“炎の中年ランナー”いざリレーマラソン 格闘オヤジたちはそこで何を見た!?

芸部歩人

多彩なバックボーンを持つ格闘愛好家たちが集結

【芸部歩人】

 会場は新木場駅からほど近い「江東区夢の島競技場」。プロレス・格闘技ファンには馴染みのある「新木場1stRING」とは駅を挟んで反対側に位置しています。毎年梅雨時期(昨年は9月)の開催となるため天候にヒヤヒヤさせられるものですが、今年も幸い雨知らず。陽ざしも強過ぎず、心地よい風の吹く良好なコンディションです。平素格闘技に取り組むも、仕事と家庭に追われロードワークにまで手の回らない我々は、「チナスキー・マラソン部」「チナスキー反選手会同盟」「チームチナスキー」という謎のグループを3つ結成し、4時間チームの部に出走です。

仲良く並んで走る中年 【芸部歩人】

水かぶり用プールのサービスも 【芸部歩人】

 この日集まったのは柔術、キックボクシング、空手、レスリングと多彩なバックボーンを持つ格闘家(格闘技愛好家)の面々。7月10日に記念の200回大会を迎えたUFCの初期大会のように、各々がそれぞれのジャンルを背負って出陣です。ただ腕っぷしが強くても、今回は残念ながらそれを発揮する場面がありません。各競技のコスチューム(道着)で参加する案も上がりましたが、コスプレ出場は走力ある上級者だから許されるもの。我々のような若輩(中年ですが)は粛々と走るのみであります。

鈍走な我々はさながら移動喫茶店気分

給食所には色んな食べ物が並んでいる 【芸部歩人】

 ということで、“なんで休みの日までこんな朝早くから集められにゃいかんのだ”というメンバー心の声を感じつつ、4時間の部は日曜・朝9時にスタート。ごちゃごちゃ言わんと、誰が一番速いか決めたらええんや! とは言うものの、普段あまり走っていない我々ですから、やはり無理は禁物です。「えっ、歩いてるの?」というジョギングにも劣るスピードでチンタラ走ります。ゴーイング・マイウェイ。おもむろに併走しつつ近況報告、初対面なら身の上話や共通で持つ友人の話に花を咲かせます。

甘党の中年格闘家にはうれしいアイスのサービス 【芸部歩人】

ワッフルにアイスを乗せてカスタムした荒技 【芸部歩人】

 コース中1度の給水地点では飲み物や軽食が次々と、手を替え品を替え振る舞われます。格闘家は酒はもちろん甘いものも好きです。給食は時間とともに変わっていきますから、「アイスが美味かった」「から揚げが食えなかった」「ティラミスがよかった」など話題となって盛り上がります。鈍走な我々はさながら移動喫茶店気分。毎年補食が過ぎ、大会後の体重増加が報告されています。

テーピングを受ける中年 【芸部歩人】

 そんなレクリエーション気分の我々ですが、周囲は本気モードでやる気のある人たちが疾走していますから、その人たちのエネルギーが伝わってきてなかなかよい心地です。また、中年格闘家あるあるの膝痛が出た時も、会場内に設置されたストレッチやテーピングのブースが対応してくれますから、再び戦いの場に戻ることができます。

「でも、レース中の笑顔の数なら我々も負けない」

【芸部歩人】

 さて、この日は時折り太陽が顔を見せたもののカンカン照りまでには至らず、この時期の大会としては理想的と思えるコンディションのまま終了。なお、この4時間の部、前日から行われている24時間の部とゴールが同時間となっているため、4時間しか走ってないのに感動は24時間分味わうことができます。平然と他チームの後塵を拝し続けた我々ですが、帰宅後なんとなしに観た映画『炎のランナー』の有名なシーン(波打ち際を大勢で疾走)で、我がチームの奮闘と重なったか泣けてしょうがなかったのは、やはりリレーマラソンの感動と無関係ではなかったでしょう。

24時間チームも4時間チームもゴールの感動はいっしょだ 【芸部歩人】

 結果、135チーム中120位、131位、133位と散々だった我々ですが、1位で表彰されるチームを見て「でも、レース中の笑顔の数なら我々も負けない」と名言めいた負け惜しみが出たのでよしとしました。

 スピードレースが行われる中、お遊戯で切り込んだような我が一団でしたが、無理をせずにこんな楽しみ方もあります。旧交を温めたり新たに仲良くなるきっかけにしたり、移動喫茶店ばりのリレーマラソン、いかがでしょうか。

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著者プロフィール

げいぶ・あると。体験系取材を中心に活動し、「2代目スポーツ冒険家」を自称する40代目前ライター。名前は映画『クリフハンガー』の主人公ゲイブ・ウォーカーから

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