
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