ファインダー越しに見た羽生結弦 カメラマン・坂本清が追った7年間
【坂本清】
「ほかの選手と違って見えましたね」
坂本さんはこう回想する。この大会、出場選手中最年少だった14歳の羽生は、初出場で8位に入った。それ以来、坂本さんは数々の競技会やアイスショーを取材し、羽生の姿を追いかけている。この7年間で、被写体として感じた羽生の変化は。
「シニアに上がって、さらに五輪チャンピオンになってからはオーラが違うように思いますね。羽生選手は決めのポーズではまるというか、やっぱり絵になります」
カメラマンから見た、フィギュアスケートの魅力は何だろうか。
「ジャンプひとつとっても、リンクレベルから見る選手たちの演技は迫力が違いますね。ジャンプの後に氷の破片が飛び散るのも見えますから。選手の表情もはっきり見えますし、自分のそばをさーっと通り過ぎていく時のエッジの音も聞こえます」
フィギュアスケートならではの工夫や苦労もある。羽生の場合、フリーの4分30秒の中で、多い時は800カットシャッターを切っているという。
「フィギュアスケートは基本的にワンシーズン通して同じプログラムを滑りますので、撮る時には、プログラムを頭に入れておくことが重要ですね。シーズン前のアイスショーなどでも極力演技を見るようにして、撮りどころを抑えるようにしています。練習を見ないと、カメラがついていかないですね。一発で撮るのは難しいです。
僕の場合は、ほかの写真家と違って記録写真としての速報性と枚数を求められているので、作品としての絵作りはそれほどできないんですが、やはり選手の美しいシーンを切り取ってあげたいと思っています」
今回は、これまで撮りためてきた写真の中から、坂本さん自身に羽生のベストショットをセレクトしてもらった。
2008年12月:全日本選手権(長野)
SP:ボレロ 映画『ムーラン・ルージュ』より 【坂本清】
2009年12月:ジュニアGPファイナル(代々木)
【坂本清】
2010年10月:NHK杯(名古屋)
FS:ツィゴイネルワイゼン 【坂本清】
2012年3月:世界選手権(ニース)
FS:映画『ロミオ+ジュリエット』より、映画『プランケット&マクレーン』より 【坂本清】
2012年11月:NHK杯(宮城)
FS:ミュージカル『ノートルダム・ド・パリ』より 【坂本清】
2012年12月:GPファイナル(ソチ)
SP:パリの散歩道 【坂本清】
2012年12月:全日本選手権(札幌)
【坂本清】
2013年12月:GPファイナル(福岡)
SP:パリの散歩道 【坂本清】
2014年3月:世界選手権(さいたま)
FS:映画『ロミオとジュリエット』より 【坂本清】
2014年4月:ソチ五輪パレード(仙台)
【坂本清】
2014年12月:全日本選手権(長野)
FS:映画『オペラ座の怪人』より 【坂本清】
今年も坂本さんはスケートカナダ、NHK杯、全日本選手権と、羽生が出場を予定している試合を撮影に行く予定だという。
坂本清
【提供:坂本清】
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