千葉ー福岡1200kmを共に走った親子のお父さんに「子どもと一緒にサイクリング」する秘訣を聞いた

FRAME(フレイム)

【FRAME】

藤本父、本名は藤本陵さん。自転車に特化しているわけでもなく、元選手なわけでもなく、ふだんはフツーに会社員の藤本さんに、子どもを持つ自転車乗りの皆さんから熱い視線が集まっています。きっかけは8月中学生の息子・レイくんと挑戦した、7日間で千葉福岡1200kmを走る自転車親子旅。
その様子はFRAMEのTwitterでも随時更新、パンクに雷雨など全国の皆さんをハラハラ・ドキドキさせながら、藤本親子は無事1200kmを走りきり、大きな話題となりました。

9月23日(土祝)24日(日)の連休には、こんどはなんと小学2年生のルイくんと3人(一人増えた!)で、千葉房総300kmを2日間で完走。まだまだ身体の小さいルイくんが、大人でもキツイ「2日間で300km」というライドをこなせるのかーーこちらにも応援の和が広がりました。

▲まだこんなに小さいルイくん 【Ryo Fujimoto】

で、ですね。「こんなに走れちゃう藤本一家っていったい何者?」という声もさりながら、「ウチも子どもとこんな旅をいつかしてみたい・・・」というため息が多数。 自分がロードに乗ってて、子どもにもロードを買い与えたけれど、子どもはさほど自転車に興味が出ず、一緒に走るという夢は実現できてない、という人が大半のようなのです。

そこで、我らが藤本父さんに「どうやったら一緒に走れるようになるの?」と聞いてみました。

▲千葉房総300km、海を眺める藤本兄弟 【Ryo Fujimoto】

質問1.ルイくんはまだ小学2年生!そんな小さいお子さんの300km走破挑戦にゴーを出すのは、親としてもなかなかハードルが高かったと思いますが、挑戦のきっかけを教えていただけますか?

藤本父:挑戦のきっかけは長男レイとの千葉福岡1200Km親子旅です。今年の夏に8日間かけてロードバイクで走破しました。
先日みんなで夕飯を食べている時にルイが突然言い出したんです。「僕も旅に連れてけ!!」と。お兄ちゃんだけずるい。僕だって走れる!と言ってました。

私は「お前にはまだ無理だよ〜」と言ったのですが、「無理かどうかやってもいないのにわかるわけないじゃん!」と子供に論破されました(笑)。

確かに・・・やってもいないのに、無理と決めつけるのも良くない。失敗してもいいか!くらいの気持ちでやってみようか?というのがきっかけでした。

▲子どもが「できる!」と信じてるから、後押しした 【Ryo Fujimoto】

質問2.挑戦に踏み切るためには何が必要なんでしょうか?日々の練習、親のサポートなど、親の立場から見て藤本さんが必要と思われることを教えてください。

藤本父

一番大事なのは「逃げ道」だと思います。トラブルや体力面、精神面でリタイヤしなくてはいけないとなった時、ルート上のどこからでも終了できるようにプランを立てることだと思います。

あとは子供の走力がどの程度あるのか?きちんと把握しておきたいですね。


今年の夏休みはほぼ毎日ルイと30Kmの朝練をしていました。

子供の身体能力は高いといっても練習はしておいたほうがいいですね。

大事なのは「逃げ道!」目からウロコですよね 【Ryo Fujimoto】

質問3.実際、小学二年生でこの強度の運動は、大人にとってはどのくらい大変なんでしょうか?

藤本父:すいません、

正直わかりません。子供の場合、運動強度より精神面でのほうが辛いのではないかと思います。

朝から晩までひたすらペダルを回し続けるので、飽きると思うんですよね(笑)。

▲小学生の体力なら一晩寝れば回復。大事なのは「飽きさせない」こと 【Ryo Fujimoto】

質問4.走りきれたのはどうしてだと思いますか?

藤本父

ルイ自身が頑張ったというのはありますが、長男レイの存在は大きかったですね。
常にルイのそばにいて、「褒める」・「叱る」両面で常に喝を入れていました。

私は子供達が安全に走行できるようペーサーとなり、ずっと前を引いていただけなんで
何にも言ってません(笑)。
結局は自分自身との対話なんだと思います。


疲労と共に消極的になり、自分を守るためのメッセージをバンバン送ってくる「心」に耳を貸すかどうか。
自分にどう打ち勝つのか?その術をレイから学び、ルイ自身が一つ一つ乗り越えてきたんだろうと思います。

▲前を行くのは父じゃなくてもいい。「お兄ちゃん」が大きな助けになった 【Ryo Fujimoto】

質問5.「驚異の藤本兄弟!」と世間では思われているかと思います(笑)。
どのようにしたらそんな自転車が強いお子さんが育つのでしょうか?


藤本父:確かに皆さんにそのような質問を多く受けるのですが、特別何かしているわけではないんです。

もしかしたらこれかな?というのは「どんな状況でも楽しむ!」というスタンスかもしれません。

起きている事は変わらなくとも、それに対する心構えがポジティブなのかネガティブなのかで結果がガラリと変わります。
子供達には何か辛い事が起きたら「バカな事をしてわらってごらん!」と言ってます。なんでもいいんです。変な顔をして笑わせる。ボトルの水を掛け合って笑わせる、などなど。


笑顔が出るとネガティブな気持ちは消えます。

そうするともう大丈夫!辛いけど頑張るかぁ〜!となるわけです。
これで1200Kmの旅も乗り越えました。

▲「変顔」にも意味があった!思わず笑っちゃえば、雨だって嫌じゃなくなる 【Ryo Fujimoto】

質問6.藤本家の毎日のスケジュール、標準的なものを教えてください。
藤本父:学校から帰ってきて宿題をやったり、習い事にいったり皆さんと一緒です。

夜は夕飯前に兄弟で30〜40分ほどローラーを回してます。

土日はお世話になっている「CYCLE HOUSE GIRO」の練習会に参加しています。

▲モガキ練習中の兄・レイくん 【Ryo Fujimoto】

質問7:世の中のお父さん・お母さんサイクリストは「子どもと一緒に走りたい」と考えていても、「一緒に走ってくれない」ってパターンが非常に多いのかと思います。
どうすれば子どもと一緒にサイクリングできるようになるのでしょうか?


藤本父

「一緒に走ってくれない」という方に共通しているのは、子供が親のペースに合わせるという状況です。逆なんじゃないかなぁ、と思います。

つまり「親が子に合わせる」。もっと速く走れ!と怒られる子供を見てると可哀想になります。そんなの、きっと全然楽しくないですよね。


親が子供のペースに合わせるのは基本です。

それと、


他のサイクリストと一緒に走る!これは結構重要だと思います。

イベントに参加すると他の大人達から絶対「すごいな!」「かっこいい!」「頑張れ!」と褒めまくってもらえます。そうすると嬉しくなってまたみんなで走ろうとなるんです。(うちはそうでした)

▲あくまでも子どものペースに合わせるが基本 【Ryo Fujimoto】

なるほどなるほど、と目からウロコが落ちまくりのインタビューでした。子どもとというところを「家族」「ライド仲間」と置き換えて読んでみても、なかなか含蓄ある言葉なのではないでしょうか。藤本父こと藤本陵さん、ありがとうございました!
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